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知らなかった祖母の死に際

隣の家のおばあさんが亡くなったらしい。
一昨日、2日前のこと。

それを聞いたのは昨日。

小さい時から可愛がってもらっていた。
90代だったことも知らなかった。
ゴミ出しは自分で毎朝行い、
近所にできた喫茶店に、毎朝モーニングに行っていたらしい。

挨拶を交わし続けていた母は、「3日前とかもさあ、話したばっかだったのに」と言っていた。
そんな母は、私の祖母(父方)が亡くなった時の話も話し始めた。

認知症だった、らしい?

祖母が亡くなったのは、私が小学校低学年の時。十数年前のこと。
両親は死因について、明確に言うことはなかった。

「認知症+薬」

が原因だったらしいということを最近知った。

私が幼稚園の時には、もう徘徊が始まっていたようだった。
私と2個下の妹を送迎したのち、徘徊する祖母を探しに行く。

あまりにも衝撃だった。

私が覚えている祖母の記憶は、幼稚園生くらいのことだからだ。

祖父は、現実を受け止めきれなかったのか、「自治体の集まりがある」からと、家を空けることが多くなったそうだ。
父はもちろん仕事で家にいなかった。

父方の両親から、色々と不憫な思いをさせられてきた母が、祖母の介護をほぼ1人で担っていたようだった。

深夜に、突然寝室に入ってくることもあったらしい。(微かに記憶がある気がする)そのため、寝室の襖には金具が取り付けられていた。

また、父を溺愛していた祖母は、父の前ではしっかりとしていたらしい。母の本能。だからこそ父は、初め祖母の異変に気づけなかったらしい。

「薬飲みすぎておかしくなっちゃったんだよね」

お薬手帳がなかった祖母は、色々もらった薬を多く飲みすぎてしまったらしかった。下剤や睡眠薬。祖父は止めることなく、薬を服用させていたみたいだった。

食べてはいけないのに、スーパーに祖母を連れて行き、イチゴを買ってやり、食べさせ、喉に詰まらせて救急車を呼ぶ。そんなこともあったみたいだった。あまりにも不器用な祖父の姿。

そしてあまりにも知らなかった祖母の死に際。
母の壮絶な介護に気づけなかった。

「そりゃあ、みんな小さかったでわからんよ」

と母は言っていたけど、気づかないようにしてくれていたんだなとも思う。

「面倒を見てくれると言っていたのに、先に逝かれてしまったよ。」
と言っていた祖父の言葉だけ、今もまだよく覚えている。


おばあちゃん、幸せだったのかなあ。
となりの家のおばあさんの最期は、安らかだったのかなあ。

隣の家のおばあさん、どうかゆっくり。




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