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中国茶のある暮らし――11月のお茶「普洱小沱茶」

長い歴史に磨かれた豊かな中国茶の世界。
四季折々の甘味や食に合わせるお茶を、中国政府公認高級評茶員・茶藝師の澄川鈴が提案します。
心に余裕がなくなりがちな日々だからこそ、めぐる季節を愛で、自分を癒すひとときを。
そして、お茶を通して見える中国の人々の素顔と暮らしにも、ほんの少し触れていただけたらと思います。


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11月のお菓子「どら焼き」

「1」が4つ並ぶ11月11日。
 日本では「ポッキーの日」として知られていますね。「ポッキーの日」が日本記念日協会から認定されたのは、1999年(平成11年)11月11日のことです。

 中国では90年代から、この日が若者たちの間で「独身の日」と呼ばれるようになっていました。「光棍節こうこんせつ」や「双十一」ダブルイレブンとも称されます。光棍とは樹皮をはがしてピカピカに磨いた棍棒こんぼうのこと。つまり、もう地面に植えても繁殖することのない植物になぞらえて、独り身を自虐気味に表しているわけです。

 ポッキーとお茶もよいのですが、棒状のお菓子ということで、京都・笹屋伊織の「どら焼き」と普洱小沱茶プーアルショウトウチャの熟茶のとりあわせはいかがでしょうか。

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右手前は、持ち運びに便利な小沱茶(小さなお椀型の茶葉)の普洱茶。

 普洱茶の熟茶は微生物発酵を促した茶で形もさまざま。中国のお土産の定番です。日本でも健康効果が注目されていますので、ご存知の方も多いのではないでしょうか。
 めっきり寒くなってきたこの時期、熱々の普洱茶で身体を温めましょう。

 今回は北京留学時代のクラスメイトとの数ある思い出のなかから、「双十一」での普洱茶にまつわる忘れられない話を綴ろうと思います。


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