振動する純文学──非平衡開放系現象としての文学
時評・書評を考える(第二回) 大滝瓶太
非平衡な文学 まずはこれらの動画を観てもらいたい。
これはベロウソフ-ジャボチンスキー(Belousov-Zhabotinsky:BZ)反応という。手短に説明すると、系のパターン(視覚的には色や模様)が時間周期性を持ち、系の状態が振動しながら化学平衡へ収束するという、熱力学や複雑系で「非平衡開放系」の例としてよく取り上げられる現象だ。
いきなり見せられたところで、ビーカーのなかの「ちょっと不思議な現象」程度にしか思えないかもしれ