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しゃべりクリエイターが作るしゃべる名刺ーまんがたり前田さんー

-きっかけは一つのツイートから-

「最近、名刺のデザインしてないなー」と深夜にふと思ったのでこんなツイートを試しでしてみました。

僕は基本的にリアルで仕事をとっていくタイプなので、SNSでも少しくらい反応があればいいなくらいと思っていたら、まさかのたくさんのリプライやDMをいただいてまじか!ツイッターすごい!という感じでした。

その中でまんがたりの前田さんという方がこんなリプライをくださいました。

めっちゃ興味持ってくださってるー!!
早速、DMすることに。

ここで、少ししゃべりクリエイターが考える名刺ってなんなんだろうというお話にお付き合いください。

-しゃべりクリエイターが考える名刺とは-

一般的に名刺というのは自分は何者なのか渡す相手に伝えるものです。
単純に名刺と呼ぶには名前と連絡先と肩書きさえ載っていればいいです。

ただ今の時代、名刺はデータで管理するのが主流になり、データ化すれば名刺自体を捨てるという人も多いように感じます。そして、名刺をもらえばもらうほど「あれ?この人誰だっけ?」と顔を思い出せないこともしばしばあります。

僕が名刺を作るときは

1.記憶に残る
2.しゃべる名刺である
3.プレゼントである

この3つを大事にしてデザインをしています。

1「記憶に残る」

これは先ほども書いたように名刺をせっかく渡したのに覚えてもらえなければ意味がありません。「これ誰だっけ?」そうなっては名刺を渡す機会が出来たのにそのチャンスをみすみす逃してしますことになります。

自分は「何者なのか」そして「何ができるのか」
それを記憶にとどめてもらう必要があります。

言葉を悪くいうと情報だけの名刺はあまり必要ないのかなーと思います。
FacebookなどのSNSで繋がってしまえば、いいと思っている人も大多数いるように感じます。でも僕が名刺を作り続けるのは「記憶に残す」ためです。

記憶に残らない名刺は街中で配られるティッシュの裏に書いてある広告とさほど変わりはないと思います。
枚数を大量に渡して、覚えてくれる人が100人に1人いればいい。
それよりも100に渡したら印象だけは覚えてくれる方がいいと思いませんか。

そう言った意味で「記憶に残る」というのは大前提です。

2「しゃべる名刺である」

名刺は相手のコミュニケーションを引き出すツールであると思っています。
名刺が会話のきっかけになって、無理に質問をしなくてもそこから会話が広がっていく。名刺がひとりでにしゃべり出すように「コミュニケーション」のきっかけになってくれる。

それが僕の考える「しゃべる名刺」です。

その機能を最大限に活かすために名刺のデザインによっては名刺を渡す際に、どんな言葉を交わすのか。どんな言葉を最初に話せばそのデザインが最大限に効果を発揮するのか。そこまで考えた上で「会話のデザイン」も行うことがあります。

その場合、名刺を渡す際は「〇〇です」と話してくださいとお伝えします。
そこまでデザインした上で作る名刺は本当の意味で僕の目指す「しゃべる名刺」になってくるのだと思います。

3「プレゼントである」

名刺は、はじめましての人にお会いする時にはじめて渡すものです。
だから僕は名刺は「プレゼント」であってほしいと思っています。

自分がどういう人間なのか。
どういう想いで活動をしているのか。

そういう思いを名刺に託して「プレゼント」してほしい。
綺麗事みたいなことを言ってますが、それくらい名刺にはその人や企業の想いが載っているものだと思います。

だから「またいつもみたいな名刺か…」じゃなくてワクワクするようなものを作っていきたいと思います。
そして、もらって嬉しいまで含めてその名刺が「プレゼント」になれば最高です。

これがしゃべりクリエイターが大事にしている名刺の意義です。

僕が考える名刺の意義にお付き合いいただいてありがとうございます。
ここからいよいよ「まんがたり」さんの名刺のデザインプロセスになります。
提案書と合わせてみていただければと思います。

まずは、まんがたりさんのお仕事ってなんですか?

