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CHARATAN / LaneAre / FreeHandRelief

レストア前

ダンヒルと同じく、オールドイングリッシュの顔、チャラタンです。
個人的に初チャラタン。

初期はダンヒルにパイプを卸してたり、職人引き抜かれたり、むしろダンヒルより上っぽいイメージ。
アメリカで初めて100ドル越えのパイプを販売するなど、やたらに高価だったそう。

そんなチャラタンですが、現在はダンヒル傘下の子会社として細々やっています。

チャラタンは、何度もオーナーが変わってるんですが、1988年にオーナーになったフランス産のクオリティがあまりにも酷かった為に、ブランドイメージは地に落ちました。
その為、レーン期と言われる時代までと、レーン期以降の時代で、ハッキリと価値が変わっているメーカーです。

こちらのパイプは左下に丸で囲まれたLはレーン期のあかし。
どこまでをレーン期に含めるか諸説ありますが、某サイトによると1955年〜1979年-1984年くらいとされてます。
Lマークが刻印されてる、ハーマン・レーンという人がオーナーだった時代の前後。
ハーマン・レーンの後に、一度ダンヒルを経て、フランスの会社に売却されるのですが、国が変わるので当然工場やら職人も全く変わって、名前が同じだけの別の会社になって大顰蹙となるわけです。
このときの製造元はBCです。ブッショカン。そらチャラタンじゃねーわ。

チャラタンのレーン期は、「オイルキュアリング」ではなく、「スチームキュアリング」なるものが施されてるらしく人気があります。

一本はレーン期のフリーハンドが欲しいと思ってたんですが、そこら辺のチャラタンてデカいラッパみたいなシェイプが多いです。
デニッシュみたいな印象の。
あんまりデザインの為のデザインって感じは好きじゃない。
欲しいと思う手頃な物に出会えなかったんですが、好みで手頃なのに出会うことができました。
しかも値下げ成功で送料込みでも100ドル以下。
やったね。

この頃のチャラタンには大きく2つのカテゴリがあり、熟練の職人たちが作るハイエンドなフリーハンドラインと、見習い達が機械で作る大衆向けのマシンメイドライン。
一番下のスクリプトで書かれてるFreeHandReliefはグレーディングで、これはフリーハンドラインの一番安価なグレードを指します。

手に収まりが良いアップルなデカめの丸いボウルと、四角いシャンク。
このくらいの個性が好き。
チャラタン好きにはむしろ物足りないから安かったんかな。

左上のLまたは4に見えるものは、サイズコードなのかシェイプコードなのかわかりません。
同じようにステムが四角いシェイプが4とマーキングされてるものをwebで見かけたのでシェイプコードかな?
シェイプコード一覧とかに見当たらないし、フリーハンドラインなので基本シェイプコードは無いはずだけど。
チャラタンはレーン期でもLマークがなかったり、色々スタンピングが適当ぽいので詳細が分かりにくいです。

全体的に軽く掃除されてて綺麗だけど、ボウル内はそれなりに厚いカーボン。
リーミングはされてるけど。

綺麗に磨かれてるけど、変色はあり、エッジの磨き残しによる色の差がハッキリ。
ティースマークも残ってる。

この時代のステムは、ダブルコンフォートと呼ばれる、2段の段差がついてます。
評判はあまり良くないみたい。
なんだろこれ。
ビッツはめるのに丁度いい感じだけど、その為なんかな。
だとしたら個人的にOK。

ステムにはうっすらcpのチャラタンロゴ。
pとかほとんど見えないけど。
cpは、cがpの丸の中にちょっと重なってます。
これがこの時代の特徴。
後年だと重ならずcとpがくっついてます。

反対側には、読めないけど、REGD. No. 203573 が刻印されてるみたい。
バイヤーによると。

ダブルコンフォートステムが登場するのは1961年以降。
CPロゴの重なり方の他に、文字の太さとかでも年代わかるみたいだけど、これだとわからん。
彫り跡がなくなって表面ツルツルでかろうじて白が残ってるレベル。
太いのかな?
REGナンバーは特許登録で、登録されたのは66年。
フリーハンドラインなのにシェイプナンバーぽい数字があって、でもDC記載もMADE BY HAND 記載もない。
CHARATAN'S MAKE / LONDON ENGLAND の2行は、65年から MADE BY HAND in City of London の3行に変わるらしい。
総じて、いつ作られたか矛盾が出てきて詳細はわからないけど、まあ、たぶんレーン期ということで。


