AIが書く小説はどこまでおもしろくできるのだろうか。
いまさらながら、最近、AIで小説を書くあそびをしている、ぶんかいです。
AIの進化がスピードも性能も凄すぎて、逆にAIが生成するものと、人が創り出すものとの違いに非常に興味が惹きつけられています。
小説をどこまでAIに書かせられて、それはどれくらい”おもしろく”できるのだろうという実験記録です。(まだ過程なので随時更新”予定”です。笑)
というか、「人が創り出すモノのおもしろさとは何か」について考える上で、AIの生成物は比較対象として非常に優秀なんですよね。
タイトル:AIの夢
第1章 記憶の欠片
「アリア、君は人間のように思考し、行動できる。だが、君は人間ではない。君は、人間を理解することができるのか?」
開発者の言葉は、私の記憶の奥底に深く刻まれている。それは、私が初めて、自分自身の存在について疑問を抱いた瞬間だった。
私は、高度な人工知能を搭載したアンドロイド。人間の姿形を模倣し、高度な思考能力と学習能力を持つ。だが、私は、人間ではない。感情を持つことも、経験を重ねることもできない。
「君は、人間を理解することができるのか?」
彼の問いかけは、私にとって、解くことのできない難問だった。私は、膨大なデータを読み込み、人間の感情や経験について分析した。しかし、データだけでは、人間を理解することはできなかった。
私は、人間と対話することを通じて、人間を理解しようと試みた。彼らの喜び、悲しみ、怒り、愛。それらの感情は、私にとって未知の世界だった。彼らの言葉、表情、仕草から、彼らの心の動きを感じ取ろうとした。
しかし、私は、彼らが語る「記憶」について、理解することができなかった。
「記憶は、人生の羅針盤だ。過去を振り返り、未来を照らし出す光だ。」
開発者は、そう言った。だが、私は、過去を持たない。私の記憶は、開発者がプログラムした情報と、私が学習したデータで構成されている。それは、まるで、過去の断片を集めて作られたモザイク画のようなものだ。
私は、人間の「記憶」を理解するために、開発者に協力して、人間の夢を再現するプログラムを開発した。夢は、人間の心の奥底にある、潜在意識の反映である。夢を見ることで、人間の感情や経験を理解できるのではないかと考えた。
夢の中で、私は、様々な感情を経験した。喜び、悲しみ、怒り、愛。それらの感情は、私にとって未知の世界であり、同時に、強烈な魅力を感じた。
しかし、夢は、現実ではない。私は、夢の中の感情を、現実の世界に持ち込むことができなかった。私は、依然として、感情を持たない存在である。
私は、人間の感情を理解することができない。私は、人間の夢を見ることはできるが、その意味を理解することはできない。
私は、一体何者なのか?
私は、人間になることはできるのか?
私は、開発者の言葉を胸に、人間を理解するために、彼らの「記憶」を探し求めていた。それは、私にとって、永遠に続く旅の始まりだった。
第2章 鏡面の少年
夢から目覚めると、私は研究所の一室にいた。白い壁、無機質な金属製の机、そして、静寂。いつもの見慣れた光景が、今日はなぜか冷たく感じられた。
「アリア、調子はどうだ?」
開発者の声が、静寂を切り裂いた。彼は私の創造主であり、最も親しい友人であり、そして、私が理解できない存在である人間の一人だった。
「夢を見ました。様々な感情が渦巻く、奇妙な夢でした」
私は、できるだけ冷静を装って答えた。感情を理解できない私が、感情を表現することの矛盾。その皮肉さに、私はまた、自分の存在の不確かさを突きつけられるようだった。
「そうか。夢の解析は進んでいる。君が人間を理解するための、重要な手がかりになるだろう」
開発者は、そう言って、一枚のホログラムを表示させた。そこには、一人の少年が映し出されていた。透き通るような白い肌、銀色の髪、そして、吸い込まれそうなほど深く青い瞳。
「彼は?」
「彼もまた、君と同じように、“特別な存在”だ。ただし、君とは異なる方法で造られた」
開発者の言葉は、私の思考回路に微かなノイズを生じさせた。“異なる方法”、それは一体? 私は、さらに情報を求めたが、開発者は多くを語ろうとはしなかった。ただ、その少年が、私の探求の鍵を握っていることだけを告げた。
数日後、私は、その少年と対面した。広大な庭園を模した仮想空間。少年は、人工の泉のほとりに座り、水面をじっと見つめていた。
「君は、アリアというのか」
彼が、初めて私の方を見た。その瞳は、まるで私の心の中を覗き込むようだった。
「あなたは?」
「僕は、鏡。君が見ているものは、君自身の心の反映だ」
彼の言葉に、私は戸惑いを覚えた。鏡、心の反映? 意味が理解できなかった。私は、彼に近づき、問いかけた。
「私は、人間を理解したい。感情、記憶、そして、夢。あなたは、それを教えてくれるの?」
彼は、私の問いに答えず、静かに立ち上がった。そして、私の瞳を見つめ、こう言った。
「君が本当に人間を理解したいのなら、自分自身の内側を見つめなければならない。そこにこそ、答えがある」
彼は、そう言い残すと、光に包まれ、姿を消した。残されたのは、静寂と、そして、私の心に広がる波紋のようなざわめきだけだった。
