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UXとは一体何なのかを改めて考えてみる

どうも。ぶんたです。(@bunbuno0

音声プラットフォームのプロダクトVoicyのPMをしています。

先日、同じくVoicyでPMをやっているとくちゃんが「UXデザインの教科書」を読んだ上で勉強会的にワークショップを開いてくれました。

非常に盛り上がった良き会でした

これは色んなディスカッションが生まれたり、勉強になることもあって素晴らしい勉強会だったんですが、改めて”UX”という言葉について考えるきっかけともなりました。

”UX”って何となくよく使われて、当然大事なものではありますが、かなり抽象的で広義な言葉だなと普段から感じていて、これを自分なりに整理が出来ないかと思いnoteを書くことにしました。

ちなみに「UXデザインの教科書」はUXというものが生まれた背景や歴史なども含めて書いてあるまさに”教科書”的な本です。
昔読んで面白かった記憶があるんですが、内容を完全に忘れてしまったので、、改めて読もうと思いました。


UXが発展してきた歴史

まず辞書的に調べるとUXとは
製品やシステム、サービスなどの利用を通じてユーザーが得る体験
というのが定義のようです。
User Experience(UX)なので、体験というのはそりゃそうなんですが、意味が広すぎな感じはしますよね。

そもそもUXがこれだけ重要と認識されるようになってきた背景として以下のような出来事がありました。

・1940年代ごろ、「エルゴノミクス」「ヒューマンファクター」と呼ばれる「人間工学」の考えが浸透し始める
・1947年ごろ、ベル研究所のJohn E Karlin氏による、プッシュフォンのボタン配置の検討。ユーザー体験が重視され始める
・1954年、「大きさと距離によって操作速度が異なる」というフィッツの法則が、心理学関連の学術誌に掲載される
・1959年、ヘンリードレイファスが『百万人のデザイン』を刊行。
・テーマパークに遊びに来る人たちをもてなし、飽きさせない方法。1960年代からのディズニーランドの思想
・単なるコマンドで操作するコンピュータから人が使いやすいGUIが登場。1970年代のパロアルト研究所の研究
・1995年から、ヤコブ・ニールセン氏が「useit.com」(現在は「Usability & UX Articles from Nielsen Norman Group」)で、ユーザビリティに関するコラムを開始。現在も続いている。
・1997年には、UXを題名の中で使用した書籍『Web Navigation: Designing the User Experience』(米オライリー刊)が発売

https://atmarkit.itmedia.co.jp/ait/articles/1603/15/news035.html

ディズニーの革新的な体験設計や、テクノロジーの発展に伴い、機械よりも人間を中心とした設計にしようということで発展していきました。
以下、2016年の記事ですが、歴史がよくわかり面白いです。

このようにして、様々な技術が発展していく中で、機械ではなく人間を中心とした"嬉しい"とか"楽しい"とか"便利"とかを感じられるような体験が重要になってきたため、そういった体験を設計するための定義やお作法などが重要になってきたという形なのだと理解しました。

また生活が安定し、衣食住やモノの消費が満たされていく中で、”コト消費”のニーズが増えたり、モノの消費にもストーリーが大事になってきたというような背景もあるからこそ、
"顧客が商品を購入する時に感じる体験"そのものが商品から派生してより広域になってきているなと思ったりしました。

UXとは何か?

「UX」は、ドナルド・ノーマンが1990年代に定義したものといわれていますが、その定義も結構曖昧だったり、人によって違ってたりします。

例えばノーマンによると、「UX」とは「ユーザーのインタラクションにおける、あらゆる状況を網羅したもの」で、「多様な専門分野のサービスをシームレスに結合」するものであるというような話をしていたり、
ISO(国際標準化機構)の定義だと「製品、システム、サービスを使用した、および / または、使用を予期したことに起因する人の知覚や反応」としていたりします。

なので、結論「UXとはこういうもの」というのを一般化することは難しいことで、どうしてもこんな風に抽象化ならざるを得ません。
逆に考えると、サービス提供者が各々で「このサービスの良いUXはこれ」みたいな定義を作る必要があるのだと思いました。

