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親あるあいだの語らいカフェ お寺で悩み分かち合う
※文化時報2022年6月28日号の掲載記事です。
障害のある子やひきこもりの子の面倒を親が見られなくなる「親なきあと」の問題について、当事者家族が悩みを分かち合う「親あるあいだの語らいカフェ㏌城興寺」が12日、京都市南区の真言宗泉涌寺派城興寺(上原慎勢住職)で開かれた。障害のある本人や家族ら21人が参加し、お寺の和やかな雰囲気に包まれながら、僧侶や支援者に胸の内を吐露した。
城興寺は、文化時報社が設立した一般財団法人「お寺と教会の親なきあと相談室」(小野木康雄代表理事)の相談室支部を開いている。当事者家族から「同じような悩みを抱えた人たちと交流したい」との相談が寄せられたことから、今回初めて語らいカフェの開催を決めた。
相談室ののぼりが立てられた境内には、開始の午後2時を待たずに当事者家族らがやって来た。受付では、「ここにいるだけで、大丈夫」「価値観は、十人十色」などと、語らいカフェの約束事が書かれたフライヤーが配られ、参加者は自分が呼んでほしい名前を名札に書いた。いずれも安心して話すための配慮だ。
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新型コロナウイルスを考慮し、持ち帰りできるペットボトルのお茶とお菓子を手に、参加者らは上原住職や手伝いに来た僧侶を囲んで、さまざまな話をした。深刻な悩みを抱えている人は、他に誰もいない本堂に通され、支援者がじっくり耳を傾けた。
「集まりやすい」「続けて」
知的障害のある息子と共に訪れた男性の参加者は、僧侶と話したことで「ストンと腹落ちした」と振り返った。仏壇の前で手を合わせる自分の習慣に、息子を付き合わせるのもいいかもしれない、と聞いたという。
男性は「お寺だからこそ、集まりやすいし、話もしやすい。親なきあとをリアルに体験した本人や支援者から、困ったことを教えてもらえる機会があれば」と話した。
ダウン症の娘がいる相談支援専門員の女性は「自分のことを気楽に話せる場が欲しい」と訪れたが、今回は他の当事者家族から相談を聞いていたという。「すごく言いにくい話を、涙ながらにしてくださった。堅苦しくないお寺の雰囲気があったからだと思う」と感想を語った。
地元の民生委員は「こういう場があることを、たくさんの人に知ってもらうべきだ」と強調。「今日ここに来られなかった人がいるかもしれない、と想像することが大切。『ここがあるから大丈夫』『いつか行きたい』と思ってもらえるよう、根気強く続けてほしい」と要望した。
看護師が協力、健康相談
語らいカフェには、看護師によるボランティア団体「One Nurse」(ワンナース、名古屋市)が協力し、ストレス測定を中心とした「ふぁみりーあったか保健室」のテントを設けた。
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「One Nurse」は、病院・介護施設で働く看護師や離職中の〝潜在看護師〟らが、立場の違いを超えて交流する団体。イベントでの健康相談を通して、組織に縛られない活躍の機会を得ているといい、賛同する看護師は全国で81人に上る。
この日は、語らいを終えた参加者らがふらりと立ち寄り、自分のストレスについて看護師とざっくばらんに話していた。時任春江代表理事は「人の命と人生に関係する仕事という面では、看護師もお坊さんと同じ。このようなイベントがあるなら、今後もぜひ協力したい」と力を込めた。
語らいカフェの終了後、上原住職は「思っていた以上の参加があり、『このような場を待っていた』とおっしゃる方もいた。私たちには傾聴することしかできないが、誰も来なくなっても続けていきたい」と話した。
次回の「親あるあいだの語らいカフェ㏌城興寺」は、9月4日に開催される予定。
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