そんな日のアーカイブ 映画感想文 ハウルの動く城
かつて宮部みゆきさんが直木賞を取ったとき、井上ひさし氏が健気な長女がやっと報われるというような意味のコメントをしていた。
この作品もそんなふうにしっかりもので、家族の幸せをまず願ってしまう健気な長女の救済アニメであるように感じた。
魔法はシンデレラをお姫さまにしたけれど、ソフィーはおばあさんにされてしまった。
それでも健気な長女は年をとった自分を引き受けて、そういう立場で物事を見つめ発見していく。
妙なものに出会っても、そのものもそのままに引き受けていく。かぶらあたまもヒンも荒地の魔女ともいっしょに暮らす。
何より健全な生活態度、掃除して、洗濯してしっかりご飯を食べる。その当たり前が癒していくものがある。
夢ではなく現実をしっかり背負って、自分が今できることをくもりのない瞳で見据えて、思案して、皺だらけの手でこなしていく。
おばあさんはすごいぞ!。すごいおばあさんは一日にしてできるのではない。家族の幸せを自分の幸せと思う健気な長女が夢をつかむのだ。
自分の一番たいせつなものは自分で守る。自分の両手の精一杯の力で守る。そんな心意気を見せてもらった。
目の前にいるものの姿かたちの向こう側にそのもののほんとうの姿を感じ取れること。おばあさんになったら見えてくるものがある。
「年をとったら失うものがない」そんな言葉を纏った勇気を貰った。
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