なぜワクチンによる被害者が誹謗中傷されるのか?
4月23日に開催された鎌倉市議会の答弁では、コロナワクチン接種後に死亡した13歳の少年について「64歳以下」という区分でしか公開していないのは、個人情報保護のためであり、ご遺族への誹謗中傷の恐れがあるからだと言っていました。細かい年齢区分で公開しない理由は、本当に個人情報の保護が理由なのでしょうか。
4月23日 鎌倉市議会
4月23日に開催された鎌倉市議会については、下記の記事で取り上げました。
鎌倉市議会のサイトでも、公式の動画が公開されていました。臨時会だけでなく、総務常任委員会や教育福祉常任委員会でも、コロナワクチン接種後に死亡した少年についての答弁があります。
鎌倉市のホームページでは、13歳の死亡について下記のような公表しかしていません。これについて長嶋議員は、13歳が64歳以下としてカウントされていては、若年層のリスクとして周知させることはできないと指摘しました。
答弁では、64歳以下としている根拠となるのが、個人情報保護法第69条だと言っています。
被害者やご遺族が誹謗中傷される恐れがあることが、「本人又は第三者の権利利益を不当に侵害するおそれがあると認められるときは、この限りでない」にあたるというのです。
これに対して長嶋議員は、「例えば札幌市では、同じロット番号で13名の方が被害を受けております。年齢をぴったりとは言っていませんが、10代とか30代、40代という表記をしております」と他市の例を挙げました。
札幌市の例は、情報開示請求で明かされた下記のことだと思います。13歳の少年と同じロットです。
さらに長嶋議員は、この事例に関しては同じような被害に合う人を増やさないためにも「ご遺族が公表を望んでいる」ということを何度も言ってきたのです。
それでも健康福祉部次長は、「ご家族の方に同意を求めてその情報を公表して行くという考えは今のところありません。ご家族からもし申し出があった場合についても、実際にその同意を取るべき遺族の範囲というのがどこまでなのか、ご両親までなのか、ご兄弟も含めてなのか、あるいはさらに祖父母も含めてかというあたりですとか、実際にインターネット上とか、SNS上での誹謗中傷のリスクを十分に踏まえた上で同意をしていただかなければならないという課題もあり、慎重に判断しなくてはいけないことだというふうに考えております」と答えていました。
ワクチン接種による被害者への誹謗中傷
そもそも、ワクチン接種によって健康被害にあった方や、死亡した方のご遺族は、なぜ誹謗中傷されるのでしょうか。Xを見ていると、たしかに誹謗中傷があります。しかも、かなりヒドい攻撃です。
ヒドい攻撃にあっていた方の1人は、須田さんです(下記参照)。
須田さんへの中傷について、法的手続により投稿者を特定し、損害賠償金支払と謝罪を公にする内容での示談が成立した事例もあります。
このような誹謗中傷の原因は、国や地方自治体、そしてメディアにあるのではないでしょうか。
国や地方自治体、メディアは「ワクチンは効果がある」「ワクチンは安全」という情報を流し続けて接種を推奨し、「ワクチン接種による重大な健康被害などあるはずがない」というストーリーを作り上げました。
そのような中で起きる接種後の死亡や健康被害は、ワクチンの安全性を否定し、政府やメディアが作り上げたストーリーからはみ出すことなので、「あるはずがない」こととして扱われました。元ワクチン担当大臣は「デマ」と言ったり、Xでも様々な人が前述のような誹謗中傷をしたのです。
国はなぜ、審査報告書に書いてあることを国民に伝え、安全性については継続中の臨床試験や製造販売後の調査から情報収集を行う必要があると言わなかったのでしょうか。死亡事例などが起きたとき、すぐに国として公表していれば、SNS上での発信もデマとは扱われなかったのではないでしょうか。
上記の記事では、厚労省のサイトで2021年5月26日に公開された「副反応疑いの報告」を取り上げています。医療従事者等への先行接種が始まったのが2021年2月17日でしたが、すでに85例の死亡が報告されていました。
資料1-3 新型コロナワクチン接種後の死亡として報告された事例の概要
記事で取り上げた44歳の事例には、報告者の意見として「日本で起きている数例の死亡事例のように接種後3日~4日に脳出血を起こしている事例から見ると、ワクチン接種が体の負担をさらに助長した可能性は否定できないと考察する」と書かれています。この時点で、接種後3日から4日目に脳出血を起こした事例が数例報告されていたということです。「副反応疑い」としてこういった事例があったことも、当時は国もメディアもまったく報じていませんでした。
審査報告書は、PMDAのサイトで公開されています。誰でも見られるものですが、わざわざ見る人は少ないでしょう。だからこそ、国やメディアが伝えるべきだったのではないのでしょうか。
追加の注意喚起も検討するなどの必要があると書かれていますが、入浴に関する注意は、こっそりQ&Aや説明書の文章を変えただけでした。これで、注意喚起したといえますか?
入浴中の死亡について国が速やかに公表していれば、13歳の少年や彼と同じような状況で亡くなった方たちが、亡くならずに済んでいたかもしれません。
HPVワクチンによる被害者への誹謗中傷についても、本当にヒドいものです。その多くは、日本の接種率が低いことを被害者のせいにしています。「接種後の被害はワクチンのせいではないのに、ワクチンのせいだといって接種を躊躇させ、子宮頸がんで亡くなる人を減らすことを妨げている」と言っているのです。
HPVワクチンについても、「安全性は世界で確認されていて、接種すれば子宮頸がんにならない」というストーリーを国が作り上げています。一方で、調査結果を歪めて国民に伝えてきました。そのストーリーを守るために、国は本気で調査を行っていません。
誹謗中傷の原因を作っているのは、国や地方自治体、そしてメディアです。被害を隠したり、事実を事実として認めないから、誹謗中傷が増えるのではないでしょうか。
もちろん、個人情報の保護も大切です。けれども、本気で市民の命を守りたいと思っていたら、個人を特定されない範囲で事実を伝えたいと思うはずです。しかも、この事例はご遺族が公表を望んでいるのに、なぜ市として公表しないのでしょうか。