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「調子は悪いが外に出る」の日

「風邪をひきました」


と言って、仕事を休んだ。


正直なところ、本当に風邪かどうかはわからない。


だって熱もないし咳も出ないし鼻水も出ない。


ただ、体がだるくて重くて、とにかく寝ていたくて、

いろんな症状をひっくるめて「風邪」ってことにしといた。

人に言っても伝わらない症状ってあるのだ。
わたしがこのだるさを「風邪」と言えば
それは「風邪」になるのだ。それでよし。


で、朝起きてそんな感じだったから
職場に連絡だけ入れて、
あとは思う存分寝てやろうと思い、
ラインワークスの通知を切って

起きたらお昼の12時過ぎ。

体は相変わらずだるいし、
寝過ぎて腰も痛いけれど、
そろそろ起きて生活をしないと、
本当に体が動かなくなりそうだった。


とりあえず皿を洗って
洗濯機を回して
顔を洗って着替えて
前日に用意しておいたお弁当をチンして食べた。


ひさしぶりに昼間のテレビを見た。


なんだかのほほんとして
話題の少なさを
尺を伸ばし伸ばしにしてごまかしている。
30分も見ないうちにテレビを消した。


洗濯が終わって、
水気を含んで絡まり合った洋服たちを
せっせとほどいて干しているうちに
こわばっていた筋肉が
正常に戻っていく感じがした。


すると、徐々に血が巡り出したのか
体がぬくもって
どんよりしていた顔色も
悪くなくなってきた。

時刻は午後3時。


このまま布団に戻って
ぐっすりと眠って体調を整えるもよし。


寒いけど少し散歩して、
体を動かしつつ気分転換するもよし。


そんなことを考えながら
鏡の前に座って、
疲れが張り付いたような顔に
肌色の下地を塗っていた。


目の下のクマには、
二種類のコンシーラーを塗って
いつもよりチークを高めの位置に濃く入れる。


いつもワセリンリップで終わらせる口元も
なんとなく色を乗せてみた。


体調不良で仕事を休んでいるのに
化粧をして出かけようとしていることに
少しの罪悪感を感じる。


が、この不調を乗り越えるには、
自分の気分を上げることが不可欠で、


とにかく今は外に出て体の機能を動かして、
頭の中をスッキリさせることが
この「風邪」を治すのに大事なんだ。

いつもよりちょっぴりキリッと仕上がった自分を
鏡に映し、

「よしっ」
と気合を入れてドアを開ける。


外に出ると、冷たい風が吹いていた。
それでも道を歩く人や道路を走る車を見て
なんだか安心するのだった。


結局1時間ほど、
近くの本屋さんをうろうろして
帰ってきた。


帰り道に夜ご飯のことを考えられるくらいには
スッキリできた。




心の不調と体の不調は連動している。


体を動かせば、心も少し楽になる。


言葉にできない不調がやってきたら
ぜんぶ「風邪」ってことにして、
思い切って日常をストップさせちゃえ。


体を休めて、少し動けるようになったら
体を温めつつ外の空気を吸ってみると
それだけで案外、楽になるから。


今日は仕事を休んでよかった。


体を動かしたら、
また自然と眠気がやってきた。


少し眠って、
お腹が空いたらなにか作って食べよう。



生きるって、
大変だけど楽しいな。



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