見出し画像

植物観察で大切なこと。それはどんどん近づき、発見と疑問を楽しむこと。

まちの植物観察家・鈴木 純さんが、四季折々、植物の話題を取り上げて紹介する『季節の生きもの事典① 身近な草の生き方観察12か月』が、2月21日に発売開始となりました。
あれもこれもと本書のおすすめポイントをお伝えしたいところですが、今回は特別に、著者の鈴木純さんが本書の最後に寄せてくださった「あとがき」全文を公開します。
植物との距離感は人それぞれです。どんな形であっても、日々の生活の中に「植物観察」のエッセンスをちょっと付け足すだけで、毎日が今より豊かな気持ちで過ごせるようになるかもしれません。
なお、自宅の近くで気軽に「植物観察」を楽しみたい人は、ブンイチのWebマガジン「BuNa」の記事もおすすめです(ページの最後にリンクがあります)。

『身近な草の生き方観察12か月』あとがき
植物の楽しみ方は、人によってさまざまです。たくさんの種類を見て、名前を覚えることが好きな人がいれば、絵を描いたり、写真を撮って楽しむ人もいます。植物の見方、楽しみ方には自由があり、それが植物観察の大きな魅力だとぼくは思っています。

月ごとにテーマを設け、写真をたくさん使って観察の方法や発見したことを紹介します。

では、ぼくが好きな観察は何かというと、本書のメインテーマである、「植物の生き方」を見て、知ることです。植物の命は、タネからはじまります。親の植物からはなれて、飛んだり、くっついたりして運ばれたタネは、やがて地面に落ち、そこに根っこをおろします。地面としっかりつながったら地上に茎を伸ばし、葉っぱを出して、花を咲かせ、実をつけます。その間、風が吹いても、雨が降っても、虫や動物が葉っぱを食べに来ても、植物はずっとその場所に居続けます。これは、服を着て、傘を差し、外敵が来たらその場から逃げることができるぼくたち人間とは大きく異なる生き方です。ぼくは、それを知ることが好きなのです。

壁新聞のような誌面は眺めるだけでも楽しく、
子どもたちが自分で調べたことをまとめるときの参考にもなります。

自分とはちがう生き方を知ることには、おどろきがあります。そんな方法があったのか! と発見をすると、なんだか世界が広がったような気がして、ワクワクしてきます。すると、もっと知りたいという気持ちが出てきて、また、自分の知らないことを探しに行きたくなります。
大げさに聞こえるかもしれませんが、そうすると自分の身のまわりの景色が輝いて見えるようになり、ただ生きているだけで、うれしくなってきます。だって、心がおどる発見が、家から一歩踏み出した、その足もとに転がっているのですから。

教育現場で働いている皆さんからも、好評をいただいています!

ぼくが日々感じている植物観察のよろこびを、みなさんにもおすそ分けしたい。そんな気持ちでこの本を書きました。みなさんも、足もとのいいものを探しに、ぜひ出かけてみてください。

Author Profile
鈴木 純(すずき・じゅん)
植物観察家。植物生態写真家。1986年、東京都生まれ。東京農業大学で造園学を学んだのち、中国で砂漠緑化活動に従事する。帰国後、国内外の野生植物を見て回り、2018年にまち専門の植物ガイドとして独立。著書に『そんなふうに生きていたのね まちの植物のせかい』(雷鳥社)、写真絵本『シロツメクサはともだち』(ブロンズ新社)など多数。NHK『ダーウィンが来た!』をはじめ、テレビやラジオへの出演や取材協力なども行う。2021年に東京農業大学 緑のフォーラム「造園大賞」を受賞。

「植物観察」に興味・関心のある方は、以下の記事もご覧ください。


いいなと思ったら応援しよう!