【ジュール·ヴェルヌの最高傑作→ん……でも「海底二万哩」も捨てがたい】
かつて円谷プロのQ、マン、キャプテンウルトラ、セブン、怪奇大作戦の5部作は、
「空想特撮シリーズ」とよばれていた。
「空想」も「特撮」も魔力のあるワードである。
「空想科学小説」というSFの懐かしい訳語も、言霊的にオーラを放っている。
そして、「地底旅行」であるが、
訳者·高野氏の解説によると、
もし地球に「空洞」があったら、
ソレは「科学的」にドンナ感じになっているんだろう、
と「空想」した小説である。
この場合の空想は、
英語の「スペキュレーション」の意味も含んでいるのかもしれない。
地球に空洞があるという設定から逆算して、
過去の地球の姿を夢想するのである。
そこに「SF」の旨味成分がある。
もちろん、冒険小説は大好きだが、
そこにSFという味付けがされていると、
それは極上のエンターテイメントという料理なのだ。
まぁ、ヴェルヌの小説のような冒険は、
実際してみると生きた心地がしないかもしれない。
しかし、現代人が冷房のきいた部屋で読む分には、
それは快適な読書体験であり、
現実からの偉大な逃避行なのである。