ラジオと 団らんと 人生の先輩たち
掘り炬燵 皆で車座 楽しい時間 (9)
チェンバロを弾いたOMAさん、すごい!
先生はバロック音楽がお好き。どうやら、奥様が弾かれていたものだったらしく、だからこそ、OMAさんが弾いてくれたときは、とてもうれしかったはず。
先生は、お仕事中よくクラシック音楽を聴かれていて、書斎、茶の間、2階の仕事部屋(パソコンの部屋)、寝室、先生が滞在される部屋には、それぞれオーディオ機器が置かれ、いつもどこからか音楽が漂っていました。時々、窓が開いていて、クラシック音楽が漂っている中をお庭で掃除。クラシック音楽好きの私としては、こんな時間・空間が好きだったなぁ。レトロな雰囲気で、まさに書生気分でした。
よく聞かれていたのは、NHK FMラジオ。たまに書斎でCDを聴かれていたかな。
おしゃべり番組はお嫌いで、ほどんどがクラシック音楽とニュース、たまに、夜はジャズが流れていました。
食事のときもラジオがお供。先生は、舌癌の手術をされていて、食べることが少し大変そうで、とてもゆっくり。食事中は、どうしてもシーン…となることも。
そんな時、ラジオから音楽が漂い、私から、仕事のことや悩み相談を相談したり、先生はゆっくり召し上がりながら、最近の出来事や感じたこと、研究のこと、昔話なんかもして下さって、まさに団らん。いつも、だいたい2時間以上。
団らんのお供は、やっぱり掘り炬燵とラジオ。テレビは、隅っこにお隠れでした。
ちなみに、おしゃべり番組が嫌いな先生が、唯一きいていたのが「日曜喫茶室」。
はかま満緒さんという方が店長を務める喫茶室に、著名人が3人ぐらいがゲストでやってきて、コーヒーを飲みながら様々な話題を語り合うという、40年も続いた伝説のご長寿番組です。12時のニュースの後で始まり14時まで、昼食を作り、食べ、団らんまで、いつも日曜の昼食のお供にしていた、今はなき思い出の番組。
20代の私からすると、かなりの大先輩の、プロフェッショナルな方たちの会話。体験されたこと、感じ方や受け止め方、知識に、世代間のギャップがかなりあり、それが面白くなり、私もすっかりハマってしまい、先生のお宅を出てからもきいていたものです。
先生のお宅には、様々な方々が訪ねてこられます。
これは、まさに「日曜喫茶室」生放送状態! これこそ、書生の楽しみでした。
あんまり夜遅くなると、しんどいときもありましたが…。笑
写真を見て頂くと、窓辺に写真が飾られているのですが、立松久昌さん。
この方は、かつて雑誌「住宅建築」の編集長を務められた伝説の方。
一ヶ月に一度は先生のところに美味しいお菓子をもってきて、まずお茶。とにかく入れて下さるお茶がとっても美味しい!そして、だんだんお酒に変わり、夜12時頃までお二方の住宅談義に花が咲きます。立松さんは、とても愛の深い紳士ですが、江戸っ子のべらんべぇ調。最初は正直怖かった…。よく「仕事ばっかりしてると、つまんねぇ人間になるぞ! たまには、ズル休みして美術館にでも行ってこい!」と、人生のアドバイスを頂いたり、武勇伝を演劇調で!?聴かせて頂いたり。
人生の大先輩のお祖父様方のお話は、古臭いとか面倒臭いということは全くなく、新しい発見と、人生へのヒントがたくさん詰まっていました。
こういう時間こそ、団らんからうまれた宝物だったかも。