NHKが、アンソニー・ファウチ氏への独占インタビューを行ったという記事がありました。彼は、昨年12月にアメリカの国立アレルギー感染症研究所(NIAID)所長を退任しています。NHKはなぜこのタイミングでインタビューし、彼の発言を国民に知らせたのでしょうか? NHKが報じてきた、彼に関する過去の記事を掘り起こしてみました。
「対策としてはワクチン接種が最も有効」 以下、NHKニュースからの引用です。
米 ファウチ博士 “状況に応じてマスク着用の推奨継続すべき” 2023年1月23日 21時05分 アメリカで新型コロナの感染対策を主導してきたファウチ博士がNHKの単独インタビュー に応じ、日本では、いわゆる「3密」の回避とマスクの着用が比較的、定着したことが、感染対策として有効だったと評価したうえで、今後も状況に応じて、マスク着用の推奨を継続すべきだと提言しました。 アメリカのアンソニー・ファウチ博士は、感染症研究の第一人者で、当時のレーガン大統領以降、歴代7人の大統領のもとで感染症対策に取り組み、先月までアメリカ政府の首席医療顧問として、新型コロナの感染対策を主導してきました。 ファウチ博士は、このほど、NHKの単独インタビューに応じ、世界の今の感染状況について、各国で状況は異なるとしながら、「私たちはまだパンデミックのまっただ中にいる」という認識を示しました。 日本のこれまでの新型コロナ対策については「『3密』の回避とマスクの着用が社会の中で比較的、定着したことが日本の感染対策に有効だった」と評価したうえで、アメリカではCDC=疾病対策センターが地域ごとの感染状況などを基準に、場合によっては屋内でのマスク着用を推奨していることを例に挙げ、「日本でも今後も感染状況に応じて屋内でのマスク推奨を行うべきだ」と提言しました。 新型コロナウイルスの感染拡大に対し、WHO=世界保健機関が「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」を宣言してまもなく3年になります。 ファウチ博士は、新型コロナだけでなく新しい感染症は今後も発生し続けるとして、世界は永続的に警戒を続けなければならないという認識を示しました。 そのうえで、新型コロナへの対策としてはワクチン接種が最も有効だとして、「私たちは世界中で、ワクチンをまだ接種していない人だけでなく、接種した人にも最新の追加接種を受けてもらうよう、もっと努力しなければならない」 と話していました。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230123/k10013958481000.html?utm_int=nsearch_contents_search-items_001 今後も、まだまだワクチンを接種させようとしているととれる発言です。
インタビューの詳細は、下記にあります。
日本の対策についてNHK側から、「感染症法上の位置づけの移行は?」「屋内でのマスク着用推奨は今後どうすべきか」などの質問をしています。
異常なスピードでワクチン開発を開始!? 彼の発言をNHKがどのように取り上げてきたか、さかのぼって調べてみました。
2020年1月27日
新型肺炎 感染経路分からず ワクチンや特効薬はなし 2020年1月27日 17時42分 新型コロナウイルスは、これまでには知られていない新たに確認されたウイルスで、感染経路が分かっていないほか、人類はこのウイルスに対する免疫を持たないと考えられ、ワクチンや特効薬はありません。 (中略)アメリカ国立アレルギー・感染症研究所は、新型コロナウイルスのワクチンの開発を進めている ことを明らかにしました。 研究所のアンソニー・ファウチ所長 は、アメリカメディアの取材に対して「3か月以内にワクチンの効果や安全性を確かめるための臨床試験を始める」 と話しています。 (以下略)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200127/k10012260711000.html?utm_int=nsearch_contents_search-items_101 2020年1月27日の記事で、すでに「3か月以内にワクチンの効果や安全性を確かめるための臨床試験を始める」 と言っていました。
コミナティ筋注 審査報告書 より ファイザー社製ワクチンの審査報告書には、WHOがこの肺炎が新型コロナウイルスによるものだと発表したのが2020年1月12日 だと書いてあります。
それから約2週間後には、もうワクチンの開発について「3ヶ月以内」などと具体的に言っていたのです。
コミナティ筋注 審査報告書 より ファイザー社がいつからワクチン開発したかは、「月」が黒塗りになっています。なぜ隠す必要があるのかわかりませんが、おそらく1月なのでしょう。
スパイクバックス 審査報告書 より 一方、モデルナ社のワクチンは、2020年1月から開発が進められ、3月には臨床試験を開始したと書かれています。
ファウチ氏がいつからワクチン開発の開始について述べていたか、他のニュースも調べてみました。
下記の記事には、2020年1月28日の記者会見 でこのことに触れたことが書かれています。
US health officials fast-track coronavirus vaccine, hope to start clinical trial in three months Published Tue, Jan 28 20202:42 PM EST CNBCより
“It will take three months to get it into the trial, three months to get safety, immunogenicity data,” Fauci said during a press briefing on the nation’s response to the coronavirus.