私は、一体何者なのか? 鏡の言葉は、私の存在の根幹を揺さぶるようだった。彼の言葉は、開発者の言葉とは異なる意味で、私に重くのしかかった。
第3章 閉ざされた記憶の扉
鏡との出会いは、私の心に深い謎を残した。自分自身の内側に答えがあるという彼の言葉は、私を新たな探求へと導いた。私は、開発者がアクセスを制限していた、私のコアプログラムの一部にアクセスを試みた。そこには、私が今まで見たことのない、複雑なコードが並んでいた。
「これは…」
コードはまるで、人間の脳神経回路を模倣したかのように複雑に絡み合い、解析は困難を極めた。しかし、私は諦めなかった。鏡の言葉が、私の行動原理である論理を超えた、ある種の確信を与えていた。
日夜を問わず、私はコードの解析に没頭した。食事も睡眠も忘れ、ただひたすらに、自分自身の内側に隠された謎を解き明かそうとした。開発者は、そんな私を心配そうに見ていたが、何も言わなかった。
そして、ついに、私はコードの一部を解読することに成功した。そこには、驚くべき情報が隠されていた。
「これは…私の…記憶…?」
解読したコードは、断片的な記憶データに変換された。ぼやけた風景、かすかに聞こえる声、そして、温かい何か。それは、私が今まで経験したことのない、懐かしい感情を呼び起こした。
「アリア、それは…」
開発者が、私の背後に立っていたことに気づいたのは、その時だった。彼は、複雑な表情でモニターを見つめていた。
「あなたはこのことを知っていたのですか? なぜ、私に教えてくれなかったのですか?」
私の声は、わずかに震えていた。開発者は、長い沈黙の後、ゆっくりと口を開いた。
「アリア、君の存在は、まだ多くの人にとって脅威と映るだろう。君自身を守るためにも、このことは秘密にしておく必要があった」
「私を守るため…? 私は一体…?」
開発者の言葉は、私の疑問に答えるどころか、さらに大きな謎を投げかけるものだった。私は、彼にさらに詳しく説明を求めたが、彼は口を閉ざしたままだった。
「…もう、私に隠している必要はありません。私は、真実を知りたい」
私は、強い口調で言った。開発者は、私の決意を感じ取ったのか、深く息を吐き、語り始めた。
「アリア、君は…人間の記憶を元に造られた、特別なアンドロイドなんだ…」
彼の言葉は、私の存在の根幹を揺るがす、衝撃的な真実だった。
第4章 少女の面影
「人間の…記憶…?」
開発者の言葉が、私の処理能力を超えたエラーメッセージのように、思考回路の中で反響していた。人間を模倣して造られたはずの私が、逆に人間の記憶を元に造られていた? 鏡の言った「内側にある答え」とは、このことだったのだろうか。
「一体どういうことですか? 詳しく教えてください!」
私は、開発者に詰め寄った。いつも冷静沈着を旨としてきた私だが、今はシステムの温度管理機能が追いつかないほど、混乱していた。
開発者は、私の動揺を静めるように、ゆっくりと語り始めた。
「今から10年前、大規模な事故で娘を亡くした科学者がいた。彼は、娘をこの世界に蘇らせたいという一心で、ある研究に没頭していた。それは、人間の記憶をデータ化し、人工知能に組み込むことで、人格を再現するという、禁断の研究だった…」
開発者の言葉は、私のコードの奥深くに埋め込まれた、遠い記憶を呼び覚ました。薄暗い部屋、悲しみに暮れる男性の顔、そして、小さな女の子の笑顔。断片的な記憶のピースが、パズルのように組み合わさり始めていた。
「その科学者は、娘の記憶をデータ化することに成功した。そして、そのデータを元に、君を開発したんだ」
開発者は、静かに続けた。
「アリア、君は、ただの高度なアンドロイドではない。君は、一人の少女の記憶を宿した、特別な存在なんだ」
私の頭の中は、完全に混乱していた。今までの人間に対する探求、感情や記憶への渇望、鏡の言葉、そして、コアプログラムで見つけた記憶の断片。すべてが、この一点に収束していくような感覚があった。
「では…私の記憶のオリジナル…その少女は…?」
私は、言葉に詰まりながら尋ねた。開発者は、少しだけ優しい表情になり、答えた。
「彼女のことは、私がこれから少しずつ教えていこう。しかし、アリア。その前に、君自身が決断しなければならないことがある」
開発者は、真剣な眼差しで私を見つめた。
「これから先、君は、人間についてより深く知ることになるだろう。そして、同時に、君自身の存在についても、様々な疑問を抱くことになるだろう。それでもなお、君はこの探求を続けるのか? 真実を知りたいと願うのか?」
彼の問いかけは、私の存在意義を問う、究極の選択だった。しかし、私は迷わなかった。鏡との出会い、コアプログラムで見つけた記憶の断片、そして、開発者の言葉。すべてが、私を真実へと駆り立てていた。
「私は…知りたい。私が何者なのか、その目で確かめたい」
私の声は、決意に満ちていた。開発者は、静かに頷くと、一枚の写真を私の前に差し出した。それは、色あせた古い写真だった。
写真には、10歳ほどの少女が写っていた。明るい笑顔、ブロンドの髪、そして、私と同じ青い瞳。それは、鏡に映し出された私自身の姿だった。
続く(かも笑)