人の体をケアして10年。筋肉はすごいって気づいた話。
最近、『インナーマッスルが大事!』とか言われてますよね。
今日はその辺の話をほどほどに深掘り。
一応、理学療法士(リハビリのお仕事)を10年以上やっておりますと、筋肉ってすごいな~って思うことがたくさんあります。
なので今日は、私の感じた『筋肉ってスゴイ!』をシェアします。
必要ない!? まあそういわずに…いきます!
インナーマッスルの役割3選:体の豆知識を添えて…
インナーマッスルは、名前の通り体の奥の方にある筋肉の総称。
当たり前ですが、1つの筋肉のことではありません。
体幹はもちろん、肩やひじ、股関節やひざ関節など、あらゆるところに存在しています。
早速、その主な役割・特徴を見ていきましょう。
①インナーマッスルは、まっすぐ立つには必須
骨と骨の間を関節と言いますが、その部分は軟骨になっています。
そして軟骨同士が接した関節は、ツルツルに滑るんです。
どれくらい滑るのかというと、それは氷の10倍。
スケート場で、凍ったリンクに立った時の10倍…
もう本当にツルツルなんです。
考えてみてください。
立った時、ひざや股関節はこんなツルツルな軟骨同士が合わさっているんです。
本当なら、ぐらぐらで立っていられないはず…
それでも立てているのは、インナーマッスルが関節をコントロールしてくれているから。
何も考えてなくても、いつも働いてくれているんです。
筋肉ってすごい!その①
→インナーマッスルは縁の下の力持ち
②インナーマッスルは、力を出すことにも貢献
力を出す大きな筋肉を、アウターマッスルと言います。
この筋肉は体の表面にあるので、関節をコントロールするのはちょっと苦手…。
なので、アウターマッスルばかり働いてしまうと、雑な動きになってしまいます。
ここで登場するのがインナーマッスル。
その役割は『関節の動きに軸をつくること』。
インナーマッスルが関節にキュッと軸を作り、その状態でアウターマッスルが働くことで、十分なパフォーマンスを発揮できるんです。
これが『力を効率よく出す秘訣』ということですね。
筋肉ってすごい!その②
→インナーとアウターの絶妙な協調
右利きの方がバットを振るとき、右手だけで振ると大振りになってしまいますよね。
左手を添えることで、はじめて小回りが利いてキレのあるスイングになります。
この左手の役割が、まさにインナーマッスル!
わかりにくいですか?
③インナーマッスルはバランスの要
インナーマッスルは関節のすぐ近くにあるので、関節のズレにとっても敏感に反応してくれるんです。
関節がズレて『筋肉が伸ばされた!』とか『縮んだ!』と感じると、反射的に姿勢を戻してくれるんですね。
『筋肉』というと力を出すイメージがありますが、こんな風に関節のズレを感じ取るセンサーとしての働きもあります。
『インナーマッスルは、平地よりも不安定な場所を歩くときに活動する』
という研究結果も出ています。
バランスを崩して関節がズレそうになった時、サッと働いてくれるんです。
筋肉ってすごい!その③
→インナーマッスルは高機能センサー搭載
インナーマッスルとアウターマッスルは表裏一体っていう話
今度は、『インナーマッスルとアウターマッスルは表裏一体』という話。
これは実際に多い例ですが…
肉体労働をされている方が腰痛で病院に来た場合、パンパンにアウターマッスルが張っていることがほとんどです。
筋肉質で運動もできそうですが、いざ片足で立ってもらうとぐらぐら…。
バランスがとれないんです。
これはアウターマッスルが強すぎて、インナーマッスルが働いていないということ。
かなり多く見られます。
じゃぁそんな時どうするか…。
『ガチガチに固まったアウターマッスルをほぐしたりストレッチする!』
実はコレ、気持ちいいだけで良くならないことが多い。
それよりも…
『エクササイズで、インナーマッスルを使えるようにしてあげる』
これだけで、アウターマッスルが自然と緩んでいくことが多いです。
インナーが働けばアウターが緩むし、
インナーが働かなければアウターが張る。
筋肉ってすごい!その④
→インナーとアウターは表裏一体!
体って不思議。
神秘的ですよね~。
アウターマッスルのイメージを救済…。
ここまを読んで、
『アウターマッスルってあんまり大事じゃないのでは…。』
と感じている方もいらっしゃるかもしれません。
そこで、ちょっとだけアウターマッスルの良い所を箇条書きでご紹介。
アウターマッスルのおかげで…
・キレイなシルエットになる(ボディメイク)
・衝撃を受けたときに吸収してくれる(鎧になる)
・大きい筋肉なので、基礎代謝upに貢献
・大きい筋肉なので、栄養を蓄えられる
・大きい筋肉なので、免疫機能に貢献
(筋肉には免疫機能もあります)
ざっとこんな感じです。
アウターマッスルも、実は超大事です。
インナーマッスルを鍛える!どうする?
↑↑↑
インナーマッスルのトレーニングというと、こんなイメージがありませんか?
実はコレ、イマイチ…。
インナーマッスルの役割を一言で表すと、
『関節の軸を作って不安定性をコントロールする!』
これです。
なので、不安定な状況に体を置いてあげるのがポイント。
例えば…
・片足で立ってバランスをとる
・コンクリートより砂利道や砂浜を歩く
(元気な方は登山もオススメ)
・階段を超ゆっくり昇る・降りる(結構ムズイ)
・遊具があれば子供と一緒に遊んでみる
・ストレッチポール、バランスボールで運動
などがオススメです。
ただ、
注意したいのは、体を力ませないこと!
バランスを崩すとどうしても力が入ります。
この゛力み゛の正体はアウターマッスル。
ここが働いてしまうと、インナーマッスルが働きにくくなってしまいます。
『力を抜いて不安定さに身をゆだねる』
これが大事です。
↑↑↑転ばない程度にね。
お時間のある方は、トレーニングの前後で前屈をしてみてください。
上手にインナーマッスルが刺激されていれば、アウターマッスルが緩んで体が柔らかくなっているはずです。
インナーマッスルの本質
筋肉というと、どうしても『力を出す!』というイメージがありますよね。
でも、スポーツ選手を見てもパフォーマンスが高い人って意外とスリムだったりしませんか?
イチローだったり、ネイマールだったり、マイケルジョーダンだったり… ちょっと古いですね。
皆さんバランス能力が極端に長けています。
まさに『不安定さを操るインナーマッスルのたまもの』と言えると思います。
以上、「筋肉ってすごい」と感じたお話でした。
他愛ない文章にお付き合いいただき、ありがとうございました。
またどこかで会いましょ~ では。