ダダダイアリー、主に映画。2024/4/1ー4/15
4月1日
菊川のStrangerにてバス・ドゥヴォス監督2作品鑑賞。
「Here」
帰国を悩む移民労働者と植物学者の女性との細やかな合歓。一杯のスープ。始まった途端これは眠くなるヤツだと思ったけど案の定ウトウト。後半だけ観た奴が言う事じゃないけど良い作品で機会があればまた観たい。
「ゴースト・トロピック」
終電を乗り過ごした女性の長い帰り道。ブリュッセル人間交差点。もうこの設定だけで劇的に映画。予想以上に色々あったし、「Here」でバスの手の内分かったから此方は最初から最後まで存分に楽しめた。
2作品とも16㍉スタンダードサイズでとにかく撮影が素晴らしかった。
4月3日
K2シモキタエキマエシネマにて、宮崎大祐監督「MY LIFE IN THE BUSH OF GHOSTS」鑑賞。
制作スタイルと映像スタイルに映画の理想と未来を感じる最新作の2回目。色々なエピソードが満載の作品だけど「MADE IN YAMATO」の流れを感じるラン、スー、ミキのエピソードが1番好きだ。
上映後には兵藤公美さんをゲストに迎え、出演者の奏衛さん、村岡佳奈さん、渡邉智美さんによるトーク付き。編集と脚本にも関わった本作に於ける俳優たちの制作過程などを中心に色々聞けて良かった。カメラも共演者の1人である、など。
あと兵藤さんに出演作の「MADE IN YAMATO」と「すべての夜を思いだす」のパンフレットにサインして貰った。
4月5日
東京タワー1階の特別会場で開催中の大特別展「逆境を乗り越えた大女優高峰秀子の美学」へ。
高峰秀子生誕100年プロジェクトの大特別展。波乱に満ち満ちたデコちゃんの生涯を走馬灯の様にサラッと振り返る。会場内撮影禁止だったのが残念だけど、1人の俳優として人間として高峰秀子の魅力と偉大さが誰にでも伝わる内容だった。
深田隆之監督「ある惑星の散文」レンタル鑑賞。
脚本家を目指す女性と俳優を休業中の女性のそれぞれのエピソード。アプローチの違う2つの話が割と地味で退屈だがその2人が出逢う最後の最後に急激に面白くなる。忘れてしまう事思い出す事それでも記録する事。もう少し短ければもっと良かったかも。
4月6日
NHK連続テレビ小説「虎に翼」第一週纏めて鑑賞。子役時代をすっ飛ばして確信から入る導入でいきなり釘付けになった。女性弁護士誕生の物語。朝ドラを秋春と続けて観るの初めてだけど、未だに性別格差や偏見が無くならない世界でコレは観るべき作品だな。楽しみ。
109シネマズ二子玉川にて、ショーン・ダーキン監督「アイアンクロー」鑑賞。
昭和プロレスファンを熱狂させた呪われたエリック一家とは何だったのか。次男ケヴィンの視点から描いた人間ドラマ。家族の歴史から浮かび上がるアメリカの栄光と悲劇。生き残った者の再生と解放。そして家父長制の崩壊とマッチョイズムの終焉。往年のプロレスファンより寧ろそれ以外の人にお勧めしたい現代的な物語だった。
山田尚子監督「リズと青い鳥」録画鑑賞。
吹奏楽部には美少女しか入れないのか、という偏ったキャラクター設定に疑問が湧くし「響け!ユーフォニウム」シリーズ観た事無いけど、足もとで感情表現するカットの多用や足音とリズムを合わせた演出など見どころがあって楽しめた。
「新プロジェクトX〜東京スカイツリー天空の大工事」録画鑑賞。
番組再始動の初回に相応しすぎるテーマ。鳶職人たちの三つ巴の活躍や工事中に東日本大震災に遭遇など見どころ満載で楽しめたけど、主題歌もナレーションも一緒なので再放送観てる気分が最後まで拭えなかったのも確か。
4月10日
109シネマズ二子玉川にて、セリーヌ・ソン監督「パストライブス/再会」鑑賞。
惹かれあった幼馴染みの24年に渡る想い。ドラマチックな展開を打ち負かす圧倒的な平凡。だからこそロマンティック。シャロン・ヴァン・エッテンの沁みる歌と途中からスッと現れて全部さらって行くジョン・マガロの良い仕事ぶり。ソール・ライターの写真を映画化した様なスマートで忘れ難い作品。
4月12日
山口洋「Seize The Day今を生きるための音楽」読了。
webメディアに連載されたエッセイに書き下ろしを加えた2016年からの8年間の記録。偉大なるミュージシャン達のエッセイから浮かび上がる山口洋の人生と哲学。世界はときどき美しい。ロックンロールの恩恵と継承とコンパッションに満ちた一冊。
国立映画アーカイブにて開催中「生誕100年高峰秀子」特集にて2本鑑賞。
豊田四郎監督「雁」
森鴎外原作をヒロインの視点から描いた作品。真骨頂とも言える東野英治郎の小悪党ぶりに高峰秀子のスラッとした可憐さが際立つ。しみったれたメロドラマが力強い女性讃歌へと変貌するのはデコちゃんの貢献。これもデコファンマストな作品だな。
島耕二監督「銀座カンカン娘」
高峰秀子が笠置シヅ子と灰田勝彦と歌いまくる69分。デコちゃんの惚けたユーモアとキュートさが炸裂の牧歌的歌謡コメディなんだけど、最後に余った時間を志ん生の噺で埋めるというシュールさと、それでサクッと終わる始末の良さが多幸感を生む快作。
4月13日
表参道のWALL&WALLとOMOTESANDOUMUSIUMにて開催の「DE-SILO EXPERIMENT2024」へ。
WALL&WALLでのパフォーマンスとOMOTESANDOU MUSIUMのエキシビションにトークセッションもついた研究とアートが交差するイベント。
マイカ・ルブテによるミニライブやポストヒューマンの時代を人文・社会科学の分野から捉えた研究成果の展示など。今私たちがどの様な地点に立っているのかを思索し実感できる面白いイベントだった。マイカ・ルブテのライブは映像と手話を取り入れたパフォーマンス。今回のセトリでは「Niet」がより大きく強い曲に成長しており沁みた。そして和田夏実さんとのトークで激アツな新曲「心象volcano」の制作プロセスが詳しく聞けたし制作のきっかけとなった長島愛生園についての興味が湧いて来て良かった。
4月15日
ホワイトシネクイントにて、ソフィア・コッポラ監督「プリシラ」鑑賞。
プリシラを通して描かれるエルヴィスとその時代。ソフィア版「グッドフェローズ」とも言える展開の作品。完璧に近い衣装や音楽や美術により、プレスリーとアメリカンカルチャーの本質的なキモさが浮き上がり中盤から辛くなった。自分の好きな素材だけで作られているのに文句付ける所も特に見当たらないのに何故かハマらない。やっぱりソフィア・コッポラ苦手な事を再確認した。
あとロニーとフィル・スペクターの関係性ともリンクしまくる展開なので途中からそっちの話を観たくなって集中力が切れたってのもある。ちなみに1番ときめいたシーンは平安4段。
自由ヶ丘のポパイカメラによって、現像に出していたフィルムを取りに行く。lomoのコンパクトカメラで10年位前に撮影したフィルム1本をそのまま放置していた事を思い出して先週現像に出していたもの。暗くて写っていないものもあったが予想以上に発色が良く仕上がっていた。