旅することへの背中を押してくれる一冊 「47都道府県 女ひとりで行ってみよう」
「旅」というと、私は何かと自分に課しがちです。
名所に行かなくては、郷土料理を食べなくては、地元の人と(少し)触れ合わなくては、楽しんでリフレッシュしなくては、とか。
普段はそんな人間ではないのに、旅となるとぐっと熱量が上がり、あれもこれもと欲張って詰めてしまいます。
そして、例えば楽しみにしていたお店が臨時休業だったとか、何か一つし損ねると、せっかくの旅なのにとうんと悔しがってしまったり。
計画を練る段階でも楽しいし、行ってしまえば勿論楽しく、旅行後も思い出に浸ることが出来るとわかっているものの、最近はあれこれ考え始める時点で、年のせいかかなりパワーダウン。
どうも旅に出ることが億劫になってきています。
あまりにも、旅に期待しすぎなのかな。
しかし益田ミリさん著「47都道府県 女ひとりでいってみよう」を読んだ後は、こんな平熱感覚の旅行もありなんだ、と気が軽くなりました。
自分の中での旅へのハードルがぐっと下がったような気がします。
書店で出会ったこちらの文庫、今なら?地域限定版のカバー付き。
私が購入したのは北海道・東北版で、イカやリンゴやきりたんぽなど、北国ではおなじみの食材がミリさん流に描かれていてとても可愛らしいです。
内容は、タイトルでお察しの通り、47都道府県への女性一人旅の記録。
旅行を始めた当初は色々葛藤されていたけれど、旅を重ねるにつれ自然体になっていき、色んなことから自由になっていく過程が興味深いです(やはり途中揺れたりもしていますが)。
無理して好きでもない郷土料理を食べなくてもいいことにしよう(実際一度も食していない回もあります)とか、無理して地元の方と触れ合うこともなくいつも通りでいい、とか。
旅の主役は自分だから自分が楽しめればいい、というスタンス、とても共感出来ます。
まあ私も殆ど土産話の為にだけ、郷土料理を食べたりとかそんなに興味のない場所に行ってみたことが多かった、と今なら思います。
各旅ごとに、東京からの交通費・宿泊費、食費、施設料やお土産代など使った金額も記録されていて、やはり20年前より微妙に物価が上がっているんだなと気づいたり。
必ずと言っていいほど地元のスイーツを購入され、今迄知らなかったものも多かったので参考になります。
又、殆どの県で美術館・博物館等文化施設に立ち寄っているのは、さすがイラストレーターさんだな、と。
そして、陶器に絵付けをされている回が何度かありました。
作品はご自身で保存されているのかな、私、それ欲しい‥(ボソッ)。
観光客用の大きなものではなく地域住民のための祭りを見て、これが本来の祭りだと思ったり、目当ての催し物がすでに終わって空振りだったり、タクシーから見かけたレストランを2時間探しても結局見つからなくてもまあいっかと思ったり、本当に自然でラフな感じがいいです。
2002~2006年の4年間にかけて全国を回ったこの旅行記。
月一ペースで出かけるなんて、仕事のためとはいえすごすぎます。
私といえば、50代の今でも、訪れたことがある都道府県は、半分ほど。
そして在住している東北は、未だ全県制覇しておらず、まだ行ったことのない県が6県中2つも…。
大学生時代は住んでいた京都を拠点として関西のあちこちに遊びにいっていたけど、それが旅行のピークかもしれません。
これから少しづつ増やしていけるのかな。
そして一度訪問した県も、大人になった今又行ってみたいな。
特に修学旅行で行った場所は、慌ただしくてただ行って騒いできた、という記憶しかないし。
私の旅はいつも誰かと一緒だったけど、この本を読んで無性に一人旅に出かけたくなりました。