いま虚構や批評にとって陰謀論とは何か(後編)——信用できない語り手と陰謀論的リアリズム
フィクションの感触を求めて(第五回) 勝田悠紀
0.はじめに
「陰謀論」は今日、抽象的、理論的思考のひな型と化す。前編(https://note.com/bungakuplus/n/nb271de2e7a68)ではまずこの見取り図を提示し、陰謀論がそうしてわれわれのコミュニケーション空間に入り込み環境化した世界を「陰謀論化した世界」と呼んだ。フィクション性のありかたも当然それと無縁ではいない。フィクション受容の観点から、それは、不可視の探求の形態の「解釈」から「考察」へ