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小説学校犬タロー物語④、家出の時期をタイ国の放し飼い犬の状況から考察
見出しの写真はタイ国の田舎の村の放し飼いの犬の状況です。犬が鶏を襲うことは決してありません
タローが家出した時期
タローが家出した時期も、ちょうど良い時期で、この点でも幸運に恵まれていました。
放し飼いの犬が世間に受け入れられていた時期が終わろうとしていたが、身元がはっきりしていて危害を与える心配のない放し飼いの犬は近所の人に受け入れられていた時期なのです。
タローが支援者、食料提供者を求め、行動範囲を拡大して行ったとき、ライバルの放し飼いの犬は少なくなっていたのです。
この時期より早ければ,他の放し飼いの犬の縄張りに入れば戦って、勝たなければならなかったでしょう。もう少し遅い時期で放し飼いの犬がほとんどいなくなった時であれば、保健所に連絡されて、捕獲される危険が高かったでしょう。
筆者がこのように考えるに至った根拠
筆者は定年退職後、タイ国の田舎の村で年金暮らしをしています。タイの田舎の飼い犬の9割以上は放し飼いにされています。放し飼いにされていても、意外なほど行動範囲が狭いのです。
飼い主の家の庭と、その前の道路のみが行動範囲です。近所の犬同士が仲良くなった場合でも、飼い主の家から100メートルもしくは200メートル以上離れると見知らぬ犬の行動範囲に入り込み、喧嘩になるのです。
ただし例外もあります。大きなたくましい、喧嘩に強い犬なら、吠えかけられても、無視して,堂々と通り抜け、数百メートル以上も 離れた目的地に達することができるのです。
具体例をあげてみます。私は毎朝、村の朝市に出かけ、その日に必要な食材を買うことを日課にしています。
朝市は放し飼いの犬にとって餌を手に入れるには絶好の場所です。
朝市の近所の犬は毎朝、数匹やってきて地面に落ちている食べ物や、犬好きの人が投げ与えてくれる食べ物を求め、市場内を徘徊しています。遠くから来て、このおいしい場所に新規の犬が入り込むのは困難です。
一匹だけ遠くから通ってくる犬がいるのです。この犬は大きく、たくましい犬です。
途中でほかの犬が「俺の縄張りに入るな」と吠えても無視して通り抜けるのです。市場の近所の犬もこの犬の出会うと避けて、遠のくのです。この強い大型犬さえ縄張りにすることができたのは市場という狭い範囲です。
成犬になったばかりの中型犬タローが女子高校を起点にして半径約500に及ぶ地域を縄張りにできたのは、放し飼いの犬がどんどん減ってきつつある時期で、しかもまだまだ放し飼いに犬に対し寛容でもあった時期です。
放し飼いの犬が9割以上のタイ国のようであったならタローがいくつもの食糧源を確保できなかったでしょう。現在の日本のように放し飼いの犬が絶無に近い状態なら自由犬として生きることは不可能であったことでしょう。この両方の中間状態であった当時の日本の地方都市の郊外住宅地の状況がタローにとって幸運であったといえましょう。
したがって、今から後にタローのような生涯をおくることができる犬は決して現れないと思います。タローは幸せな生涯をおくることができた最後の野良犬であるといえます。
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タイの田舎で放し飼いになっている犬の現状,田舎の村の道路事情
その行動範囲は意外に狭く、安全であるとは言えません。道路に寝そべっている犬が多いので交通事故にあいやすいのです。
バイクや車に足をひかれ、3本の足でピョンピョン歩いている犬が多いのです。平均寿命も日本より短いようです。
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近所同士の人間が仲が良いと犬の行動範囲も広がります。
田舎の村の生活道路は生き物が沢山います。人間の社交の場だけではなく、犬たちの社交の場でもあります。鶏の親子の餌探しの場でもあります。ここに猫も登場します。
近所同士の付き合いが密なところでは、犬たちも近所の犬たちと仲良しになるのです。このような場合は犬の行動範囲も100メートルくらいまで広がります。