まずは「まんがたり」の前田さんが何を行なっているのかをヒアリングすることから始まります。

「まんがたり」さんは「漫画家が漫画を描くことだけに集中できる環境を提供する」ことを目的とした「漫画家芸能プロダクション」です。

漫画家さんが営業や経理など漫画以外のことに費やす時間を全部請け負って漫画を描くためだけの環境を提供しています。

ええ何それ、めっちゃ面白いやん!
でも漫画家芸能プロダクションってどう表現しようか
漫画家さんに想いを伝えられるデザインってどんなんだろう

そんなことを頭の中で思いながら考察を重ねて、提案した提案書になります。

①漫画家芸能プロダクションをどう表現するか

正直なところ、このアイデアが一番悩みました。
どうすれば「まんがたり」前田さんの想いを形にして届けることが出来るだろうか。

そこでヒヤリングの時に前田さんがおっしゃっていた

「漫画家にとっての味方であり、漫画家と二人三脚で漫画業界を変え、漫画家にとって気持ちよく漫画を描ける世の中を作りたい!」
という言葉を掘り下げることにしました。

そのワードを深く掘り下げて漫画家さんにとっての最良のサポーターであることを「まんがたり」さんの名刺では表現したいと考えました。

②何をピックアップすれば想いが伝わるのか

前述したように「漫画家さんにとっての最良のサポーター」であるということ、そして大前提でもある「漫画家芸能プロダクションである」ということをデザインの糸口として考えていきました。

どうすれば漫画家さんに想いが届くのか。
どうすれば営業先で漫画家芸能プロダクションであることが伝わるのか。

その二つを考えていきます。

③どのように解決していくのか

1)漫画を扱うことを表現するためにコマ割りを用いる

漫画を扱っているプロダクションであるということを表現するために名刺の裏面に漫画でよく使われる「コマ割り」を入れることにしました。
コマ割りを用いることで漫画を扱っているということを表現しています。

2)漫画家の味方であるということ

漫画家にとっての味方であるようにコマ割りは「白紙」にしています。

あくまで「まんがたり」さんが扱うのは、まんがたりさんが提供する漫画ではなく漫画家さん自身の「あなたの作品」である。
そして誰よりも、漫画家である「あなたの味方である」ということを「白紙」で「ヨハク」を持たせることにより強調しています。

「この白紙にあなたの漫画を描いて欲しい」

その「ヨハク」を用いることで漫画家さんにとっての最良のサポーターであり、漫画家さんにとっての味方であるということを表現しています。

3)名刺入れには茶封筒を

漫画の原稿用紙を入れるものとして茶封筒のイメージがあります。
その茶封筒の中から白紙のコマ割りが出てくることで、名刺を渡す単純な行為に漫画家ならではのストーリーを組み込んであげることが出来ると考えます。

そして、茶封筒には「原稿在中」とゴム印で明記することで「何が入っているのだろう」というワクワク感を持ってもらえるようなデザイン設計をしています。

ちなみにこの茶封筒は日本の名刺の標準サイズの「91mm × 55mm」なのでその中に入れる名刺は欧米サイズの「89mm × 51mm」サイズにしています。

そして名刺を印刷する紙には「スコットランド紙189kg」を使用しています。
漫画は大衆のものであるけれど、漫画というものが「ただ安く消費されていくだけのもの」ではないということを表面に微細な凹凸があり、上品な質感が感じられる高級紙を使用することで表現しています。


名刺は渡す行為までがデザインだと思う

名刺は人の手から人の手へ渡されていくものです。
その想いをどうすれば届けることが出来るのか。ただカッコいいとか可愛いとかビジュアルを作ることだけではなくて、どういう風に渡せば名刺のデザインが一番、効果的なのか。

ビジュアルももちろん大事だとは思います。ただ名刺のビジュアルだけでは表せない部分をどのようにデザインしてくのか。本当に大事なのはその「導線のデザイン」なんじゃないかなと思います。


本当にご依頼をくださった「まんがたり」前田さんありがとうございました!
前田さんのツイッターはこちら


ー最後にー

名刺はただの情報が書いてある紙切れではなくて「人の想いを伝えて、記憶に残るような。そして時にはしゃべり出してしまうようなそんなプレゼントであってほしい」




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