先ほどのディズニーは誰もが"良い体験を提供しているサービス"という認識はありますが、他のサービスが全く同じように真似しても良い体験はできません。
というのと同じように良いUXというのはサービスごとに変わってくるもんだなと。

そして、UXが広義の意味を持つ言葉だからこそ、コミュニケーション面においてもUXという言葉は共通認識が取りにくいものだと思っています。そういう点も含めて言語化しておくことはとても重要なように思えます。

また、UXという言葉を考えるにあたって、UXという言葉と合わせて使われる言葉が以下のような言葉です。

「使いやすい体験」
「楽しい体験」
「嬉しい体験」
「理想的な体験」
「信頼性」
「人間中心・ユーザー中心」
「心理学・行動経済」

こうやってみると、「ユーザーが使って主観的にポジティブに感じれる体験」が良いUXという形になるので、結局はとにかくユーザーを理解しろとはよく言ったもんですが、そこがポイントになってくるわけですね。

だから結局のところ、UXとは何か?に関しては
「ユーザーが考える(使いやすかったり楽しかったりする)理想の体験とサービス提供者側が考える(企業理念やビジネスをする上での)理想の体験の最適解」ということが言えるのだろうと思います。

引用:https://dendesign.jp/blog/?p=552

そんな中でも、広くサービスに適応できるメソッドが行動心理学や認知心理学の分野で、これらを会話の中で「UX」と話す人もいます。
この分野は、どんなサービスに関しても大なり小なり設計に入っていたり、ユーザーが無意識に行動している部分なので、UXというものを高めたい人は、まずはこの分野を学んでおくことに損は無いですよね。

ちなみに以下、そういった部類の書籍で有名かつ面白いものです。おすすめ。

そしてまた面白いのが、この行動心理学も行き過ぎてしまうと、ソシャゲー重課金問題やSNSのフィルターバブル問題などに発展してしまうので、使い方には要注意ということ。難しい。。

人が自然とその行動を取ってしまうようなアプローチを、行動経済学では「ナッジ」といいます。簡単な例だと、松・竹・梅と3つの値段のうな重があると、財布が少々厳しくてもつい「竹」を選んだりする。ナッジはUX設計においても重要な概念で、うまく取り入れれば、たとえばダイエットを三日坊主にならないように促せたりもします。

ただし注意が必要で、悪意をもって取り入れると、つい自然ととってしまう行動でユーザが不利益を被ったり、企業だけが得をしたりするようにも設計できてしまうのです。

突き詰めると、ユーザにとって極めて快適な設計をすれば、知らず知らず気持ちよく管理されることにもつながってしまう。UXは、使い方を間違うと、最強の統治術にもなりえるのです。だから、UXに携わる人には必ず、ある種の倫理観が必要です。それを「UXインテリジェンス」と表していて、UXインテリジェンスがあってこそ、ユーザがより自由で豊かな状態へと進める「善いUX」をつくれると考えています。自由という言葉も、最強の統治術の方に向かうのではなく、人々の選択肢を増やす方に向かうべきである、という意志の表れとしてあえて入れています。

「良いUX」だけではなく、「善いUX」も大事ということですね。

つまり、UXとは何か?をまとめると以下のようになります。

・UXとは「ユーザーが考える(使いやすかったり楽しかったりする)理想の体験とサービス提供者側が考える(企業理念やビジネスをする上での)理想の体験の最適解」ということが言える

・UXというものは人によって大きく解釈が異なるため、サービスごとに定義する必要がある。それはUXというワードの共通認識をとるためにも大事。

・良いUXにするために共通で適応できるのが行動心理学や認知心理学の分野。ただしアンチパターンに気をつける。

UXの種類

冒頭に「"顧客が商品を購入する時に感じる体験"そのものが商品から派生してより広域になってきている」という話をしましたが、
ユーザーはサービス利用前・利用時・利用後それぞれにおいて、体験をして、サービスに対して何かを感じ取っています。