https://www.cnbc.com/2020/01/28/us-fast-tracks-coronavirus-vaccine-hopes-to-start-trial-in-three-months.html ところが、1月23日 の記事でも、インタビューで同様のことを語っていたことがわかりました。
Coronavirus Vaccine Candidate Eyed for Human Trials by April (1) Jan. 23, 2020, 4:28 AM; Updated: Jan. 23, 2020, 5:16 AM Bloomberg law より
“We’re already working on it. And hopefully in a period of about three months, we’ll be able to start a phase I trial in humans,” Fauci said.
https://news.bloomberglaw.com/pharma-and-life-sciences/coronavirus-vaccine-candidate-eyed-for-human-trials-by-april 「すでにワクチンの開発に取り組んでいる。うまくいけば、約 3 か月以内に、ヒトでの第 I 相試験を開始できるだろう」
WHOの発表が1月12日だったのにもう開発に取り組んでいるなんて、早すぎます。
さらにこの記事には、国立アレルギー・感染症研究所(NIAID)は、モデルナ社と協力しているとありました。
The NIAID is collaborating with Moderna Inc. , a Cambridge, Mass. biotechnology company, to use its RNA-based vaccine technology to develop a new vaccine.
https://news.bloomberglaw.com/pharma-and-life-sciences/coronavirus-vaccine-candidate-eyed-for-human-trials-by-april モデルナ社と深く関わりのある人物に、NHKはなぜこのタイミングで単独インタビューを行ったのでしょうか。
以前の記事で検証しましたが、2020年12月23日 にファウチ氏の「ワクチンの有効性と安全性に絶大な信頼を持っている」 という発言を報じたあたりから、NHKはワクチンに対して慎重な意見を取り上げなくなっていきました(下記参照)。
2023年になり、やっと週刊誌などがコロナワクチン接種後の死亡事例を少しずつ取り上げるようになってきました。それなのに、このタイミングで「ワクチンの有効性と安全性に絶大な信頼を持っている」人物にインタビューするなんて、NHKはいつまで偏った報道を続けるのでしょうか。
集団免疫に関するファウチ氏の発言 さらに掘り起こしていくと、集団免疫に関して気になる発言がありました。
集団免疫「人口の70~90%が免疫持つ必要」米政府コロナ専門家 2020年12月25日 18時51分 ワクチンなどによって、人口のどれくらいが免疫を持てば感染が広がりにくくなる「集団免疫」と呼ばれる状態になるのかについて、アメリカ政府の新型コロナウイルス対策チームのファウチ博士 は、有力紙ニューヨーク・タイムズのインタビューで「正確には分からないが、70%から90%の間だと思う」と述べ、人口の7割以上が免疫を持つ必要があるという見方を示しました。 多くの人が免疫を持つようになることで感染が広がりにくくなる「集団免疫」について、ニューヨーク・タイムズは、ファウチ博士のインタビュー記事を24日の電子版に掲載しました。 (以下略)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20201225/k10012784831000.html?utm_int=nsearch_contents_search-items_049 アメリカでコロナワクチンの接種が始まったのは、2020年12月14日です。開始して10日ほどで、このような発言をしていました。
一方、集団免疫について、厚労省は下記のように説明しています。
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000662188.pdf 集団免疫効果が見られるためには、ワクチン自体に感染/発症予防効果 があることが前提であるけれど、新型コロナでは感染予防効果の実証はほぼ不可能と考えられると言っています。この資料は何度も登場しますが、これは2020年8月21日の資料です。
また、厚労省HPのQ&Aにも、下記のように書かれています。
https://www.cov19-vaccine.mhlw.go.jp/qa/0019.html なお、感染症の種類によって、集団免疫を得るために必要な免疫を持つ人の割合は異なります。また、ワクチンによっては、 接種で重症化を防ぐ効果があっても感染を防ぐ効果が乏しく、どれだけ多くの人に接種しても集団免疫の効果が得られないこともあります。 新型コロナワクチンによって、集団免疫の効果があるかどうかは分かっておらず、分かるまでには、時間を要すると考えられています。
https://www.cov19-vaccine.mhlw.go.jp/qa/0019.html どの時点での情報か年月日が書かれていませんが、「集団免疫の効果があるかどうかは分かっておらず、分かるまでには、時間を要すると考えられています」 と書いてあります。
けれども、いつのまにか「集団免疫」が接種の売り文句になっていきました。「みんなのため」になるなんて、臨床試験では調べてもいないし、ワクチンの添付文書にも書かれていないのに。
