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クローネンバーグ、相も変わらぬいいご趣味

昨晩はAmazon primeにて『NOPE』の吹替版を観た後、『バチェラー・シーズン5』の第7・8エピソードを観て、そして今朝は朝6時半に起床し、8:45上映のデビッド・クローネンバーグ監督最新作の『クライムズ・オブ・ザ・フューチャー』を観に行く。

お盆の里帰り、台風の影響で妻子オンリーで帰っていたため、それを迎えに行く前に鑑賞。

クローネンバーグといえば、『ザ・フライ』や『ヴィデオドローム』、『スキャナーズ』、『裸のランチ』あたりが代表作だろうが、00年代に入り、自分の分身であるジェームズ・ウッズやピーターウィラー、ジュード・ロウやレイフ・ファインズからヴィゴ・モーテンセンへと至り、今回でタッグ4度目。

おやおや、なんかめちゃくちゃ女性客がいるぞ……。凄まじい数だ……。まさか皆クローネンバーグ最新作を……!?なんてことは当然なく、私は一切その情報を識らない『アイドリッシュセブン』の応援上映だという。

無論、『クライムズ・オブ・ザ・フューチャー』は観客は15人くらいで、皆お一人様だし、無論、どういう映画か理解してきている感じ。なんだろうか、あの、特殊な映画を観る時に起きる、一緒に観るお客様が念能力を使えそうな、念を識っている、そんな感じの連帯感。

ティム・バートンは一般人が許容できる異様さ、クローネンバーグは変態、そして、デビッド・リンチはき◯◯いだとは押井守の言葉だが、クローネンバーグ、なかなかどうして◯ちが◯だった。

基本的に異物との融合による進化、肉体の損壊や破壊における性愛などの異常な世界を描き続ける監督である。

今回は、無論どっちも入った、近未来変態臓器SFという、イカれた世界観であり、最早ストーリーなどはどうでもよく、思いついた変態シーンを描くためにストーリーをでっち上げたとしか思えない。

この近未来では、人々は痛覚を失い、感染症にも罹らない。痛覚は人体の異常を知らせる警告システムであるから、それがないとなると危険なわけだが、よりによって、主人公のヴィゴ・モーテンセン演じるソール・テンサーとパートナーのレア・セドゥ演じるカプリースは、人体の公開手術を芸術的に見せたりして、アートパフォーマンスの活動をしている。その道では超有名な生けるレジェンドである。これは、この世界でのアンダーグラウンドなのかどうかはわからないが、そういう嗜好の方々がたくさん登場する。
で、進化の過程で、新しい臓器などが人体に取り込まれたり、移植されたタトゥーありの臓器などが次世代に受け継がれて、プラスチックを消化できる器官として、特異体質として発現するようになったりする。

という、まぁ私もこの世界観を半分も理解出来ておらず、時折襲い来る睡魔のせいで、ウトウトと夢の中、目を覚ますとヴィゴ・モーテンセンが何かモゴモゴしながら異様な椅子に座り、気持ち悪い未来食を食べている……。

低予算映画なのだと思うが、それがクローネンバーグ映画の絵作りの感じでムードがあるのだが、とにかくストーリーはついていくのに一杯であるのに、非常に緩慢なムードが漂い、眼の前には異常性愛が繰り広げられるという、とんでもない映画である。

クリステン・スチュワートは撮影日数5日くらいじゃなかろか。でも豪華なキャストだ。

劇中、クリステン・スチュワート演じるティムリンが、二人の公開手術パフォーマンスを見て「あれは新時代のセックスね」というが、まぁ、手術道具は完全にオマ◯コ型の変な機械であり、それをヴィゴが弄ると、手術台の機械がチュイーンチュイーンと動いて、レア・セドゥの身体にメスを入れ、その度に彼女は喘ぎ声を出すのである。
さらにヴィゴの腹の手術痕を開いて、そこにしゃがみ込み、チュパチュパするので、完全に尺八を想起させるわけだが、朝っぱらから私は何を観ているんだろうか……。

生殖器を模した異常な有機型ガジェットはクローネンバーグの作品に頻出するが、今作でも、異常な有機ガジェットがたくさん登場し、その中に、ご飯を食べる時に座る椅子があるのだが、常に左右にギチギチ動いていて、糞食いにくそうに座りながら、飲み込めない…と言うヴィゴ・モーテンセン、あいも変わらずガジェットに支配された世界観。

この妙に作り物くさい動きの、クローネンバーグガジェット感満載の椅子に飯のエスコートをされるヴィゴさん。

やはり、クローネンバーグという監督の嗜好、思想に関しての理解度の深い人に楽しめる映画であり、私はそんなにクローネンバーグが好きではないので、そこまでノレなかった(『ザ・フライ』も監督の違う『ザ・フライ2/二世誕生』の方が好き)。

そして、映画終了後に本屋をぶらつき、文学コーナーに。特に目新しい本もなかったのと、久方ぶり軽い本が読みたいな〜ということで、『早稲田古本劇場』を購入し、ついでにコミックでは『ダンス・ダンス・ダンスール』の新刊が出ていたため、そちらも購入。

ああ、また散財……。こういうのは飲食関係へと打撃がいくのが私のパターンであるが、時間が余ったので、STARBUCKSの西大路五条に出来た店舗へと赴き、30分ほど時間を潰す。このSTARBUCKSは一度店内や雰囲気を観ておきたかったのだ。リゾート感のある店内は最高だ。

紹介記事を引用させていただく。


BOOKOFFで250円で購入した『アーティスト症候群』も持ってきていたが、こいつは出番なし。積読のまま処分になりそうな気配。


うーん、やっぱり期待をウルトラに膨らませていくとあまり良くないなぁ。それから、評論家界隈で評価されていても、自分には特性の合わない監督とはいるものだ。クローネンバーグはやっぱり合わないだろうな。


暫定2023年ベスト(映画館で観たものに限る)

測定不能…君たちはどう生きるか(2回鑑賞)

1位:キングダム/エクソダス(脱出)…97点 ※前作を観て尻上がりで上昇
2位:ザ・フラッシュ…96点
3位:ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー.Vol.3…93点
4位:フェイブルマンズ…83点
5位:リボルバー・リリー…82点
6位:カードカウンター…81点
7位:AIR/エア…80点
8位:スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース…78点
9位:クリード/過去の逆襲…75点
10位:アラビアンナイト/三千年の願い…74点
11位:クライムズ・オブ・ザ・フューチャー…64点
12位:シン・仮面ライダー…62点


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