2023年の新体験 -他者への関心と共生-
温故知新。自分がこれまで形成してきた価値観を大切にしながらも、それに固執しすぎず新しいものをも迎え入れる。歳を重ねるに連れ、重い腰を上げて心を入れ替えるのは容易ではないが、意識的に好奇心を絶やさないことは、心のみならず身体をも若く保ってくれると思うのだ。ここでは、2023年に体験した事の中から、今の自分に大きく影響を与えた事象を3つ取り上げたい。
恋愛リアリティショー
『あいのり』や『テラスハウス』など、恋愛リアリティショー自体は世の中で話題に上ることは多かったが、私自身としてはその楽しさを理解することができなかった。生身の他人の恋愛を見て楽しめるのか、という疑問がいつまでも払拭できなかったのだ。しかし、Netflixの『あいの里』や『韓国ドラマな恋がしたい』を見て、考え方が大きく変わった。好きな人へどのように愛を伝えたらよいか? あるいは逆に、好きではない旨をどう正直に伝えるべきか? 人間は三者三様で、それぞれに合った人間との向き合い方がある。自分と近しい心を持つ方が登場すると、深く感情移入してしまう。一方で、自分とは〝遠い〟と感じる人々であっても、それぞれの生に誇りを持ってほしい、と応援する自分がいる。やはり自分は人間臭さが大好きなのだと気づいた。
vlog・ルーティン動画鑑賞
YouTube動画を情報源として活用することが多かった私にとって、vlogやルーティン動画を鑑賞するモチベーションは正直湧かなかった。語弊を恐れずに言えば、そもそも他人の生活の中身を見届けて楽しいのだろうか、と疑る気持ちさえ大きかったのだ。しかし、見てみると意外にも心が凪ぐ。その中でも、化粧品に拘る方や、土日昼夜を問わず仕事に邁進する方など、実世界で自分とは到底交わらない類の他者の生活にこそ、強い興味を示すようになったのだ。自分と近しい生活を目の当たりにすると却って恥ずかしく思うのだが、鑑賞対象となる生活と自分の距離が遠ければ遠いほど、等身大の自分で見ることができるのだと思う。
観葉植物
「観葉植物を自宅に置きたい」という妻の付き添いでお店に行ったこともあり、あまり乗り気ではなかったが、自宅に設置した瞬間、急に心が強く締め付けられてしまった。可愛い。朝に起きたとき、昼の作業の合間にコーヒーを淹れるとき、夜の読書の後で大きく伸びをしたとき、視野に彼が入るととても愛おしい。土が水をたたえているか、葉っぱの水分が乾いていないか、日当たりは良好か、どうしても気になってしまうのだ。そして日々成長していく彼の様子を喜んでいる自分にも気付く。このような直向きな心遣いが、他者に対しても自分自身に対してもできたらいいな、と思う。
以上、自分の考えを整理して、本質的に他者への関心が強まってきたのだと実感した。確かに個としての生は大切だし尊重されるべきではあるが、社会に生きる我々として他者との協働を前提とすることは、至極当然だが明確に意識しづらい点でもある。具体的な経験を通して得た臨場感のある「共生」意識をこれからも温めていきたい。
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