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何?カツオ、小説家になりたいじゃと?

おいカツオ!ちょっとここに来て座りなさい。
サザエから聞いたぞ。お前、ろくに勉強もせんと遊んでばーっかりおるようじゃな。またテストで0点を……。
何?小説を書いていただと?
くだらん、お前なんぞに小説など書けるものか。小説というのは、とても頭の良い、偉い人、偉い先生が書くものなんじゃ。多くの人に読まれる、そんな偉大な人が。
ほら、伊佐坂先生のような……?何?伊佐坂先生の書いた作品のタイトルを挙げろだと?何を小癪こしゃくなことを。儂はこう見えてもたーくさんの本を読んできたんじゃ。無論、伊佐坂先生の御本も読んでおる。
あー、タイトルはー、うーん、なんじゃったかの。思い出せん。とにかく!そんな小説なんぞにうつつを抜かしておらんで、学校の勉強というものをもっと真面目にやるのが学生であるお前の本分なのだ。
何?小説家は儲かると聞いた?うむ、左様。小説を書く立派な先生の本はな、たくさんの人に有り難く読んでもらえる。沢山の人に買ってもらえる。だが、そこに至るまでには本当に苦労して苦労して勉強に励んで来たのだぞ。だからカツオ、お前も勉強しなさい。そうすればきっと、小説家になれる。今は勉強が一番、小説は、やることをやってからじゃ。何?ノリスケのコネを使えばボクの三文小説でも新人賞を獲ることが出来るんじゃないかって?バカモンッ!お前はノリスケを買いかぶっておる。ノリスケにそんなコネなどない。あいつは給料泥棒の人間のクズじゃ。あいつの取り柄はタイコさんとイクラちゃんの家族、というだけじゃ。ああいう大人になりたいか?なりたくないじゃろう?だったら、勉強しなさい。勉学は人を助ける。人の道をー。何?勉強すればウキエさんを抱けるかって?おいカツオ、お前はまだ十一歳くらいだろう?十一歳?だったかな?はて……。息子の歳もわからんとは、儂も随分耄碌したものじゃのう。とにかく、ウキエさんは憧れの人に留めておくんじゃ。勉三さんも、のび太も、あのような美しい女性からは本当は見向きもされないのが現実なんじゃ。しかし!勉強をすれば或いは……。おい、カツオ。何?伊佐坂先生のコネを使う?ウキエさんを落として、義父になった伊佐坂先生のコネを使って小説家デビューするじゃと?カツオ、順番が逆じゃ。まずは小説の賞を獲ることじゃ。そしてウキエさんに認められて、そこから交際が始まり、伊佐坂家の婿養子になる。そうすれば、ウキエさんも、小説家への道も、全てが開けるのじゃ。何?どうすればそんな夢みたいなことが起きるのかって?勉強じゃよカツオ。全て、勉強なのじゃ。千里の道も一歩からという、美しい言葉があるじゃろう。継続こそが美徳なのじゃ。お前はやれば出来る子なんじゃ。狡賢いが、さかしい息子じゃ。何?ボク勉強頑張るって?そうかそうか、偉いぞカツオ。そうじゃ、勉強はきっとお前を助けてくれるじゃろう。え!サッカーをしにいく?さかしいはサッカーしい息子じゃないぞう!ってダジャレでしか締められんとは、儂も耄碌したもんじゃ。

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