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1円も生きものも、なぜこのタイミングなんだろう。

あと1円あれば財布の中の小銭できれいに払えるのに。その1円が足りない。あるいは1円が9枚あるのに、そんなときに限って支払額の1の位が0(ゼロ)。

なぜこのタイミング?

そんな風に思うことは、生きていていると毎日のようにある。


今日は銀行へ行くついでに買い出しへ。8月に入ってから本業が延期になったり、バイトが減ったりで、家にいる時間が増えてしまった。来月生きていけるのか? こういうのに慣れ過ぎてきて「いや、どうにかなる。人間として扱われない仕事でいいならあの仕事があるぞ。あれは最後の手段だけど」と言い聞かせながら、春に一度行った某仕事場(エビの6時と9時の話、覚えてますか?)のことを思い出していた。

お盆明けから感染者は増える一方。買い出しは相変わらず、7日~10日に一度である。わが家のアパートの玄関は、夏になるとやたらクモが巣を張る。掃除してもすぐできるのだ。玄関を開けたらさっそく体にむにゃんと白いのが絡まってきた。それと一緒に何かがパサリと肩に触れた気がしたので、肩や背中をはらい、車に乗った。

1軒目の銀行で用事を済ませて車内に戻ってくると、日傘を立て掛けた助手席の足元に何やら白っぽいものが動いている。ん?何かしら。

それを見つけて血の気が引いた。

まかさのヤモリちゃん。
まだそんなに大きくはない、ヤモリちゃんである。

すばしっこくて足元に入って来たかと思ったら、もう見当たらない。

ええ! どこ行った? どこに行ったの? この炎天下、血眼になって探すも見つからない。時ばかりが過ぎていく。

これはもう諦めるしかないのだろうか。数日後に干上がった影のようなヤモリちゃんを想像してしまい、う、うぅっ、としばらく立ちすくんだ。見えるところで干上がっているならまだ良しとしよう(ツラいけれど)。これ、エアコンの風の口やETCカード機の配線の穴に入ってしまっていたら、一生探せない気がする……。

鞄や日傘にくっついて入って来たのかもしれない。玄関近くでヤモリちゃんを何度か見たことがあったから。なんでこのタイミングに、銀行と買い出しに出ちゃったんだろうか、私は。

ぐじぐじ考えながら、3軒の店をハシゴ。車から出入りするたびに探すが、やはりヤモリちゃんは見つからなかった。

わーーん、どうしましょう。

ここからまた車内を捜索するも発見に至らなかった。汗だくだ。

そうこうしているうちに家を出てから2時間が経った。買い出しを全て済ませ、最後に2軒目の銀行へ。もうその頃には、シート下にいるかもとか、買い物袋の中に入っちゃったか?とか考える事もしなくなった。

菅波先生みたいに「あなた意外と…くそ度胸ありますから」って、誰か言ってくれ。誰か言ってくれ(笑)。

くそ度胸じゃなくて、諦めだ、諦め。
仕方ないやんか。見つからないんだから。

というわけで、ヤモリちゃんを看取る覚悟でいる。南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏。


*これは「わが家の猫生活」のために描いた、いつかのヤモリちゃん。

34ヤモリ


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