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【我流】Googleスプレッドシートで始めるコンテンツSEOのKPI管理入門

こんにちは、マーケティング部のSです。
普段はデジタルマーケティング案件でさまざまな施策を行なっています。

コンテンツSEOを始めたばかりの企業が直面する最大の課題は「何をどう管理すればいいのか分からない」ということではないでしょうか?
そんな私は、前職ではデジタルマーケティングはおろか、その場で調べて実践する業務環境だったので、「何?」を調べるのが得意になりました...

今回は初心者向けに、Google Analytics(GA4)やGoogle Search Console(GSC)の基本指標から、スプレッドシートを活用したKPI管理術を詳しく解説します。
初期段階で重要な指標の把握から運用を効率化する自動化の仕組みまで、スモールスタートで始められる実践的な方法を紹介します。


1.コンテンツSEOのKPI管理に必要な基礎知識

コンテンツSEOを始める企業が記事コンテンツを公開した際、成果を測るためにどんな指標をKPIとして設定すべきか。ここでは、GA4とGSCの指標を中心に解説します。

【前提】

  • アクセス解析ツール(Google Analytics、Google Search Console)は導入済み

  • 初期設定は完了しているが、設定はデフォルトのまま
    ※カスタムイベントなどをゴリゴリ設定している企業は釈迦に説法なので、この章は飛ばしてOKです

【GA4で確認すべき指標】

GA4では、ユーザーの行動やトラフィックの質を分析するため、以下の指標を重視します。

1. トラフィック指標

  • ユーザー数(UU)

    • サイトやアプリを訪れた人数

    • 初回訪問者とリピーターの内訳も把握します

  • セッション数

    • サイトやアプリでの活動単位

    • 一連の操作が切れ目なく行われる期間(例: 30分間何か行動がなければ新しいセッションとして扱われる)

    • 記事公開後の訪問数の増加を追跡

  • ページビュー数(PV)

    • ページが見られた回数

    • 1人が同じページを何回見てもそのたびにカウントされます

    • 記事単位や全体のPV数の推移を確認

2. 記事別パフォーマンス

  • イベント

    • サイトやアプリ内の特定の行動を記録したもの(例: ボタンをクリック、動画の再生など)

    • 記事ページの特定イベント数を把握

  • 平均エンゲージメント時間

    • サイトやアプリで、ユーザーが積極的に操作や閲覧を行っていた平均時間

    • 記事がユーザーにとって価値があるかを判断

3. トラフィックソース別分析

  • 参照元 / メディア

    • ユーザーがどこから来たのかを示す情報(例: Google検索や広告など)

    • オーガニック検索からの流入割合

  • ランディングページ

    • ユーザーが最初に訪れたページ、サイトへの入口ページ

    • 記事がエントリーポイントとして機能しているか

【GSCで確認すべき指標】

GSCでは、検索結果における記事のパフォーマンスを確認します。

1. 検索パフォーマンス

  • インプレッション数

    • 記事が検索結果に表示された回数

  • クリック数

    • 記事が検索結果からクリックされた回数

  • クリック率(CTR)

    • インプレッションに対するクリック率

  • 平均掲載順位

    • 記事の検索順位の変化

2. キーワード分析

  • クエリ

    • ユーザーがGoogle検索で入力した言葉やフレーズ

    • 自社サイトがどんな検索語で表示されたかを確認できます

    • 記事が獲得している検索キーワードと、その変化

  • キーワードの掲載順位

    • 自分のサイトが特定の検索キーワードでGoogle検索結果に表示された順位

    • 狙ったキーワードでの順位変動


2.スプレッドシートでKPIを管理するメリットと基本設計

スプレッドシートには以下のメリットがあります。

  • コストがかからず、すぐに始められる

  • 複数人でリアルタイムにデータを共有・編集可能

  • カスタマイズ性が高く、柔軟な管理ができる

前章で解説した指標をすべて考慮すると、どこから手をつけたら良いのか分かりづらいと思うので、以下のようにシンプルな3つのシートに分けると管理がしやすくなります。

1. 全体概要シート

サイト全体の公開前後や各記事の合計パフォーマンスを記録するシート

2. 各記事専用シート

記事ごとに詳細なデータを記録するシート

例: 記事1「記事タイトル」

3. キーワード・パフォーマンスシート
 記事ごとに狙ったキーワードの経過を一元管理するシート


3.データ収集と自動化の仕組み化

前章では、最低限のKPIを管理できる構成にしたスプレッドシート活用術を紹介しました。
しかし、実際に運用を進めるデータ収集の手間に悩まされることに気付きます。

手動でデータを収集するのは手間がかかるので、以下の方法で自動化を進めましょう。

  • GA4/GSCアドオンの活用

    • スプレッドシート用のアドオンを使えば、GA4やGSCのデータを直接インポート可能

  • Google Apps Script(GAS)の利用

    • カスタムスクリプトを作成してAPI連携することで、より詳細なデータ収集が可能

  • Supermetricsの導入(必要に応じて)

