見出し画像

2024年10月から、ジェネリックがあるのに先発医薬品を希望すると「特別の料金」が発生!

2024年10月1日から、ジェネリックがあるのに先発医薬品を希望すると、「特別の料金」を支払うことになるそうです。対象となる先発医薬品のリストが、厚労省のサイトで公開されています。いつのまにか決まっていたようですが、処方されている薬について考えるきっかけになると思い掘り起こしてみました。


先発医薬品を希望すると発生する「特別の料金」とは?

厚労省のサイトで、下記の情報が公開されています。


https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_39830.html


https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_39830.html

特別の料金とは
 先発医薬品と後発医薬品の価格差の4分の1相当の料金のことを言います


 例えば、先発医薬品の価格が1錠100円、後発医薬品の価格が1錠60円の場合、差額40円の4分の1である10円を、通常の1~3割の患者負担とは別に特別の料金としてお支払いいただきます。

・「特別の料金」は課税対象であるため、消費税分を加えてお支払いいただきます。
・端数処理の関係などで特別の料金が4分の1ちょうどにならない場合もあります。
・後発医薬品がいくつか存在する場合は、薬価が一番高い後発医薬品との価格差で計算します。
・薬剤料以外の費用(診療・調剤の費用)はこれまでと変わりません。

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_39830.html


https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_39830.html

ジェネリックがあるのに患者自身で先発を希望した場合、例えば、先発医薬品の価格が1錠100円、後発医薬品の価格が1錠60円の場合、差額40円の4分の1である10円(+消費税)を、通常の1~3割の患者負担とは別に「特別の料金」として支払うことになる、ということのようです。

日本薬剤師会のサイトで、計算例が公開されています。患者向けの資料ではありませんが、負担額のイメージが伝わるかと思います。

後発医薬品のある先発医薬品(長期収載品)の選定療養関連通知等について(補足資料)


https://www.nichiyaku.or.jp/assets/uploads/pharmacy-info/2025/04.pdf


https://www.nichiyaku.or.jp/assets/uploads/pharmacy-info/2025/04.pdf

※C(患者自己負担)=B × 自己負担率(1割~3割)

ただし、過去にそのジェネリックで副作用が出たとか、薬局にジェネリックの在庫がないから先発になったような場合は、「特別の料金」を払う必要はないとのこと。

厚労省のサイトでは、対象医薬品のリストが公開されています。PDFだと50音順になってなくて探すのが大変なので、Excelをダウンロードして品名の並び換えをして見ると探しやすいです。

対象医薬品リスト(※令和6年7月12日更新)
PDF[260KB]
Excel[109KB]

ジェネリックと先発医薬品は「同じ」なのか?

厚労省のサイトには「後発医薬品は、先発医薬品と有効成分が同じで、同じように使っていただけるお薬です」と書かれていますが、「過去に当該後発医薬品において副作用が出たことがある場合等はご相談ください」とも書かれています。先発ならなかった副作用があったということになり、これは「同じように使える」という説明と矛盾していると思います。

例として、モーラステープという湿布薬の添付文書を比べてみます。湿布薬は安易に使いがちですが、高齢者の湿布依存が問題となっていたり、貼りすぎによる副作用などもあるので注意が必要です。

下記のサイトで、先発医薬品からジェネリックを調べることができます。

先発「モーラステープ」の一般名は、「ケトプロフェン」です。

たくさんのジェネリックがあり、PMDAのサイトでそれぞれの添付文書も公開されていますが、その中から先発と3社のジェネリックを比べてみます。

有効成分は「ケトプロフェン」ですが、それぞれ添加剤が違っています。

先発医薬品「モーラステープ」(久光製薬) 19.3円/1枚

https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/ResultDataSetPDF/650034_2649729S2169_2_16

ジェネリック 12.3円/1枚

日医工

https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/ResultDataSetPDF/530169_2649729S2126_2_08

東和薬品

https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/ResultDataSetPDF/480235_2649729S2266_1_05

帝國製薬

https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/ResultDataSetPDF/470006_2649729S2223_3_04

これらの違いによって、剥がれやすさ、蒸れ、かぶれなどの違いがでてくるようです。

湿布薬に限らず、内服薬などでも「同じように使える」とは言えないことが、下記の調査で明らかになっています。

ジェネリックへの「置き換え」について、全国保険医団体連合会が記事にしていました。現場の医師などにアンケート調査を行った結果、ジェネリックが同じように使えるわけではない事例が多数紹介されています。

以下、一部引用。

https://hodanren.doc-net.or.jp/info/news/2023-12-1-2/


岡山県保険医協会が実施したアンケート調査より(2023年11月28日)

先発品と後発品は確かに主となる薬の成分は同じですが、主薬以外の添加物はまず異なります。添加物とは、例えば錠剤の周りのコーティング、塗り薬の基剤、湿布薬の布や粘着剤などです。これらは製薬メーカーによって意外と大きく異なります。

例えば、潰瘍性大腸炎の治療薬であるアサコールは、メサラジン腸溶錠といって、メサラジンが腸で溶けて作用する薬剤です。この薬は潰瘍性大腸炎の病変部位である大腸で集中的に効果を出すために、回腸末端から大腸全域にメサラジンが放出されるように体内での溶解の開始のタイミングが設計されています。

後発医薬品はアサコールよりも早く小腸で融解が始まってしまうため、「大腸にメサラジンが高濃度を保ったまま到達しない」との指摘がありました。逆に薬剤が均等に徐放されることで効果を長時間均一に維持したいにもかかわらず、均等に徐放されないとの意見が出されたのが、高血圧症の治療薬であるインデラルや関節リウマチの治療薬リマチルの後発医薬品などです。

https://hodanren.doc-net.or.jp/info/news/2023-12-1-2/


後発品への置き換え困難に関する緊急アンケート 調査結果の詳細

このような違いがあることも知った上で、ジェネリックを選択するかしないかを考える必要があると思います。そうなると、「同じ」ではないのだから、安いものを選ばなかったからといって「特別の料金」が発生するのはなんだかおかしな話です。

前述の調査結果を見ると、医師らの反対コメントがなかなか興味深いです。

以下、ほんの一部です。

https://hodanren.doc-net.or.jp/wp-content/uploads/2019/09/okayama.pdf
https://hodanren.doc-net.or.jp/wp-content/uploads/2019/09/okayama.pdf


その薬は本当に必要なのか?

この機会に、自分や家族に処方されている薬について添付文書などを確認してみるのがよいと思います。ジェネリックとの違いだけでなく、副作用などについても知らずに飲んでいるかもしれません。その薬が本当に必要なのか、医師に言われるままに飲むのではなく、自分でも考えることが、無駄なお金を使わず、健康を守ることにもつながると思います。

前述の全国保険医団体連合会は、紙の保険証を残すための発信もしています。いろいろと参考になる記事が公開されているので、ぜひチェックしてみてください!