CASTELLO / COLLECTION / kk
レストア前
イタリアンマシンメイドの王様、カステロ、の、ハイグレードライン、コレクションです。
送料込みで約100ドルで売りに出されてて即決。
やったね。
CASTELLO / COLLECTION の下に筆記体でCarlo Scotti、その左に楕円で囲まれた小さなKが2つ。
大雑把に、シーロックとかのラスティック/サンドブラストラインと、ツルツルのスムースラインの2つに分けると、コレクションはスムースラインの一番上になります。
・ラスティック
SEA ROCK<OLD SEA ROCK<NATURAL VIRGIN
・サンドブラスト
ANTIQUARI<OLD ANTIQUARI
・スムース
TRADEMARK<CASTELLO<COLLECTION
特殊で高価なシリーズは他にも色々あるけど、基本これ。
んで、ラスティック/サンドブラストではボウルサイズを表すK表記が、スムースラインだとグレインの綺麗さを表す表記に変わります。
・ラスティック/サンドブラスト
(小) k<kk<kkk<kkkk(大)
・スムース
(品質低) k<kk<kkk<kkkk(品質高)
ラインによっては、kkkkの上に G, GG, GL, GGG と続いたりします。
なので、このパイプは、スムースラインの一番上のグレード、下から2番目のグレイン、となります。
ちなみに、楕円で囲まれた小さなKになるのは1982年以降で、それ以前は楕円の囲みがない大きなK、さらにそれ以前はSA<SB<SC<SSといった刻印です。
刻印が薄くなって見にくいけど、楕円に囲まれたCarlo Scottiマークと、その左に城マークがあります。
城マークの中に56の刻印。
この数字は、1987のカステロ40周年を機に追加されたシステムで、+1947で製造年になります。
56+1947=2003年製造です。
シャンクエンドには、HAND MADE CASTELLO。
通常これはステムに刻印されてて、かつ、CASTELLOの下に煙道サイズを示す数字が彫られてます。
3とか5とか。
今回その数字は見当たらず。
シャンクの反対側には、MADE IN CANTU ITALY の刻印のみ。
シェイプコードなどは見当たらず。
ステムはアーミープッシュ。
通常、ステムの先はテノンと呼ばれる出っ張りがあって、ボウル本体に捩じ込む形式になっていますが、アーミープッシュはただの棒。
軍人さんがパイプ持ち運ぶ時、テノン折れてパイプ使えなくなること多くない?って発想でテノン無くしたらしい形式。
奥まで差し込むだけだけど、きっちりハマります。
コレクションの、今回みたいにシャンクエンドが木のシリーズ、どういう仕組みになってんのかなと気になってたんだけど、マウント部はステムと同じ素材みたい。
アクリルのマウントに、木製のキャップを重ねてる。
通常のステムは、使用後に完全に冷めてから外さないと、木製のボウルとステムの冷めるスピードが異なるので、膨張率が変わってステムルーズになったりします。
それに対してアーミープッシュ形式のステムは、使用後すぐに外せるらしい。
アクリルのマウントにアクリルのステムなので、温度の下がり方が一緒で膨張率が変わらないって理屈なのかな?
あまりアーミープッシュ使ったことない。
ステムにはカステロの証ホワイトバー。
ティースマークも割れもなく綺麗。
だいぶ状態は良い。
ステムルーズな不具合もなし。
ボウルトップは、上部に黒ずみ。
カーボンは薄め。
で。
多分安かった理由。
ボウル内、セラーいわく「深刻なダメージ」。
結構深めのヒビがある。
焦げちゃったかなあ。
けど、ボウルの外側に影響出てないしヘーキヘーキ。
ボウル内以外はかなり状態よく、送料込み100ドルは大分掘り出し物。
やったね。
ボウルのお掃除
まずはカーボンをリーマーとナイフでゴリゴリ。
で、焦げてたらヤスらないと焦げが広がるので、リューターでブーン。
したら、壁だと思ってたのカーボンくさい。
煙道も塞がって小さくなってる。
床下収納みたいに、底が一段高くなってたみたい。
結局火穴が一回り大きくなった。
あらかたカーボンを削ったら、コットンとモールを詰めてアルコールメソッド。
シャンクエンドはアクリルっぽいので、なるべくアクリルにモールが触れないように、モールは1本だけ。
シャンクギチギチにはしない。
何度かエタノール注ぎ足しながら一晩放置。
ボウル内は大分綺麗に削ってるのであんまりヤニのぼってない。
シャンクのモールは真っ黒だけど。
ボウル内は軽くリーミング。
シャンクはストローブラシでゴシゴシ。
綺麗になった結果、壁の状態がわかりやすく。
割と被害は軽そう?
いけるいける。
掃除してる途中で、シャンクエンドの木製キャップがぽろっと外れる。
接着剤取れたっぽい。
内側掃除したら外側掃除も。
キッチンペーパーとモールで蓋して、マーフィーのオイルソープ。
原液を歯ブラシでゴシゴシ。
ぬるま湯の流水で洗い流します。
乾いたら、軽くヤスリ掛け。
刻印薄くなってるので、シャンクはマスキング。
1000くらい〜3000まで紙やすり。
取れた木製キャップを接着剤で再び装着。
キャップはうっすくてすぐ壊れそうなので、ヤスリかけない。
24時間待って、接着剤が完全に固まったら、全体を白棒バフ。
その後、椿油塗りたくり。
あまり放置せずに拭き取り。
翌日、カルナババフ掛け。
ボウルトップの凸凹には、香港製の怪しいカルナバクリーム塗り塗り。
拭き取り。
最後にヒビの入ったボウル内のケア。
葉巻の灰を、ほんのちょっとの蜂蜜とコネコネ。
だんだん練り消しみたいになってくるので、ヒビの部分に詰め込み。
パテ代わり。
ついでにボウル内全体にも薄く塗布。
ひとまずボウルはおしまいです。
ステムのお掃除
ステムはアクリルなので、オキシクリーンの変色手当はなし。
あまりひどい汚れもなさそうなので、エタノールドボンな漬け込みもなし。
エタノールで内部をストローブラシでゴシゴシ。
モールに色がつかなくなるまで。
あまり汚れてなかったので軽くで済む。
ほんとはアクリルにエタノールは良くないんだけど、長時間漬け込むとかしない限り、ほとんど問題起きたことはないです。
たま〜に、表面が細かいヒビ割れみたいになっちゃうステムもあるけど、ヤスリかけるし、エボナイトと同じように流動パラフィン塗ったら見えなくなるからヘーキヘーキ。
かなり綺麗な状態なので、800くらいからヤスリ掛け。
細かい傷とる程度。
3000くらいまで。
その後、白棒バフとコンパウンドで仕上げ。
あとはボウルと合体して、全体をつやふきんで磨いておしまいです。
完成
ツヤツヤ、ピカピカです。
ステムもピカピカ。
もともと状態良かったけど。
問題のボウル内壁面。
ヒビや穴はなくなりました。
あとはカーボンついてくれば多分大丈夫。
↑3回ぐらい使用後。
ひとまず、カーボン剥がれたり穴が空いたりせず、大丈夫そう。
使ってみると、アーミープッシュだからか、煙道広くて煙がドバッと来る。
いつも使ってるモール(柘植のエクストラ)だとスッカスカ。
火穴も大きく、かなりの時間ゆったり任せられる感じ。
持ち運びに便利なアーミープッシュなのに持ち運ぶことはないけれど、まあ、これはこれで。
以上でレストア終了です。
おつかれさまでした。
(検)
パイプタバコ パイプスモーキング パイプ