太陽も学びも、熱い1日!「野外で算数@椎葉村」第2回実施しました。
「野外で算数@椎葉村」第2回が、5月の猛暑の中、まさに屋外で行われました。村内外から総勢21名とお子さん13人が、椎葉小学校に集まっての実施となりました。
今回の特徴は、前回に学んだことをそれぞれ自分の住む場所で実践し、その結果を持ち寄ったことです。やったからこそわかる、子どもの主体的な学びを作る仕掛けの難しさやジレンマ、うまくいった例を共有しました。
実践報告後の参加者の感想
・準備してもうまく子どもを乗せられないもどかしさがあった
・子どもへの声かけの仕方でも結果が変わる
・子どもに例を見せるなど、レベルに合わせて分かりやすく伝えることも大切
・事前の下見、準備、設計が重要
・年齢によっては言語化することよりも感覚のまま留めておく方が良い場合もあるのではないか。先回りしないことで子供なりの多くの気づきがあるのではないか。
面白いワークも、ただ体験するのと実践側に回るのとでは、大違い!遊びとしてワークを展開し、子どもの発見や「面白い!」につなげるには、ただやり方を覚えるだけではなく、子どもに合わせた準備や声かけが必要とのこと。また、一家族では難しいという声も多く、子ども同士の影響力も感じました。
新しいワークも実践!「クレーンゲーム/アルファベット」
クレーンゲームでは、チームワークを楽しみながら、色々な立方体を覚えることができることが分かりました。道具は百均の道具などで自作可能とのことです。
身近な自然物から連想する言葉でアルファベットを埋めるワークでは、英単語の語彙だけでなく、発想力も鍛えられます。たとえば、ある参加者は苔の生えた樹皮を「universe(宇宙)」と表現してUのマスに置いていました。
身近にある道具を使って、アイディア1つで色々な学びにつなげることができるのが野外学習の面白さであるようです。
参加者からは、「自然は多教科」という言葉も出ました。また、子どもに教えようとする前に、大人がどんな姿勢で子どもや自然に関わるかについての感想も多かったです。
・放射状に糸を引っ張って行うクレーンゲームは、地域におけるお神輿の重要性(地域社会のチームビルディング)を感じられてよかったです。誰がどれだけ貢献しているかが明確にならず、自分も一助になれているという感覚を全員が持つことで生まれる連帯感は面白いな、と思いました。
・生活の中から学びの要素を見つけること、声かけによって学びにつなげることが大事
・子どもをよく観察し、どんなことに関心があるのかを見つけたい
・子どもが日常で遊んでいることのなかに、算数や理科などが含まれている。大人がよく観察して、そこを引き出し広げることで学びにつながるのでは
・子どもに「教える」のではなく、子どもと「学び合う」ことが大事。
座学:スウェーデンの事例紹介
スウェーデンでは「自然享受権」が住民にあり、山などの自然をその土地の所有者に関係なく誰でも楽しむ権利が憲法で保障されているそうです。例えば、焚き火ができる場所が色々なところにあり、焚き火とFIKA(お茶の時間)を通して多くの人が自然のなかでくつろぐ体験を楽しんでいるとのこと。
また、スウェーデンの教育観は、個人主義に基づいていることもあり、「自分で決める」「自分で選び取る」ことが大事で、子どもの育て方や個人のライフスタイルもそれぞれ選べる選択肢が開かれているようです。
日本とは文化的背景がかなり異なっており、それが教育などにも表れているであろうことがわかりました。
参加者への開催後アンケート要約
WS後に皆さんからいただいたアンケートも、熱かったです!
・数学は比べること、そしてそこから生まれたであろう争いを解決する一つとして機能してきたんだと思いを馳せていました。
・大人が学ぶ環境を整えることも大事だと思いました。
・気づきや発見に正解はなく、それぞれが尊重されるということが大事であると改めて感じました。
・参加した小学生が、学校よりこういうのがいい、といっていたのが印象的でした。
・小学生の子どもが楽しそうに「野外で算数」に取り組んでいる姿が1番響きました。ノートにまとめて落とし込んでいたのも衝撃です。楽しいと学ぶ意欲が高い!
・自然、楽しい、みんな、この3つがそろうと学びの速さが加速するように感じました。
・日常のちょっとした声かけをかえてみたり、繰り返し繰り返しやって行く事で身についていくということ。
・なにしろ大人が勉強しておくこと。答えがぼんやりしていてもOK.成長に従い、新しい疑問へ取り組むきっかけになる。
第2回を実施してみて。椎葉村での実践に向けて。
今回も村外からも多くの参加があり、「自然のなかでの教育」「自然を活かした教育」への関心の高さが伺えました。また、大人だけでなく、小学生2名も一緒に講座に参加してくれました。現役で小学校に通っている小学生がワークに参加したときのリアクションがよく、参加者がワークを実践しながら「野外で算数」の効果を感じることができたようです。
学びの場を作ってくれた運営チーム、子ども見守りチーム、応援に入ってくださった役場の方、小学校を使わせてくださった地域の方にも感謝しています。
椎葉村での実践について、引き続き参加者で集まり継続したいです。
ただ椎葉村の豊かな自然を、子育てや教育でも活かせるといいな、という思う半面、子どもや親御さんが安全かつ気軽に接することができる場所が意外と少ないのが、秘境ゆえの悩みでもあります。
椎葉村で野外保育や野外教育を進めるにあたっては、フィールドの整備もあわせて不可欠だと感じています。
第3回にむけて
次回は6/17(土)にオンラインで実施予定です。これまでの集大成として参加者の学びが深まるような回にしたいです。
「野外で算数@椎葉村」は、ただ教育手法を学ぶ機会なのではなく、「子どもをどうとらえるか」「学びをどうとらえるか」という大人の学びの機会でもあります。
日本では、野外保育・野外教育に関心のある人でも、教育への考え方は千差万別であるように思います。野外保育や自由保育の後、「学校の勉強についていけますか?」「受験はできますか?」という大人の教育観の焦りがあり、幼少期の育ちの大切さを見失ったり、育ちの継続を難しくさせている部分があるような気がします。
我々大人は、どのようにして、おおらかにその日の子どもの育ちを見守ることと学びを両立することができるのか?主体的な学びを継続するにはどのような姿勢や仕掛けが必要なのか?学びはだれのためのものなのか?
そんなことも、講師の方々、参加者の方々、スウェーデンの教育観から引き続き学びたいと思っています。
【「野外で算数@椎葉村」第2回プログラム】
1.導入のワーク「1分間を体感してみよう」
2.自己紹介ワーク「お気に入りのものを拾って紹介」
3.実習「並び替え 長さ/重さ/大きさ/古さ」
4.実践報告 第一回を経てそれぞれの活動を報告
5.前半ふりかえり
6.実習「クレーンゲーム/アルファベット」
7.座学「スウェーデンの事例紹介」
8.ふりかえり
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