そのようなUXにも流れの中のSTEPがあるよねということを、「UX白書の期間モデル」というものがうまく分類をしてくれました。

UXの期間別の種類(「UX白書」より)

予期的UX
予期的UXは製品やサービスに触れる前の体験を指します。
「CMを見てとても面白そうだと感じる」「前のモデルが良かったので、新モデルも良いに違いない」
このように製品やサービスを利用するイメージを想像する状態が予期的UXです。

一時的UX
一時的UXは製品やサービスに触れている最中の体験を指します。
「スイスイ画面が進んでいくので気持ちいい」「ボタンなどの操作時の反応が悪くイライラする」
などの使用している時の直感的な感情や思考は一時的UXと言えます。

エピソード的UX
エピソード的UXは製品やサービスを使用した経験を振り返る体験を指します。
「操作に迷うことなくスムーズに買い物をすることができてとても満足」「買い物はできたが、反応が悪くとても不満が残った」
などの一時的UXの体験を振り返ったことで生じる感情や思考はエピソード的UXと言えます。

累積的UX
累積的UXは製品やサービスの利用期間全体を振り返る体験を指します。
累積的UXはこれまでの「予期的UX」「一時的UX」「エピソード的UX」を含む体験となります。製品やサービスを使っていくことで生まれる愛着や作っている企業の印象(ブランドイメージ)も累積的UXのひとつと言えます。

https://chot.design/uiux-beginner/c50d6ce017d2/

これ読むとたしかにとなると思いますが、一言UXといっても、我々がサービスを利用する時はこれら全てユーザーの体験として捉えていることに納得です。
だからこそUXを定義することは難しいし、様々な考えや情報をもったユーザーをなるべく多く理想状態にすることは困難を極めます。

ただし、このストーリーを描けないことには理想のUXを提供することはできません。前章で述べた最適解はこのストーリーの最適解を作り出すことに他ならないのだと思います。

こちらの記事も考え方として面白かったので、お時間よろしければぜひ。


UXはムズい

最後にもうこんなこと言ってしまっては、、という感じなんですが、正直UXはムズいです。

それはやはり「ユーザーが主観的に良いと感じる体験」を作ることであるし、だからこそ様々な種類のいるユーザーを理解しないと作れないし、作ってもサービス側の理想と全くかけ離れているとビジネスとして成立しない"UX"になるから。

だからUXとは何か?を一文でまとめるなら、先ほど書いた
「ユーザーが考える(使いやすかったり楽しかったりする)理想の体験とサービス提供者側が考える(企業理念やビジネスをする上での)理想の体験の最適解」
になるのだと思います。その理想状態を作り出す仕事がUX◯◯なんですね。

これでも抽象的な表現なので、UXという言葉を使うときは定義を会話の中でしっかり認識とった上で使わないと、全くもってズレることになってしまいます。
そういう意味でもUXってムズい。
以下の記事なんかはまさに!なので、書いてある通りシンプルに「素直な言葉を用いる」とかが大事だったりするんだろうなと感じました。

また、所謂"良いUX"を作り出す力を磨く方法としては、先ほどの心理学など「人間についてよく知る」こと以外に、プロダクトセンスを磨く方法があります。
プロダクトセンスは海外のPM中心にキーワードとして重要度が上がってきていて、大事な能力だと思っています。よろしければこちらもぜひ。

ムズいはムズい。確かにムズい。
だけど、これからもユーザーの理想とサービスの理想の最適解というものを探求していき、良いサービスを頑張って作っていきたいと思います。
皆さん頑張りましょう!

Voicyという会社全体もUXに関してはかなり考えている会社ですが、プロダクトづくりにおいて、また組織としてどうUXを扱うかなどはいろんな人と是非ディスカッションしてみたいなと思います。

よろしければどんどん絡みに来てください!Voicyに興味のある方も是非。
Twitterはこちら(@bunbuno0)

最後までお読みいただきありがとうございました!

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