「本願寺の保健室」リニューアル
※文化時報2021年5月31日号の掲載記事です。
浄土真宗本願寺派関係の一般財団法人本願寺ビハーラ医療福祉会(出口湛龍理事長)が運営を手掛け、「本願寺の保健室」として親しまれてきた西本願寺あそか診療所(京都市下京区)が6月1日、「あそか花屋町クリニック」としてリニューアルオープンを迎える。無料健康相談や独立型緩和ケア病棟「あそかビハーラ病院」(京都府城陽市)との連携を計画しているほか、新型コロナウイルスワクチンの個別接種にも対応し、地域のかかりつけ医療機関として再スタートを切る。
緩和ケアとも連携
あそか診療所は1926(大正15)年、低所得者を対象とする内科の「六条診療所」として開院した。40(昭和15)年に小児科、50年に婦人科を開設し、49年には健康保険医指定を受けた。
本願寺門徒会館1階の現在地には、98(平成10)年に入居。建物の老朽化や耐震性が問題となり、2005~15年の「親鸞聖人750回忌宗門長期振興計画」で移転が検討されていた。昨年5月に本願寺派京都教区教務所(顕道会館)北側への新築移転工事が始まり、年末に完了した。
親しみやすい内装の待合室
ビハーラ僧が定期訪問
新設されたあそか花屋町クリニックは2階建てで、延べ床面積は現診療所の約3倍に当たる約330平方㍍。全館バリアフリーで、高齢者や車いす使用者も利用しやすい。
1階には待合室や処置室、2階には会議室や事務室を配置。現診療所では1室のみだった診察室を2室に増やし、緊急時には発熱外来としても運用できる。仏壇を備えた多目的ホールもあり、診療のない火・木曜の午後に、地域住民向けのセミナーや無料健康相談などを予定しているという。
また、開院に合わせて医師や看護師、事務職員を増員し、診療日も週3日から5日に拡大。接種券を持つ京都市民を対象に、新型コロナウイルスワクチンの個別接種にも対応する。
さらに、同じ本願寺ビハーラ医療福祉会が運営するあそかビハーラ病院との連携も構想。同病院の常駐ビハーラ僧が定期的にクリニックを訪れ、患者や家族からの相談に応じる。
あそかビハーラ病院での勤務経験を持つ新堀慈心看護師は「発症を未然に防ぐ対策が大前提」として上で、「症状が重くなった場合の最後の選択肢としてではなく、がんと診断された当初から緩和ケア病棟という選択肢があることを知っていただきたい」と話す。
出口理事長は「地域の皆さまに『心配事があったら花屋町クリニックへ行こう』と思っていただけるよう、まずはニーズの把握に努めたい」と意気込みを語った。(安岡遥)
受付で写真撮影に応じる出口湛龍理事長
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