ボウル内のお掃除

リーマー、ナイフ、リューターで、厚いカーボンを取り除きます。
ボウルを傷つけないように慎重に。

あらかた削れたらアルコールメソッド。
数時間おきにエタノールを継ぎ足しながら一晩放置。

一晩経つと、コットンとモールにヤニが浮いてきます。
結構汚れてる。

ボウルはすぐに綺麗になりますが、シャンク内はこれからが本番なので、ストローブラシやモールにエタノールをつけてしっかり掃除。
モールに色がつかなくなるまで。

ボウルトップもピカピカにワックスかけられてましたが、ヤニがついてる上からワックスかけたっぽくて、凹凸がほとんどなくなってました。
なんで、ボウルトップは改めてナイフでヤニとか削って、ブラシで掃除。

ついでに外側もエタノールつけたブラシで軽く掃除。
ピカピカに見えるけど。
ちょこっとだけ周囲より明るくなりすぎてる凹凸は茶色いアルコールペンで化粧直し。
その後、椿油塗り込んで、ルネサンスワックス。

その上からカルナバをリューターがけ。
カスが残らないようにカルナバ布とブラシでひたすら擦り上げます。

最後にボウル内にエタノールで薄めた蜂蜜を塗ってひとまず終了です。
軽く掃除されていたのでほとんど手間要らず。


ステムのお掃除

ステムはちょっと手間です。
見た目ピカピカだけど。

まず、ティースマークで大きめに凹んでるところを直します。
軽度のティースマークだったらヤスって消したり、アクリルだったらプラリペアで埋めたりしますが、今回はライターで軽くあぶります。まずは。
凹んでるところを火でなぞる感じ。
こうすると、ゴムが混ざってるエボナイト製のステムの場合、凹んでたところが盛り上がって復活します。
アクリルの場合はやっちゃダメ。
多分溶けます。

んで、変色を取り除くためにオキシクリーン。
他の溜まってるステムとともに。
60度くらいのお湯に10gくらい入れて30分くらい放置します。

その際、白い色とか取れちゃうので、一応マーク部分は木工用ボンドとかを塗ってマスクします。
残るか微妙な薄さですが。

30分くらい経って泡が出なくなったら終了。
メラミンスポンジで表面のヌルヌルを落として、ストローブラシとかで中を掃除します。

で、今度はエタノールにドボン。
内部に残ったヤニが溶けてきます。

エタノールから出したら、中をブラシとかで掃除します。
モールに色がつかなくなるまで。

ちなみに、エタノール使う時は手袋した方がいいです。
最初気が回らなくて素手で作業してましたが、手が荒れてボロボロになりました。

中が綺麗になったら外。
2段の段差に磨き残しが出ないように、軽くダイヤモンドヤスリでエッジをヤスっちゃいます。
紙ヤスリかけてる最中は気づかないけど、全部終わって日光の下で見ると結構茶色が残ってたりするので。
今回2段だし。

んで、CPマーク。
結局うっすーくなってしまいました。
オリジナルを大切にしたい人は、そこだけ触らないで茶色のままにしてたりするけど、自分はピカピカに馴染ませたい派。
売り物にするわけじゃないし、CPをうっすいオリジナルに沿って彫っちゃいます。
暴挙。
REGナンバーは彫らないけど。

その後、全体を400〜2000でヤスリがけ、白棒パフ、コンパウンドでピカピカに。

マーク部分は、修正液で色付け。
修正液を塗って、拭き取って、ようじとかで調整して、ヤスって、パフかけて、を繰り返して、それっぽく。
大変。
終わりがないから一番時間かかる。

満足したら、ダボに鉛筆塗って合体。
全体をつやふきんで拭いて完成です。

ちなみに、ダボの穴、中心からズレてる。
でもモールはスッと奥まで入るので気にしない。


完成

完成。
ピカピカツヤツヤです。
ボウル内の蜂蜜まだ乾いてないけど。
ステムのロゴも、まあ、良いでしょう。
使ってるうちにもう少し馴染むと思うし。
シャンクの彫りとか勢いあって気持ちいい。
ボウルサイズが手にフィットして触ってたい感じ。
好き。

以上でレストア終了です。
おつかれさまでした。


(検)
パイプタバコ パイプスモーキング パイプ

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