    • GA4やGSCに加え、Google AdsやMeta Adsのデータも統合して管理可能


4.運用を加速させる応用テクニック

この章では、スプレッドシートを活用したSEO関連のKPI管理術の実践的な内容を紹介します。

まずスプレッドシート特有のQUERY関数を使うと、SQLのような操作が可能です。たとえば、GA4とGSCのデータをマージして、特定の条件に合ったデータを抽出できます。
さらに複数のプラットフォームや自社データのデータのデータを一元管理するのであれば、QUERY関数はぜひ活用してください。

次に全体概要シートの発展版について紹介します。
即席で作成したので分かりづらいかもしれませんが、完成イメージは以下の通りです。

動的に指標を切り替えられるダッシュボードを作成することで、日次・週次・月次レポートを効率化できます。プルダウンや関数(INDEX、MATCH、SUMIFS)を駆使し、操作性の高いレポートを設計しましょう。

【設計概要】

1. 週次・月次の範囲設定
 E1から始まる開始日(週の月曜や月初)を基準にし、E1以降で対応する日付範囲を生成
2. 記事ごとに動的にデータを取得
 指標、日付範囲、頻度に基づいて、各シートからデータを取得
3. 関数設計
 INDEXやMATCH、SUMIFS などを組み合わせて柔軟にデータを取り込む

【設計に基づく工程】

1. 動的に指標列を取得

MATCH($B$1, INDIRECT("'"&$D3&"'!$A$1:$I$1"), 0)

$B$1の指標(例: Click)が、記事Aシート(記事A)の何列目かを取得

2. 日付の一致確認

MATCH(E$1, INDIRECT("'"&$D3&"'!$A$2:$A$100"), 0)

E$1に基づく日付が、記事Aシートの日付列($A$2:$A$100)のどの行にあるかを取得

3. 指標ごとのデータを取得

INDEX(...)

指定した行・列のデータを取得

4. 週次データの集計

SUMIFS(...)

指定した指標列を対象に、E$1からF$1までの日付範囲でデータを合計

5. 月次データの集計

EOMONTH(...)

月の終了日(例えば、2024/04/30)を計算

F3、G3(以降の列)は右のセルにコピー&ペーストして伸ばすことで、週次・月次データが計算されます。
またデータがない場合にエラーが表示されないようにIFERROR関数を使用することも重要です。

【構成】

B1セル:[UU,セッション,PV]など指定の指標を事前に設定したプルダウンで選択可能
C1セル:E1セルに表示される開始日を事前に設定したプルダウンで選択可能
D1セル:[D,W,M]で日次・週次・月次KPIを事前に設定したプルダウンで選択可能
E1セル:以下関数

=SWITCH(D1,"W",C1-WEEKDAY(C1)+2,C1)

F1セル:以下関数

=E1+SWITCH(
$D$1,
"W",7,
"M",DAY(EOMONTH(E1,0)),
"D",1)

E3セル:以下関数

=IFERROR(
    IF(
        $D$1="D",
        INDEX(INDIRECT("'"&$D3&"'!$A$2:$I$1000"), MATCH(E$1, INDIRECT("'"&$D3&"'!$A$2:$A$1000"), 0), MATCH($B$1, INDIRECT("'"&$D3&"'!$A$1:$I$1"), 0)),
        IF(
            $D$1="W",
            SUMIFS(
                INDEX(INDIRECT("'"&$D3&"'!$A$2:$I$1000"), , MATCH($B$1, INDIRECT("'"&$D3&"'!$A$1:$I$1"), 0)),
                INDIRECT("'"&$D3&"'!$A$2:$A$1000"), ">="&E$1,
                INDIRECT("'"&$D3&"'!$A$2:$A$1000"), "<"&F$1
            ),
            IF(
                $D$1="M",
                SUMIFS(
                    INDEX(INDIRECT("'"&$D3&"'!$A$2:$I$1000"), , MATCH($B$1, INDIRECT("'"&$D3&"'!$A$1:$I$1"), 0)),
                    INDIRECT("'"&$D3&"'!$A$2:$A$1000"), ">="&E$1,
                    INDIRECT("'"&$D3&"'!$A$2:$A$1000"), "<="&EOMONTH(E$1, 0)
                ),
                ""
            )
        )
    ),
    ""
)

以下は最初の完成イメージから、指標を「PV」、開始日を「2024/05/01」、頻度を「M(月次)」に変更したイメージ図です。


5.まとめ

今回はGoogleスプレッドシートで始めるコンテンツSEOのKPI管理について解説しましたが、いかがでしたか?
GA4やGSCを活用したKPI管理は、初期段階ではスプレッドシートでスモールスタートするのが最適です。今回紹介した方法を活用して、データ分析スキルを高めながら、運用規模やデータ量に応じてツールやプラットフォームを進化させていきましょう。

より大規模なデータを扱う場合はBigQueryへの移行は必須となります。しかし、私自身、当社に転職するまでSQLに触れたことすらありませんでした。いきなり規模の大きなデータを扱うのは躊躇ってしまうと思うので、まずはスプレッドシートで小規模なデータ分析をやってみましょう。スプレッドシートを使いこなすことはデジタルマーケティングの基礎力を高める大きな一歩になります。



ここまでお読みいただき、ありがとうございました!
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