デイリー新潮に、レプリコンワクチン(自己増殖型ワクチン)反対運動を行っている「mRNA ワクチン中止を求める国民連合」の主張と、Meiji Seika ファルマ社の主張が書かれた記事がありました。Meiji Seika ファルマ社側は、「mRNA ワクチン中止を求める国民連合」が出した公開質問状の内容いついて「前提条件が非科学的で事実関係も確認できないことばかり。笑止千万、荒唐無稽」と語っています。これに関連した資料を掘り起こしました。
デイリー新潮の記事 前編は反対運動側の記事です。
後編は、Meiji Seika ファルマ社側の記事です。
以下、後編から一部引用します。
問題の「シェディング」についても「科学的根拠が全く示されていない」と、次のように反論する。 「シェディングは確かに学術誌に記載があるのですが、その学術誌は主要なデータベースにも引っかからず、いわば“権威”の担保がない。さらに、編集長も副編集長も医師や生物学者ではないジャーナリストや弁護士で、いわく因縁付きの反ワクなんです。いわば、組織的に立ち上げられた学術誌にお金を払って都合の良い論文が投稿され、それを別の反ワクが引用して一般人をだましている。こうして反ワクが闇の経済につながっているのです」(前出の広報担当者)
https://www.dailyshincho.jp/article/2024/11040557/?all=1 シェディングについては、FDAもガイダンスを作っています。FDAは“権威”の担保にはならないのでしょうか。
Design and Analysis of Shedding Studies for Virus or Bacteria-Based Gene Therapy and Oncolytic Products Guidance for Industry
The Center for Biologics Evaluation and Research (CBER)/Office of Cellular, Tissue, and Gene Therapies (OCTGT) is issuing this guidance to provide you, sponsors of virus or bacteria-based gene therapy products (VBGT products)1 and oncolytic viruses or bacteria (oncolytic products)2 with recommendations on how to conduct shedding studies during preclinical and clinical development. For purposes of this guidance, the term “shedding” means release of VBGT or oncolytic products from the patient through one or all of the following ways: excreta (feces); secreta (urine, saliva, nasopharyngeal fluids etc.); or through the skin (pustules, sores, wounds).
上記のガイダンスは、前臨床開発および臨床開発中に排出(shedding)研究を実施する方法に関する推奨事項を提供するために発行されたと書かれています。対象となるのは遺伝子治療製品(VBGT 製品)および腫瘍溶解性製品であり、「排出」という用語は「排泄物 (糞便)、分泌物 (尿、唾液、鼻咽頭液など)、または皮膚 (膿疱、ただれ、傷) のいずれかまたはすべての方法による患者からの VBGT または腫瘍溶解性製品の放出を意味する」とのこと。
ワクチンは予防が目的なので定義上、遺伝子治療の枠から外されてきました。それについては、下記の記事で詳しく議事録なども掘り起こしています。 ※シェディングは、伝播や排出などと呼ばれています。
mRNAワクチンが遺伝子治療に含まれるかの議論はずっとされていましたが、2024年8月8日に開催された「第88回厚生科学審議会感染症部会」の資料には、「 in vivo 遺伝子治療のうち、疾病の予防を目的とするものについても、 細胞医療(ex vivo 遺伝子治療を含む)と同様に再生医療等安全性確保法の対象となるという点で概ね意見が一致した」と書かれています。
https://www.mhlw.go.jp/content/10906000/001285609.pdf 「in vivo遺伝子治療等や遺伝子治療等の関連技術には、人の疾病の予防を目的とする、核酸等を用いたワクチン(mRNAワクチンなど)も含まれる」 と書かれているのです。赤字部分で「ワクチンについては、公衆衛生施策上必要なものは・・・個別に除く」と書いてありますが、技術としてはmRNAワクチンも遺伝子治療等に含まれるなら、シェディングの可能性も考えるべきではないのでしょうか。
権威の担保がそんなに重要なのでしょうか。少しでもリスクがあるなら、調べようとするのが製薬会社の責任ではないのでしょうか。
以下、前述したFDAのガイダンスより。
IV. WHY COLLECT SHEDDING DATA DURING PRODUCT DEVELOPMENT? Shedding studies should be conducted for each VBGT or oncolytic product to provide information about the likelihood of transmission to untreated individuals because historical data alone may not be predictive of the shedding profile. Shedding data can be used to evaluate measures to prevent transmission.
