【批評】江南亜美子「『わたし』はひとつのポータル」【新連載・第1回】
地中海をはさんだヨーロッパ・ユーラシア大陸とアフリカ大陸の一帯には、みっつの大きな渡り鳥のルートがある。なかでも地形や気候の変化に富み、北部に湖と湿地帯が広がるイスラエルは、渡り鳥の大回廊と呼ばれるほど、さまざまな野鳥が飛来する世界有数の中継地となっている。その数、年間五億羽。バードウォッチングはひとつの観光資源であり、毎年三月と一〇月には世界中の愛鳥家を魅了するいくつものツアーが催行されてきた。いっぽうで、困った問題もおきる。いわば鳥と人間との制空権争いだ。
イスラエ