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DUNHILL / SHELL / PATENT No.417574/34 / 59 F/T / 50年 / ④

レストア前

ダンヒルのシェル、パテントナンバー付きです。
個人的に初のパテントシェル。

ダンヒルのシェルは、オイルキュアリングがされている、1969年までのものかどうかが、一つ目の基準です。
70年代になると、オイルキュアされなくなり、ブライヤーもアルジェリア産からギリシャ産に変わるので、それ以前のものが良いとされています。
んで、さらにパテントナンバーってのがついてるかどうか、が二つ目の基準です。
パテントナンバーっていうのは、1905年〜54年まで刻印されていた、特許番号。
これがいわゆる、オールドダンヒルの証です。

中古パイプって、年齢層が高い市場なので、ヤフオクが一番盛んなんですが、この1年位で目に見えてダンヒルの相場が上がっています。
円安の影響で海外勢が買い漁ってるって噂も。
体感1.5〜2倍くらいになってる。
ちょっと前は60年代でも2万いかないくらいで買えたのに、今は下手したら3万とかいっちゃう。

こいつは海外オークションで送料込みで2万いかないくらいで買えました。
同じ金額出すならこっち買うわ!
出品国がイギリスとかイタリアとかなら、アメリカドルほど高くない。

あと、安く買えた理由として、刻印が大分薄い。
DUNHILLとかPATENTとか肉眼だとほぼ読めない。
だから出品者も詳細情報書いてない。
でも、同時期にもう一本買ったパテントダンヒルと同じ番号だったことと、個人的にマストなサイズ4表記が見えたので、安心して落とせました。
やったね。

パテントナンバーは417574/34。
頭の41とかは消えかけてかろうじて読めるレベル。
でも後ろの574/34がハッキリ読めたのでわかりやすい。

417574/34は、1942〜1954年に刻印されていました。
装着されていたスプリングフランジ付きインナーチューブの特許番号。
インナーチューブはすぐ捨てられちゃうのでついてないけど。

サイズコードは丸に囲まれた4だけ。Sなし。
丸で囲まれたグループ番号は1950〜1951年頃に導入されたらしい。
んで、丸に囲まれた数字の後ろにSが入るのは52年から。
デイトコードは、ENGLANDの後ろにアンダーバー付きの0。
なので、1950年生まれ。
パテント期としては最後の時代です。
若者。
70歳だけど。
パテント期の中でも戦前のものが良いとか何とかあるみたいですが、個人的に初パテントなので番号入ってるだけで嬉しい。

シェイプコードもかなり見にくいけど、おそらく59。
1950年のシェイプコード59はテーパービットのビリヤード。
まあ、スタンダードなビリヤードです。
古いパイプだと小さめが多いので、サイズ4のスタンダードなビリヤードは個人的にかなりアタリ。

カーボンは結構厚い。
ボウルトップはカーボン乗ってるだけで削れば綺麗になりそう。
このくらいの年代になると、クラック入ってる事が多いけど大丈夫そう。

ティースマークは深めだけど、穴も空いてないし、ステムルーズもないし、固着もしてない。

全体的に状態はだいぶ良い。
年代考えると。
レストアされてないと安く落とせるし掘り出し物感あって好き。


ボウルのお掃除

ボウル内上部に厚いカーボン、だけど、底の方はカーボン薄い。ツボ型。
ロケットリーマーだけだとダメっぽい。

結局リューターでゴリゴリ。
ボウル傷つけないように。
スッキリ。
カーボン取れたらすっごい軽い。
今までで一番軽い。
すっごい。

カーボン取れたら、コットン詰めてアルコールメソッド。
数時間おきにエタノール注いで一晩放置。

ヤニがコットン通して浮いてきます。
ボウル内は軽くリーマーかけておしまい。

シャンク内はエタノールつけたストローブラシやモールで、色がつかなくなるまで。

内側が綺麗になったら、外側をマーフィーのオイルソープで洗います。
原液を歯ブラシにつけてゴシゴシ。
ボウルトップは真鍮のワイヤーブラシでヤニを落とします。

スッキリ。
見えなかったとこも見えやすく。
コゲはなさそう。
リーミングされすぎて経が歪んでたりもしない。
そして刻印見えやすく。
内容あってた。

乾いたら、椿油で潤いプラス。
歯ブラシで溝にもしっかり。
それほど放置せず拭き取り。
色味も戻ります。

乾いたらルネサンスワックスとカルナバワックスで仕上げ。
歯ブラシで溝にもしっかりルネサンス。
歯ブラシで溝のカルナバも綺麗に取り除く。
最後に、最近100均でみつけた豚毛の靴ブラシで磨くとピッカピカに。

ボウル内保護のために、エタノールで薄めた蜂蜜塗ってひとまずおしまいです。


ステムのお掃除

大雑把に変色を取り除くために、オキシクリーンに漬け込みます。
60度くらいのお湯に10gくらいのオキシクリーンとかして30分くらい。
泡が出なくなったら取り出して、メラミンスポンジで表面のヌルヌルを取り除きます。
ストローブラシで内部も洗浄。

その後、ホワイトスポットを木工用ボンドでマスクして、

エタノールにどぼん。

しばらくするともわ〜っとヤニが溶けてきます。

30分くらいで取り出して、ストローブラシとモールで中を掃除。
色がつかなくなるまで。
吸い口とダボ周りにヤニが溜まってるので丁寧に。

大まかに黒が戻って細部が見えるようになったら、裏側のティースマークが結構深くて穴あきかけ。

黒い接着剤をヘコミに置きます。
Amazonで売ってるアクリルのやつ。

かわいたらダイヤモンドヤスリと400で成形します。
たいらです。
パテの代わり。

アクリルステムだと問題ないですが、エボナイトを接着剤で補修した場合、日光の下でよく見ると、接着剤使ったとこがわかる。
黒の色味が若干違うので。
けどまあ、どうせパイプビッツつけるし、削りすぎるのもったいないので。

あとは600~2000までヤスリがけ。
ダボのところはマスキングテープを巻いて、エッジが丸まらないように。

その後、白棒パフとコンパウンドで仕上げ。
最後につやふきんで全体を拭いておしまいです。


完成

ツヤツヤピカピカです。
ボウル内も広くていいね。
そしてかっっる。
ステムもピカピカ。

クラッギー。
オールドダンヒルの特徴です。

上から、69年、61年、今回の50年のシェル。
ほぼ10年づつの差。

年代を経るごとに彫りが浅くなってく。
下二つはアルジェリアンブライヤー。
一番上はギリシャ産。
アルジェリアンは柔らかくてブラストしやすいため、シェルの材料とされていましたが、アルジェリアの独立戦争のあれこれで入手が難しくなり、66年頃にギリシャ産に切り替わったそうです。
特に古い時代だとクラック上等な深い彫りが特徴的です。
シャンクもボコボコしてる。

両方とも手前が今回の。
69年と比べると明らかに違う木ですな。

以上でレストア終了です。
おつかれさまでした。


(検)
パイプタバコ パイプスモーキング パイプ

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