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【能登半島地震】心の声が出るまでは 被災者のケア、宗教者模索
※文化時報2024年2月27日号の掲載記事です。
能登半島地震では、いまだ多くの人々が避難所生活を余儀なくされている。それぞれに支援物資が届きやすくなり、生活再建に向けた動きも見え始めた。ただ、大切な家族や知人を亡くし、つらさや悲しみを押し殺している人もいる。被災地で活動する宗教者は、弁当の配達を通じて会話したり、避難所運営で距離を縮めようと試みたりして、声なき声を聴き取ろうとしている。(大橋学修)
被災者にはさまざまなストレスがかかる。石川県輪島市町野町の庄田祐生さん(28)は「小さな避難所にいる両親は、集団生活の疲れが出ていて、イライラが募っている」と話し、塗師の小路貴穂さんは「損壊した自宅を見に行くと、先の不安を感じる」と漏らした。
同県七尾市の田鶴浜体育館では、午後8時から会議室を使った即席の居酒屋「語ろう亭」を開き、避難者らがお酒を飲みながら分かち合う場を設けている。ただ、そうした避難所は少数派だ。
被災地に入っている宗教者は、生活支援を通じて心のケアに努めようとしている。輪島市門前町の門前公民館で避難所を運営する曹洞宗系の公益社団法人シャンティ国際ボランティア会(SVA)は、昼170食、夜200食を調理し、門前公民館以外の避難所にも届ける。
料理は、被災者と共に雑談しながら作る。段ボールベッドを設けるときも共同で作業し、避難所の人々と距離を縮めていった。
足湯を用意し、ハンドマッサージを行いながら会話することも。畑仕事や雪かきのことなどを語ったある高齢者は「なるべく2次避難をしてほしいと言われるけど、一緒に門前町に残って、また畑仕事したい」と話した。
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同会副会長の茅野俊幸瑞松寺(長野県松本市)住職は「ようやく心の声が出て、語られるべき言葉が語られるようになってきた」と明かす。
弁当渡し「大事だよ」
一般社団法人えんまん代表理事で浄土真宗本願寺派本光寺(石川県小松市)副住職の八幡真衣さんは、支援の届かない自主避難所に、支援物資と共に弁当を届け続けている。「お弁当は、被災者のおなかと心を満たすツール。一番大事なのは、人と人のつながりであって『あなたのことは大事だよ』と、お弁当を渡す」と話す。
早朝から100食ほどの弁当を調理。1月31日の弁当には、白米と焼き魚のほか、ニンジンとこんにゃく、高野豆腐の煮物を詰め合わせた。支援者が届けた食材や寄付金で買い入れたものを使っている。
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弁当を渡すときには、必要な物を聞いたり、水道や電気の復旧状況などを話したりしながら、たわいない話に花を咲かせる。八幡さんは「受け止めてくれる人がいる。一人じゃないと感じてもらうことが大切」と語った。
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