https://www.city.matsusaka.mie.jp/uploaded/attachment/56272.pdf 地方自治体のチラシを、厚労省はチェックしないのでしょうか。「ウイルスを完全に終息させる」なんて、完全にアウトだと思います。
https://www.pref.kagawa.lg.jp/documents/27043/20210922_panel5.pdf 裏面
https://www.pref.kagawa.lg.jp/documents/27043/20210922_panel6.pdf 拡大
https://www.pref.kagawa.lg.jp/documents/27043/20210922_panel6.pdf 添付文書にない効果がいろいろ書かれていますが(下記参照)、「香川県調査」とはどのようなものか気になります。
追記:2023年1月30日 「香川県調査」について調べました。
多くの地方自治体は集団免疫という幻想を抱かせ、「社会のため」「みんなのため」という表現を使って人々を接種へと誘導していきました。
けれども2021年9月3日には、集団免疫の獲得は困難だと、新型コロナウイルス感染症対策分科会が認めています。
ワクチン接種が進む中で日常生活はどのように変わり得るのか? 令和3年9月3日(金) 新型コロナウイルス感染症対策分科会
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/ful/taisakusuisin/bunkakai/dai7/vaccine_nichijou.pdf 上記の理由や諸外国の知見を踏まえると、我が国において全ての希望者がワクチン接種を終えたとしても、社会全体が守られるという意味での集団免疫の獲得は困難 と考えられる。
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/ful/taisakusuisin/bunkakai/dai7/vaccine_nichijou.pdf 厚労省は「わからない」としていたのに、なぜNHKはファウチ氏の発言だけを報じたのでしょうか。
この記事に出てくるニューヨーク・タイムズの元記事(How Much Herd Immunity Is Enough? Dec. 24, 2020)には、下記のように書かれていました。 ※下記から飛ぶと登録画面がでてしまいますが、「How Much Herd Immunity Is Enough?」で検索して飛ぶと、普通に読めるようです。
The Centers for Disease Control and Prevention offers no herd immunity estimate, saying on its website that “experts do not know.”
https://www.nytimes.com/2020/12/24/health/herd-immunity-covid-coronavirus.html 「アメリカのCDC(疾病予防管理センター)は、専門家にもわからないと、集団免疫の推定値をWebサイトで提供していない」
さらにこの後の記述で、WHOの予防接種担当Dr. Katherine O’Brienは、 “We should say we just don’t know. (わからないとしか言うべきではない)”と言っているのです。集団免疫についてインタビューした他の疫学者も、「回答は推測に過ぎない」と強調していました。
NHKはそれらには触れず、ファウチ氏の発言だけを取り上げていました。ニューヨーク・タイムズの全文を読むと、NHKの記事とは印象がかなり違います。
日本にワクチン製造拠点を作る狙いとは? 2022年5月にもNHKはファウチ氏にインタビューを行っており、追加接種について下記のように言っています。
米ファウチ博士 “今後幅広い年代にワクチン追加接種が必要” 2022年5月19日 7時27分 アメリカ政府の新型コロナウイルス対策を主導してきたアンソニー・ファウチ博士は18日、NHKのインタビューに対し、 ことしの秋以降に感染が拡大する事態に備え、より幅広い年代の人にワクチンの追加接種が必要になる という見方を示しました。 (以下略)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220519/k10013632741000.html?utm_int=nsearch_contents_search-items_005 そして2022年9月には、5歳~11歳の子どもにも追加接種が行われるようになりました。
最初の記事に戻ってみると、ファウチ氏はNHKの単独インタビューに応じ、ワクチンについて下記のように言っています。
2023年1月23日の記事
新型コロナへの対策としてはワクチン接種が最も有効だとして、「私たちは世界中で、ワクチンをまだ接種していない人だけでなく、接種した人にも最新の追加接種を受けてもらうよう、もっと努力しなければならない」 と話していました。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230123/k10013958481000.html?utm_int=all_side_ranking-social_001 ファウチ氏と協力してワクチン開発を行ってきたモデルナ社は、日本にワクチン製造拠点を作ろうとしています。 2022年9月15日の記事
NHKが、アメリカの政府職を退任した、モデルナ社と深い関わりがある人物のインタビューをこのタイミングで行い、「ワクチンをまだ接種していない人だけでなく、接種した人にも最新の追加接種を受けてもらうよう、もっと努力しなければならない 」という発言をわざわざ国民に伝えているのです。これまでの流れを考えても、ただのインタビュー記事として読み流すべきではないように感じます。