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RADICE / BARK / T/B / oil cured 2005

レストア前

RADICEのBARKです。

RADICEは、ルイージ・ラディーチェという人が立ち上げたイタリアのメーカーです。
今は息子2人が後を継いでます。

ルイージ・ラディーチェは、もともとカステロで働いてたけど、従兄弟で同僚のペッピーノ・アスコルティと一緒に独立、Caminettoを立ち上げました。
でも、Caminettoがアメリカで流行って、忙しくなって、もっとたくさん売りたい経営陣と現場の対立が起きて、方向性の違いから脱退。
80年に自身のブランドRADICEを立ち上げました。
ペッピーノ・アスコルティもその後脱退してAscortiを立ち上げてます。

RADICEのパイプはイタリアらしいシェイプが多く、ルイージ・ラディーチェこそがイタリアのクラシックシェイプとは何かを見出したパイオニアだ、とか言われてたりします。
でも、結構変わったことしてます。
シャンクを竹みたいに削ってみたり、このパイプのように角みたいに削ってみたり。

ラスティックって、刻印打つために、無理やり四角くスムースの部分を作ったりすることも多いけど、このパイプはちゃんとスムースとラスティックの境目もデザインしてあって良き。
刻印位置も遊び心あって好き。

BARKってのは、2000〜2012年頃まであった、オイルキュアされているシリーズ。
現在は廃止されています。

T/Bはツインボアの略。
ツインボアは、吸い口に穴が2つ開いてるやつ。

ドイツのデザインベルリンとかが有名です。
ダンヒルも、かなり珍しいけど、オプションでツインボアステム作ってたりしてました。
バージニアとかの舌焼けを防ぎ、口内に煙が広がる、みたいなコンセプト。

でも、通常のツインボアは、構造上モールがボウルまでスッと入らないらしく、興味はあるけど手入れめんどそうだなあと敬遠してました。
が。

RADICEは構造を工夫して、モールがスッとボウルまで通るようにしました。
素晴らしい。
でも流行んなかったのか、T/Bも現在は廃止されています。


カステロみたいなボコボコのラスティック、RADICE独自のスパイラルシャンク、失われたオイルキュア&ツインボア。
RADICEらしさをこれでもかと詰め込んだ一本です。
好みの丸っこいシェイプだし、ebayで絶対欲しくて競り勝ったんだけど、買ったところに対してちょっとモヤモヤ。

アメリカの、オリジナルパイプも作ってる、Tim West Pipe Repairs というところで買いました。
プロの作家さん(Tim Westさん)によるレストア、をうたってる。
なので、今回はレストアしなくてもいいかなと思ってたんですが…

ボウルにアロマ系の匂いが残ってる。
カーボンも結構残ってて、リーマーでリーミングしただけっぽい。

ステムも磨かれてるけど、ティースマークがちょっと残ってたり研磨のムラが残ってる。

毎週レストアしたパイプや、自分のオリジナルパイプをebayで販売してるお店なので、1本ごとに費やす時間はそんなに取れないんだろうなあ。
通り一辺倒な処理って感じ。

別にね、ピカピカにレストアされてないのは良いんです。
どうせこっちでやるし。
でもここは、プロがやってるよ、信頼できるよ、みたいな顔してこれだからちょっとモヤモヤする。

そして何より、個人じゃなくて店だからしょうがないんだろうけど、消費税とりやがる。
オハイオ州の。
安くない送料+消費税で、商品とは別に8,000円くらい取られます。
しかも、消費税は落札した後じゃないとebay上でわからない。
落札した後でぼったくりバーみたいに良くわからない税金が加算されます。
想定予算より安く落札できたけど、結局そういうあれこれ加算されると安くない。
プチプチ封筒で雑に送られてくるし。

