新しく貴方らしく今日も咲く
道端の穴を見るとそこに何があるか気になってしまう。覗いてもきっと何もないか、よくて小動物の痕跡が見られるかどうかだ。
それでもそこには底知れぬ可能性があって、おむすびを追いかけて鼠の世界に飛び込んだり、時計兎とワンダーランドに迷い込んだりできるかもしれない。
やめなさい、蛇にでも噛まれたらどうするの、と言われ良い子の僕ははーいと返事をする。だけど悪い方の僕が顔を出して、穴に手を入れてしまう。
一瞬の間。
何もないことに安堵と少しのため息。立ち上がって散歩の続き。手についた土をズボンで払ってまた歩き出す。
してはいけないことをしてはいけない。分かっていてもしてしまう僕は、やはり分かっていないのだろう。
だから何度も誤るし、何度だって手を突っ込んでしまう。ならば痛い目を見たら止めるだろうか。多分止めないだろうなぁ。
真っ直ぐ歩こうとしても道草を喰っては転んで転がって。せっかちな僕は急がば回れを早とちりして、ちゃぶ台返しに翻弄されて。
それでも。
歩みは止めない。何度躓いても、何度穴に入りたくなっても、病める時も健やかなる時も、自分でいることを誓います。
待ってろ、理想郷。いつか僕はそこにたどり着く。
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