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SATについてどう攻略するか①

WSET L3の試験は2本立てになっています。
それはテイスティングとセオリーですが、WSETの場合は最初にテイスティング試験があります。ソムリエ協会とは異なり、1日(3時間程度)で終わってしまう試験構成となっています。

また、公開されていますが、WSET L3の場合は各試験55%以上を得点しなければいけません。ですので、バランスよくテイスティングもセオリー(選択式・フリー記述)も得点することが求められます。

今回はまず最初のテイスティングを見てみることにします。
Systematic Approach to Tasting(通称SAT)ですが、下記のポイントに絞って見ていきたいと思います。長くなってしまったので3回に分けようかと思います。

①SATについて

②WSET(講師)と自分の感覚の擦り合わせ

③日々の練習


SATについて

単語・用語の規定

試験を受ける上で必須なのでSATです。これはSATの構造を理解すること、またWSETが定めているSATのシートの中の用語・単語を暗記する必要があります。ワインを評価するアロマなど単語はおそらくWSETとして強く推奨されているものではありますが、これ以外の単語を使うことも許容されていると思われます。

しかし、特に注意したいのはソムリエ協会の試験を受けたことがある方は用語や表現をしっかりとWSET用に頭を切り替える必要があります。

例えば、外観で白ワインの色にイエローはありません
あくまでレモン色。ですので、試験でイエローと書くといくら言いたいことがわかっていても正解を得ることはできません。

また、フレッシュな果実なのか、煮込んだり焼いた、調理した(火を入れた)果実なのか、しっかり見分けてコメントに入れて行く必要があります。

解答はクリアに一貫性をもって

解答はクリアにすることが求められます。これはスタディガイドにも書いてあると思いますが、「酸は高め」などの表現は正解として認められません。
「酸は高い」「酸はやや高い」など断言することが必要です。
また「酸は中程度から高い」などと、段階をまたぐような表現も認められていません。

※「やや高い」「やや低い」はあくまで中程度の範囲

WSETの表現のスケール

WSETには低い、中程度、高い、といった3つのレベルの高さを表現するものがありますが、これに加えて「やや」といった表現が存在します。
英語ですと上記にあるように(+)(-)をつけて表現されるものですが、これが少し頭を悩ませるところです。

例えば、酸を高めに感じたとします。これが「やや高い」のか「高い」のか。原則としては「やや高い」でも英語表現にあるようにあくまでmidium(+)、つまり中程度の範囲となります。
こう考えると英語表現の方がわかりやすいかもしれません。


さらに、発達段階や飲み頃のレベルがありますが、これは一貫性を持たせる必要があります。
例えば、第一のアロマは残っているもののターシャリーアロマが出てきていようなワインで「若い」ワインとは基本的に評価できません。
また、シンプルなワインと答えているにも関わらず、熟成が可能性がある、と答えるのも一般的には正解からかけ離れてしまう可能性があります。

発達段階は特に香りのところでコメントを忘れがちなので注意

WSETはワインの銘柄を当てることを求めていない

これもソムリエ協会の試験と大きく異なるなと感じたことです。
WSETは基本的にそのワインの品質・スタイルを評価することに重きを置いています。
ですので、ソムリエ協会のそれのようにワインの生産国やヴィンテージ、品種などを答えることがありません。
この点に関しては私は気軽に臨めました。純粋にそのワインの香りや味わい、スタイルと向き合えたのでよかったと思っています。


最終評価はBLIC

WSETの授業を受けられると最初の方でBLICについて説明されるのではないでしょうか。


BLICはそれぞれの評価項目の頭文字を取ったものです。
Balance
バランスはその通り、ワイン全体のバランスが取れているか。
実際のところバランスが崩れているワインはWSETを学んでいる範囲では出てこない気がします。例えば、ピークを過ぎてビネガーのようになってしまったワインや、あるいはなんらかの原因で劣化してしまったワインなどこれに該当するのでしょうか。

Length
いわゆる「余韻」というものです。どのくらいワインの風味が口の中に残るか。アルコールが高いと後味も長くなる傾向にあると思います。果実の凝縮感が強いワインも長くなる傾向があると思います。
余韻の長さに関してもテキストに書いてあると思いますのでしっかりと頭に入れる必要があると思います。

Intensity/ Identifiable characteristics
風味の強さ、または品種特性が出ているか。
風味の強さはトレーニングしていると段々とわかってくるかと思いますが、品種特性はL2の品種の特性や特徴がわかっていないと難しいかもしれません。
あるいは冷涼な気候ー温暖、高温な気候、アロマティック品種であれば特にその品種の特徴が出ているのか、感じられるかといったような点が評価ポイントかなと思います。

Complexity
ここも難しいところではありますが、自分が評価した風味のクラスターがどのようなもので構成されているのか、振り返ってみると良いと思います。
例えば、「シンプルな」という表現をつけているのに複雑性がある、というのは矛盾しているようにも聞こえます。
通常、Complexityがあるということはいくつもの異なるクラスターやフレーバー、第一だけでなく第二、あるいはターシャリーアロマが存在し、それが混ざり合っていたりすると複雑性があるということになるかと思います。
このような点を意識して評価してみると良いかもしれません。

最後の総合評価ですが、

BLICから導く評価基準

基本的にWSETのテイスティング試験では「悪い」ワインは出ないとされています。(これは確か授業中に中に言っていたと思います)

問題は良いワインなのかー素晴らしいワインなのか

この点に関してはBLICを毎回トレーニング中につけていくことにより自然と身につくと思います。


いかがでしたでしょうか。
中々テイスティングも難しいところではありますが、考えるよりも飲んで考えたほうが熟練への道は近いような気がします。


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