コロナワクチンの効果や安全性について、国や自治体は薬機法などを無視してよいのか?
9月20日からの接種に使用されるオミクロン株XBB対応ワクチンについて、SNS上では効果を表すグラフの問題点が指摘されています。グラフの見せ方で実際よりも優れているように思わせることは、薬機法などに違反しないのでしょうか。
医薬品等の広告規制
厚労省のサイトには、広告規制について下記のように書かれています。
「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」(薬機法)
SNSで問題が指摘されているグラフは、承認審査の際にファイザー社が提出したものです(下記参照)。
このグラフについて、SNSで「縦軸が対数になっているので、常数にすると効果がほとんどないことがわかる」という指摘を見ました。実際に自分でもExcelでグラフを作ってみましたが、ビックリするほど効果が違って見えます。
真ん中のグラフだけですが、下記のようになりました。XBBの1価ワクチンのはずなのに、必要のない起源株に対する中和抗体値がダントツで、XBBの中和抗体はほんの少しです。これで、XBB株に効果があるといえるのでしょうか。「期待できる」とも思えません。
対数グラフは、急激に値が増加するときなどに、変化の全体像がわかりにくくなってしまうので、データの全体が収まるようにするために使われるようです。
けれどもこの棒グラフは、別に常数のままでも全体像はわかります。効果がたいしてないことを隠すために、あえて対数にしたと思われてもしかたないでしょう。
さらに、このグラフのXBB1.5に対する中和抗体値だけに注目して、台東区は下記のグラフを作りました。
追記:出典が書いてなかったので台東区が作ったと思ったのですが、どうやら厚労省が作った資料から一部を切り抜いたようです。
https://www.mhlw.go.jp/content/001116892.pdf
こんな書き換えは、「誇大」や「不当表示」にあたらないのでしょうか。縦軸に「対数」と書いていますが、比較となる起源株の数値は書かれていません。これだけでは、XBB株に対して、すばらしい効果があるように見えてしまいます。
この部分は、厚労省のサイトにある文章と同じです。
「期待されていると考えられています」という表現なので、「効果が向上する」とは言っていません。けれども、厚労省や自治体が言っているとなると、「効果又は性能について、医師その他の者がこれを保証したものと誤解されるおそれがある」のではないでしょうか。
しかも、「重症化予防効果はもとより」というのは、重症化予防効果は当然あるような印象を与えます。
何度も書いていますが、承認審査では重症予防効果は認められていません(下記参照)。
医薬品等適正広告基準の解説及び留意事項等について(平成29年9月29日薬生監麻発0929第5号厚生労働省医薬・生活衛生局監視指導・麻薬対策課長通知)
審査をもとに書かれている添付文書には、効能・効果について下記のように書かれています。
予防効果の持続期間は確立していないし、重症化を予防するとも書いていません!
本来ならサイトやパンフレットには、リスクについて「XBB対応ワクチンは、マウスのデータだけで承認(特例承認の一部変更承認)されたもので、ヒトに接種したデータはまだ集まっていません。予防効果がどれくらい続くかもわかりませんし、重症化予防効果は承認審査では認められていません。必要であれば、製造販売後に有効性・安全性の確認を行うことになります」と書かなければならないはずです。
違反を指摘する立場である厚労省が、自ら上記のような表現を使い、自治体もそれに習って接種を勧めています。
これまでも国や自治体は、一般企業の広告ならかなり悪質なレベルと思われる表現を使ってきました(下記参照)。薬機法の「何人も」の中に、国や自治体は入らないのでしょうか。