レプリコンワクチンに対する「各分野の第一級でご活躍の研究者」の発言
別の記事を書くための掘り起こしをしていたら、PMDAの専門部会議事録に、レプリコンワクチンに対する興味深い発言がありました。「各分野の第一級でご活躍の研究者」の発言なのに、なぜ広く知らせないのでしょうか。
2023年8月10日開催の専門部会
医薬品等の承認審査業務を行っているPMDA(独立行政法人医薬品医療機器総合機構)は、より有効性・安全性の高い医薬品等を迅速に国民に提供するという理念に基づき、先端科学技術応用製品へのより的確な対応を図ることを目的として科学委員会を設定しています。
下記は、その専門部会の1つです。
第2回(2023年8月10日開催)
第2回標的特異性を有するin vivo遺伝子治療用製品のベクターに関する評価の考え方専門部会議事録 2023年8月10日
資料2 位髙委員 講演資料
副部会長 位髙啓史氏(東京医科歯科大学生体材料工学研究所 教授、大阪大学感染症総合教育研究拠点 教授)の発言より
上記は、「2023年8月10日」に開催された専門部会の議事録です。この時点で位髙氏は、「普通に考えて、この ようなmRNAを増幅させるなんていうことをして、安全性はどうなのかと。」と言っています。
不自然なのは、VLP Therapeutics 社が治験をしていることには触れているのに、Meiji Seika ファルマ社については触れていないことです。Meiji Seika ファルマ社は2023年4月と6月に、すでに承認申請していたはずです。
2023 年 4 月 28 日 初回免疫の国内製造販売承認申請に関するニュースリリース
2023 年 6 月 30 日 追加免疫の国内製造販売承認申請に関するニュースリリース
専門部会については、PMDAのサイトに下記のように書かれています。
このような会議に参加する人たちにとって、レプリコンワクチンが承認申請されたことは大きな関心事だと思うので、触れないのは不自然な気がします。
「普通に考えて、この ようなmRNAを増幅させるなんていうことをして、安全性はどうなのかと。」と言った位髙氏は、mRNA医薬を用いた変形性関節症(OA)に対する機能維持治療法の開発を進めています。
「各分野の第一級でご活躍の研究者」として参画し、自身もmRNA技術を研究している立場からの発言となると、通常なら軽視できないはずです。けれども、このような発言が2023年8月にあったにも関わらず、2023年11月にはMeiji Seika ファルマ社のレプリコンワクチン(コスタイベ筋注用)は承認されました。
普通に考えたら、承認は見送ると思います。今は緊急事態でもありません。「優先審査」をする必要もなかったはずです(下記参照)。
位髙氏が提出した資料には、mRNAワクチンの課題に関するページもありました。
「免疫誘導メカニズムはまだはっきりしていない」とのこと。あれだけ多くの人が接種した今でも、まだはっきりしていないそうです。肝臓への集積性というのも、もっと詳しく調べるべきではないのでしょうか。
承認審査では、「本剤接種によるヒトでの肝毒性に関するリスクは低いと考える」と言っていましたが、リスクは予想より高かったのではないでしょうか(下記参照)。
「各分野の第一級でご活躍の研究者」と議論した結果なら、なぜもっと広く周知させないのでしょうか。
2024年10月には、東京医科歯科大学と東京工業大学が統合して「東京科学大学」となります。mRNA医薬の研究も加速しそうですが、副作用等の問題については研究されるのでしょうか。