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新連載第1回目

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文學界の連載の、第1回目の試し読みをまとめました。連載の途中の回をnoteに転載しているものも含みます。
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記事一覧

【エッセイ】松尾スズキ「家々、家々家々 ~男、松尾スズキ。魂の物件漂流物語~」【…

 とにかくつねになにかにせっつかれ、ずっと軽度か中程度のパニック。そんな精神状態が続いて…

文學界
6か月前
27

【エッセイ】津野青嵐「ファット」な身体【新連載第1回】

「最近、太りの方はどうなの?」  祖母は時々、私の体型を見て心配そうに聞いてくる。その度…

文學界
8か月前
30

【連載・めしとまち】平民金子|天六への扉

 ボブ・ディランの来日ツアーが発表されたのが今年の2月くらいだったか、チケットの料金を見…

文學界
1年前
16

【創作 短期集中連載】小林エリカ「風船爆弾フォリーズ」

うゐのおくやま けふこえて あさきゆめみし ゑひもせす 一 この街は、あの震災から十二年…

文學界
1年前
31

【論考】四方田犬彦「零落の賦」

  よしや   うらぶれて異土の乞食となるとても                犀星 1 …

文學界
1年前
27

【論考】真山仁「秘すれば花――玉三郎の言葉」

 二〇二三年六月一一日――。  その日、私は京都にいた。気温は東京より低いのだが、ひどく…

文學界
1年前
14

【批評】江南亜美子「『わたし』はひとつのポータル」【新連載・第1回】

 地中海をはさんだヨーロッパ・ユーラシア大陸とアフリカ大陸の一帯には、みっつの大きな渡り鳥のルートがある。なかでも地形や気候の変化に富み、北部に湖と湿地帯が広がるイスラエルは、渡り鳥の大回廊と呼ばれるほど、さまざまな野鳥が飛来する世界有数の中継地となっている。その数、年間五億羽。バードウォッチングはひとつの観光資源であり、毎年三月と一〇月には世界中の愛鳥家を魅了するいくつものツアーが催行されてきた。いっぽうで、困った問題もおきる。いわば鳥と人間との制空権争いだ。  イスラエ