前にカステロを一本ここから買ってショック受けたので、この店ではもう買わないぞと思ってたんですが、悔しいことに良いパイプ売ってんだよなあ…

もしebay使う時は、Tim West Pipe Repairs、気をつけてください。
覚悟して買ってください。
覚悟しても、ちょっとモヤモヤでしたが。


ボウルのお掃除

ボウルをロケットリーマーで再度リーミング。
まだ結構残ってたので、軽くリューターも。
アロマティックな香りがする。

コットンとモールを詰めてアルコールメソッド。
今回は匂い取りもしたいので、無水エタノールに水を足します。
30%くらい。
こうすると匂いが取れるらしい。
数時間おきに注ぎ足して一晩放置。

一晩経つとヤニが浮いてきます。
だいぶ汚れてる。
リーミングしただけでアルコールメソッドとかはしてないなやっぱり。

ボウルを軽くリーミングしたら、まだポロポロカーボン出てきた。

逆に、シャンクは綺麗に掃除されてる。
1回目からモールに色つかない。
時間かかるやつはやってないのか。

全体的に外側は綺麗にしてあるけど、アルコールメソッドしたし、ボウルトップにカルナバ塗り直し。
ついでに全体もルネサンスワックスとカルナバワックスを軽く重ね塗り。

仕上げに、ボウル内にエタノールで薄めた蜂蜜を塗っておしまい。
底に溜まったりしてる余分な蜂蜜はキッチンペーパーで軽く拭き取り。


ステムのお掃除

全体的には磨かれてるので、ティースマークとかの部分だけ再度ヤスリがけ。
400〜2000までかけ直します。
ボタンのところも研磨されて少し形が崩れたりしてたので、再度シンメトリーに整える。

その後、白棒パフとコンパウンドで仕上げ。

少しステムがきついので、鉛筆でダボを塗り塗り。
こうしとくと、きついステムもスムーズに入ります。
あとはボウルと合体して、つやふきんで磨いて完成です。
やること少ないけど、逆に、最後までちゃんとしろティム!と、モヤモヤ。


完成

ツヤツヤピカピカです。
外側は元々ピカピカだったけど。
ボウル内も綺麗になって、匂いも取れました。

ステムのティースマークやニラニラしていた磨きムラもなくなりました。
ピカピカ。

スパイラルなシャンクが美しい。
ステムとの繋がりもぴったり。
一体感。

同じくらいのタイミングで買った、rindというシリーズと一緒に。
丸っこいシェイプがかなり好みで、久しぶりに新品を買った。
SMOKINGPIPESのEUから。
新品なのに送料とか含めたら今回のパイプの方が高い。
やっぱりTimにモヤモヤ。
もともとBARKよりrindの方が安いんだろうけど。

というかebayでよく売ってるrindよりSMOKINGPIPESの方が安かった。
アメリカのSMOKINGPIPESは安いイメージないけど、EUはいいかも。
イタリアもの買うなら。
届くのも早かったし。

ステムに丸い木片が2つ並んでるのがRADICEのマーク。
ただし、ツインボアの場合は、ステム側面に丸が1個づつ。

rindは、柑橘系の果物の皮に似てるよねってことで名付けられたシリーズ。
今回のパイプと比べると確かにそれっぽい。
ボウル上部が着色されてなくて、だんだん色が変わってくるっぽい。
ここの、皮が剥かれたような感じは、製造年とかで剥かれ方が変わってて、ボウルトップだけしか剥かれてなかったりとかあるんですが、このパイプは良いバランス。
すごい好き。

親戚たちとの比較。
上が前々職場のcastello。
中が前職のcaminetto。
下が現職のRADICE。
このcastelloもTimのとこで買った。
銀巻きは多分Timのレストア。
これも商品以外が高かったなあ…

少しずつラスティックの感じが違うけど、確かにカステロを感じる。
このボコボコは熱放射的にすごく使いやすくて好き。
最近はダンヒル系より好き。
美味しく感じる。

以上でレストア終了です。
おつかれさまでした。


(検)
パイプタバコ パイプスモーキング パイプ

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