「物語」に耳を傾ける──『東京の生活史』に参加して
【書評】岸政彦・編『東京の生活史』 評者:倉数茂 9月21日に発売される『東京の生活史』(筑摩書房)という本に参加した。自分の手元にはもう届いているのだが、ご覧の通りレンガのようなヴォリュームの本である。鈍器オブ鈍器。鈍器界のラ・マンチャの騎士。一部ではすでに話題になりつつあるみたいだが、ちょっと変わった本で、150人の聞き手が150人の語り手からその人の「人生」を聞き出している。こういうのを「生活史」といい、ライフ・ヒストリー、あるいはオーラル・ヒストリーともいう。「聞き書