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【Feature PEOPLE】 山崎眞結 Vol.2

2024年夏にスペインに滞在したカンパニーメンバー山崎眞結さんへのインタビューVol.2です。
カンパニークラスを受ける中での、発見や大変なこと、マドリードでの生活のことなど、さらに伺っていきます!

聞き手:山田うん


戸惑ったことや突破したことを教えてください

まず言語がありました。英語のクラスは100歩譲って大丈夫だとして、エクスエラ・ボレラのクラスはスペイン語だったので、全くわからない。これは困ったなと思っていたのですが、本当にどのクラスの先生も素晴らしかったのですが、先生の身体が言葉以上に語ってくれるので、とにかく真似して考えて真似して考えての連続で理解していくことにしました。とにかく観察する。時々、スペイン語と英語が話せる生徒の子が翻訳してくれて、それもありがたかったです。

この何かをキャッチしてすぐに体現することは、学んでいく姿勢としてとても大切なことですよね。それは言葉が理解できるできないに関わらずで、周りにいた受講者をみていても思ったことでした。
あとは、小さな突破ですが、7年ぶりにトウシューズを履きました。自分で思っていたよりも動けて、久しぶりの感覚が面白かったのですが、古いトウシューズをむりやり履いたので、怪我をすると判断して2日間でやめました(笑)

異国に行って自分について再発見したことってありますか?

そうですね、私は昔から、人との出会いだったりタイミングだったりが運がいい方だと思っているんですけど、今回もそういうので幾度か助けられたり、ハプニングを免れたことがありました。というより、なにかピンチになった時に、急にタフになってどうにかしようとする行動力があるんだなと再発見しました。

今回1人旅だったこともあり、今はネットやアプリでかなり情報が得られるので調べるんですが、それでもよく分からないことがあるし、もちろんうまくいかないこともある。そんな時に近くにいる人に話しかけて、カタコトの言葉と必死の形相で訴えるんですけど、みんなちゃんと親切でいい人だったし、なんとか次のコマに進むことができる。これは能力といっても良いと思いました。

あとは、身体の骨格だったり、米が食べたいと思ったり、お風呂に入りたいと思ったり、地下鉄でじーっと見られたり、いろんな場面でちゃんと自分は日本人だなと再認識しました。

アートやパフォーマンスなど、観に行きましたか?

ソフィア王妃芸術センター、サルスエラ劇場でのスペイン国立バレエ団のパフォーマンス、ALCALA 31というアートギャラリーにも行きました。本当にどれも素晴らしかった。ソフィア王妃芸術センターでは、ピカソのゲルニカが特に圧倒的で、今にも作品から叫びが聞こえてくるようでした。ゲルニカの作風で何点か女性の顔のみが描かれている作品もあって、それも印象的でした。また、Eva Lootz(エバ・ルーツ)というオーストリア出身の現代アーティストの作品もとても好きでした。色彩も美しく、緻密で、繊細で、毒があって。強烈なこだわりが感じられる作品でした。

スペイン国立バレエ団のパフォーマンスは、ダンサー、カンタオール、楽器奏者のエネルギーに圧倒されました。これぞスペイン!というような情熱的な演目を沢山観ることが出来ました。複雑なリズムをシューズで奏でながら踊るダンサーは、まさに一糸乱れぬという言葉がぴったりです。リズムを覚えようと聞いていたのですが、難しいし自分のDNAには組み込まれてないような感覚になって、早々に諦めました。

あとは、闘牛場にも行きました。目の前で大きな牛と闘牛士が戦うのですが、お互い本当に命懸け。何かの儀式を見ているような厳かな気持ちにもなりつつ、スペイン独特の美学も感じました。最終的に、闘牛士が牛の頚椎に剣を刺して決着をつけるのですが、1発で行うことが得点が高く評価されることのようで、この場合客席からは歓声が上がって白ハンカチを振って称賛する光景があって、これはかなりカルチャーショックでしたね。

この経験はどんなエネルギーになりましたか?どんな風に活かしていきたいと思いますか?

経験として得たものは本当に沢山あって、自覚的なものと無自覚的なものがあると思うんですけど、それらは自分がパフォームする時のエネルギーに使いたいし、またこの経験を他の誰かのためにも活かしていきたいです。持っているだけではいけないし、どんどんアウトプットしていくことで、最終的には自分の糧になるとも思っています。

私は表現者として本当にまだまだ未熟者で、それでももっと面白いことができるんじゃないかと伸び代を感じさせてくれるような経験だったことは間違いないと思います。日本は好きだけど、日本では出会えないような感覚、感性、人、空気も新鮮で好きでした。逆に日本に対しての見方も変わっていくと思います。
きっとそれは日常生活での振る舞いだったり、過ごし方だったりに影響が出るんだと思うのですが、そんな急にガラッとは変えられないし、じわじわと今でも自分の中に浸透してきている最中なのではと思っています。


ダンサー 山崎眞結

3歳からクラシックバレエを始める。
玉川大学芸術学部PA学科在学中に日本舞踊、民俗舞踊、和太鼓に出会い、東洋的な土着かつ繊細な身体に興味をもつ。

これまでに堀内充「Ballet Collection」数演目、向井山朋子『雅歌』、湯浅永麻『シェヘラザーズ』、テレーサ・ルドヴィコ『小さな王子さま』などの作品に参加。和太鼓演奏とダンスを全員が兼任するパフォーマンス集団、和太鼓+ダンスユニット<まだこばやし>の紅一点のメンバーとして活動。唯一無二のパフォーマンススタイルを展開し、2022年に初の単独公演『まだ、小囃子。』を上演。
現在はダンサー活動のみならず、クラシックバレエ、コンテンポラリーダンスの講師として未就学児から主婦層までの幅広い年齢層に踊る楽しさを伝えている。
自身のプロモーション映像『朔ノ日』のクリエーションをきっかけに、映像監督やスタイリスト等のアーティストとのコラボレーション活動に興味をもち、舞台上でのダンスだけに留まらない、ナチュラルで自由で存在感のある身体を模索し、創作活動を行なっている。

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