https://www.fda.gov/files/vaccines%2C%20blood%20%26%20biologics/published/Design-and-Analysis-of-Shedding-Studies-for-Virus-or-Bacteria-Based-Gene-Therapy-and-Oncolytic-Products--Guidance-for-Industry.pdf 遺伝子治療を行った患者以外への感染の可能性に関する情報を提供するために、排出研究を実施する必要があり、排出データは、感染を防ぐための対策を評価するために使用できる、と書かれています。
つまり、シェディングが起きる可能性があるなら、周囲の人は対策をする必要があるのです。安全を第一に考えたら、排出研究は当然やるべきことだと思います。なぜ、「反ワクが一般人を騙している」などというのでしょうか。
公開質問状 デイリー新潮の記事に戻ります。
続いて、村上氏らの“対話の要請”に応じてこなかったとの指摘については、 「公開質問状は受け取りましたが、内容を拝見したところ前提条件が非科学的で事実関係も確認できないことばかり。笑止千万、荒唐無稽で、強いて答えるなら『全く非科学的でナンセンスなので答えるに値しません』としか言いようがありません。弊社の窓口にもお電話をいただき、室長が対応いたしましたが、こちらの科学的な主張とかみ合わず、後半はこちらがただ傾聴するような形になった。そうしたら後日、動画で『全く知識がなくて驚いた』と話され、逆に驚きました」(前出の広報担当者) と、あくまで強気の姿勢を崩さないのだ。
https://www.dailyshincho.jp/article/2024/11040557/?all=1&page=2 村上氏とは、「mRNA ワクチン中止を求める国民連合」の副代表を務める村上康文氏(東京理科大学名誉教授)のことです。公開質問状とは、下記のことだと思います。
レプリコンワクチンに対する公開質問状
これが、笑うしかないくらいばかばかしいですか? でたらめですか?
例えば、下記は公開質問状「Ⅴ 治験について」の一部です。
https://hello.matrix.jp/stop_mrna/Download/724-Meiji.pdf 承認済みのコスタイベ筋注1価 審議結果報告書では、薬物動態の実験に使われた開発コードは、承認された ARCT−154とは異なっている。この点から下記の質問へのご回答をお願いします。 ① 承認された ARCT―154で薬物動態の調査をしない理由。
これについて、審査報告書を掘り起こしました。
2023年11月28日 審査報告書 (コスタイベ筋注用)
2.1 原薬 原薬である mRNA-2105(成分名:ザポメラン)は、ベネズエラウマ脳炎ウイルス(VEEV)由来のレプリカーゼタンパク質(nsP1、nsP2、nsP3 及び nsP4)及び SARS-CoV-2(起源株由来)の S タンパク質 全長(S1 及び S2)をコードする自己増幅型 mRNA である。
https://www.pmda.go.jp/drugs/2023/P20231122002/780009000_30500AMX00282_A100_3.pdf 審査報告書を見ると、「本剤」は開発原薬が「mRNA-2105」(成分名:ザポメラン)で製剤の治験成分記号が「ARCT-154」と書かれています。
下記は、薬物動態に関する部分の一部です。
https://www.pmda.go.jp/drugs/2023/P20231122002/780009000_30500AMX00282_A100_3.pdf 「本剤の胎盤移行性については、ARCT-021 のウサギ受胎能、胚・胎児及び発生後の発生毒性試験(CTD4.2.3.5.3-01)から考察した」と書かれています。ARCT-021は、開発原薬が「mRNA-2105」ではなく「mRNA-2002」ですし、コードされるSタンパク質遺伝子は起源株のみです。
なぜ「ARCT-154」で試験を行わなわずに、「ARCT-021」による考察 で申請したのか、疑問に思うのは当然ではないでしょうか。
さらに、審査をしているPMDAの方も、「主に ARCT-021 の試験成績から、本剤の分布・消失に係る薬物動態を説明することは許容可能 である」としています。これで、審査が正常に機能しているといえるのでしょうか。
このような疑問が、笑止千万、荒唐無稽ですか?
科学の世界の主流とは? デイリー新潮の記事に戻ります。
mRNAを用いたワクチンに対して、そのリスクを指摘したり効果に疑問を投げかけたりするような研究は確かに存在しています。ただ、それらは現状、科学の世界の主流、つまり定説にはなり得ていません。
https://www.dailyshincho.jp/article/2024/11040557/?all=1&page=2 mRNAを用いたワクチンに対して、そのリスクを指摘したり効果に疑問を投げかけたりするような研究があるのに、現状、科学の世界の主流ではないからといって、無視してよいのでしょうか。
むしろ、主流になる前にそれらの指摘に目を向けて、より安全な製品を目指すべきではないのでしょうか。
そうしなければ、すでに多くの人が接種後の健康被害で苦しみ、家族を亡くしているのに、さらに多くの被害を出すことになってしまうでしょう。
広報担当者は「企業の顔」だと思うのですが、Meiji Seika ファルマ社の方たちは、本当にあの公開質問状が笑止千万で荒唐無稽だと思っているのでしょうか。