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思考停止だった「鎖国」

※文化時報2022年2月25日号掲載の社説「思考停止の『鎖国』」の全文です

 毎朝、出社するために京都駅前を歩いていると、いやが応でも人の往来に目が留まる。まん延防止等重点措置が京都府にも適用された1月27日以降、キャリーバッグを引いたビジネスパーソンや観光客、修学旅行生は、ほとんど見掛けなくなった。思い起こせば2020年春、政府の緊急事態宣言が初めて発令されていた頃、人影といえば閑散とした駅前の様子をカメラに収める報道陣ぐらいだった。

 「人流」という据わりの悪い言葉が、まるで昔からあったかのように使われているのと同様、京都に訪日外国人(インバウンド)がいないという不自然さも、日常となってしまった。観光公害(オーバーツーリズム)が問題になっていた19年以前がうそのような静けさである。

 新型コロナウイルス感染拡大に伴って、日本政府が行った「鎖国」は、深刻な影を落としている。

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