剣術家が説く脱力のヒント
野球においてよく脱力をすることをアドバイスとして受けることが皆様も多くはないでしょうか。バッティングに悩んでいた時期に脱力することは果たして正しいかすら疑い出した私は、同じ道具を加速するある剣術家Aに話を聞いてみることにしました。剣術家は果たしてどのように刃先を加速させるのか。私とのやりとりを以下記事としてまとめてみました。
私:筋肉の脱力と緊張はどちらの方が最大出力が出ると考えますか?
剣術家A:間違いなく脱力だね 木刀とか竹刀みたいな打撃だと、その差は分かりづらいけど真剣だと脱力からの初動じゃないと切先の速度が出なくて刃の鉄に負担掛かって切れんのよ
緊張についてもコツというか大切なことがあって余計なとこに力入るとダメでさ
刀だと物としての重みがあるから、ついついインパクトの瞬間に肩に力と意識が行きがちなんだけど そうなると手首の力と意識が薄れんだよ
理想は当たる時に握り込む力が最大になって、肘から先が振る力で飛んでって腕がなくなるような感覚で振れると最高
インパクトの強さっていうか切る力は、腕よりも後ろ足の膝がヘソの下にある状態で足を引き寄せる感覚かな、、
そうすると勝手に腰がまわって、体重が乗るんだよ
腕は速度とインパクトの正確さを、足の扱いで体重を乗せた威力を生み出すって感じかな
私: その時に膝から下、足の裏には意識がありますか?
剣術家A:あるよ 古武道とかではよく言われるけど足先で地面を掴む感覚と合わせて極力踵をインパクト完了まで浮かさないって感じかな
後ろ足の踵が浮く奴は、膝がしっかりヘソしたで曲がって沈み込まないから膝が伸びて状態が前へ突っ込むんだよね
本人は自分の体重に振られて力が入ったつもりになるんだけど、全く力が乗らないし安定しない
私:野球のバッティングにおいてはヒッチとコックと呼ばれる動作があります。これは弛緩や脱力に影響はあると思いますか?(個人的に効果があると思ったので聞いてきました)
剣術家A:動=弛緩ではないね 意識的に動の状態を作ってる以上、必ず体のどこかの筋肉に意識と力が入ってるからね 今更だけど、弛緩してる状態を子供の時に教えられた時、親父に深くて流れのある川に捨てられたこと思いだしたわw
私:!?
剣術家A:流れに逆らわず浮いて助かるのに力抜く必要あってさ
私:究極の弛緩トレーニングじゃないですか。今の時代では大問題、、、
剣術家A:近代スポーツの理論って欧米人には合ってると思うんだよ
日本人は今でも骨盤周りの作りが欧米人と違うから、古武道みたいな古い所作が合うんだろうね
私:と、言いますと?
剣術家A:欧米人ってに日本人と違って同じ場所で足踏みできないもんね
骨盤の角度違うから。。
私:そもそも骨格が違うということは身に付けるコツ(骨だけに)も違うってことですね
剣術家A:そういうこと
意識的に無意識を維持するってのは、現代の格闘技だとシステマが参考になるかもね
最大パフォーマンスを出すための弛緩を作るにはって話ね 合気道は基本的に打撃ないからインパクトの参考にならないけどさ、システマは打撃あるから弛緩の作り方と打撃の移行がバッテイングの参考になると思うよ システマって格闘技ってより、姿勢と弛緩と呼吸に重きを置いてる物だからね
筋肉って意識して効果あるのはブレーキ的な動きだけなんだよね。。
元々の動の状態から最大パフォーマンスを出すって話も、そもそも速筋と遅筋のバランスでも変わるだろうしね
動の状態が無意識下で行える程になってたら違うのかもしれないね
私:酔拳的なこと?
剣術家A:極意とか奥伝、秘伝ってレベルだね
それが現実で再現されてる状態がゾーン
私:ゾーン、、、試合中頭でどのように動かすか考えていたら絶対にゾーン入らないですね 試合中打席ではスイングのことを考えるなってよく言われることが肯けますね でも正しい動きに鍛錬されていないとゾーンになるわけがない
剣術家A:そうね、だから日々鍛錬なのよ
以上です。脱力からの最大出力から話は飛躍しましたがとても興味深いコメントがたくさんありました。皆様も気なる点があったら調べてみてご自身のパフォーマンスに活かしてみて下さいませ。
私は以下のお話がとても印象的で勉強になりました。
真剣だと脱力からの初動じゃないと切先の速度が出なくて刃の鉄に負担掛かって切れんのよ
緊張についてもコツというか大切なことがあって余計なとこに力入るとダメでさ
刀だと物としての重みがあるから、ついついインパクトの瞬間に肩に力と意識が行きがちなんだけど そうなると手首の力と意識が薄れんだよ
理想は当たる時に握り込む力が最大になって、肘から先が振る力で飛んでって腕がなくなるような感覚で振れると最高
筋肉って意識して効果あるのはブレーキ的な動きだけなんだよね。。
上記について私は硬式ボールを木製バットで打つ時に必要な感覚だと思いました。あの重いバットを加速させ、140キロで飛んでくるカチカチの石みたいなボールを打つわけですから、力だけではどうにもならないんですよね、、私は当時今と変わらぬ(もしくはそれ以下の)筋力で毎日打っていたわけですからね、、自分の中で何かが崩れていることには薄々気づいてはおりました。
私は軟式ボールを軽いウレタンバットで打つことに慣れてしまい、そもそもの大事にすべき感覚を忘れていたのだと思います。
投打いずれも本当に大事な自分がやるべきトレーニングと所作を追求したいと考えていきたいと思います。
おしまい
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