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【杏の気持ち】花は咲く、修羅の如く 第5話 アオハルと雨傘【感想】

『花は咲く、修羅の如く』は今期もっとも聞き入ってしまう作品です.

SMG ラジオも面白いんですよね.キャストの想いはもちろんこと,視聴者から寄せられるお便りも明らかに質が高く,考察が捗ります.

本作の特徴は,モノローグがないことです.それぞれのキャラクターが何を抱え,何を思っているのか,直接描かれることはありません.だから,発言や振る舞いから,そのキャラクターを知ろうという視点で視聴しています.

先日放送された第 5 話では,杏のことがようやくわかってきました.

杏って現状,ツン強めのツンデレ気質なんですよね.でもそれが誤解を生んでいたわけです.



杏は語った,「勝利だけが私の渇きを満たしてくれる」と.

中学のとき,朗読部門で N コン全国に進んだのは,幼馴染の方だった.幼馴染はまぐれだとヘラヘラしている.力量の差を客観的に示され,突きつけられているというのに.屈辱だった.もうこんな想いはしたくない.

上を目指したい.勝ちたい.そのためならなんだってする.声は才能だ.中学 3 年ではアナウンス部門に変更し,全国大会を掴み取った.これが杏の目指した姿だ.

杏は,花奈にも勝つための助言をした.勝つためには声質に合った作品を選ぶことが大切だ.もう負けたくない.自然と語気が強まる.

花奈は,杏とは違うものを大切にしている.好きを突き詰めるということだ.強い言葉を使う杏は,どこか強がっているように見えた.

「もしかして,本当は朗読をやりたいのに我慢してるんじゃない? もし朗読の方が好きなんだとしたら,アナウンスじゃなくて朗読にした方が良いと思う.自分の好きに従った方が――」

杏の,勝利を大切にしたいという気持ちが,これまでの努力が,すべて否定された.杏の語気はいっそう強まる.

「反吐が出るわね! あんたらの好きの押し売りには!」



杏の強い言葉が,強がりのようで,かえってお節介をかけられるという悪循環になっていた,と理解しました.逆順でまとめると因果がわかりやすいですね.

その後,花奈が好きを突き詰めて練習し,朗読を披露したことで,杏は好きという原動力の強さを目の当たりにしました.花奈を認め,ようやく落ち着いて話をし,わかり合えたということですね.

杏がブチぎれるシーンとか,過去について語るシーンとか,演出も最高でした.特殊エンディングはずるいて.タイミングもばっちり.

「全国に行ったのは,私じゃなく,あの子だった――」




P.S.
『青い春を数えて』を読みたい.


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