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書店パトロール67 盆栽✕ノ✕天才

さんぎょうかいかい、という本を発見し手に取る。

ショート・ショート、である。正式には、『三行怪々』。

開く、と、わずか3行、の物語、のようなもの、三行、わずかこれだけで、これほどのイマジネーションを。
まぁ、日本人、短歌、俳句、と、削ぎ落としですから、荒川志ぐまじあゃないですけど、まぁ、引き算の美学である。
引き算の美学、と、いうと、まぁ、YASUNARI。川端康成は紛れもなく引き算野郎だが、野郎、盆栽も好きである。
骨董、盆栽、とか、まぁ、洒落臭いわけだが、だが、それがいい。なんせ、その彼の愛した五葉松、愛知県岡崎の真福寺にあると言うのだから、私も一度見に行こうかと思ったほど。

盆栽、と、いえば、まぁ、波平、と言っても、過言ではないけれども、然し、そう思えば、YASUNARIも波平も、同じような服装をしている。
盆栽、であるだとか、枯山水、であるだとか、YASUNARIは、そういうものに宇宙を見るのだ。
まぁ、『掌の小説』だって、ショート・ショート、美しい美しい、きれいなきれいなショート・ショート。と、思わせつつ、そんなものもたっぷり集めたら、ケーキバイキングになってお腹いっぱいダヨ。

で、その次に、手にしたのは、『ソーンダーズ先生の小説教室 ロシア文学に学ぶ書くこと、読むこと、生きること』。な、なげぇ、タイトルなげぇ。これはもう、全然引き算の題名ではない。足し算の題名だ。

チェーホフ、トルストイ、ツルゲーネフ、ゴーゴリーなどの7名の作家、と、あるが、これはもう、七武海であり、そりゃあ勉強になるだろう。だが、私は足し算はゴーゴリ、いや、懲り懲りなのだ。この記事だけは、引き算礼賛!

で、その次は『女人短歌』。

女性による女性のため短歌誌、『女人短歌』。その半世紀もの歴史をたどる本である。まぁ、装幀ですよ。赤色。美しいね。私は赤が好きでね。朱って、やっぱり戦闘色でもあれば、艶もある、何よりも、血の色ですから、命の色ですよね。あの、血が人の皮膚を通して、その御蔭で頬が桃色になるでしょう、あの美しさ、うっすら青も浮かんでね、神様はすごい組み合わせをデザインなさるなぁ。

そんな私の眼に、今度は私の愛する尊い色が(二股、である)。

うーん、ムラサキ。紫は貴族の色。王の色。つまりは、まぁ、私の色なわけで、私は紫が大好きだ。このパープル、以前、松山俊太郎が、パープルはムラサキガイから色を取るが、それは大変な重労働だから、王の色とされている。パープルはオノマトペ、つまりはプワプルなど、染色時に出る音が語源とされている説がある、と、言ってたそうなのを読んだことがある。紫、禁色である。日本だろうが、外国だろうが、紫は尊い色、この不思議よ。

で、ゲーム音楽、私は、ゲーム音楽が好きだ。ゲーム音楽はいつも郷愁を称えている。それは、自分の青春の音と、ゲーム業界黎明の時、ゲーム業界の青春の音、それらが重なり合っているのかもしれない。

などと、そのようなことを供述しながらも、一切買わない。何故ならば、お金がない!のである。

で、そんな私は、ブックオフで購入した平野啓一郎の『日蝕』をいつ読むか迷っている。『日蝕』は常々読みたいと思っていた。

平野啓一郎は、新潮社に手紙と作品を送り、新人賞を飛び越えてデビューしている、策士である。新潮の前田速夫が、平野啓一郎をデビューさせたわけで、持ち込みデビューだ。世の中には、闘い方、というものがあるものだ。
バカ正直に、新人賞に応募せずとも、まぁ、実力があり、コネがあるのならば、或いは既に有名ならば、楽々とデビューできる場合もある。

で、『日蝕』。385円。最近は『一月物語』が併録されているバージョンもあるが、これは平成14年刊行なので、『日蝕』のみ。冒頭、うーん、スラスラと読めるなぁ。


『日蝕』はある種、どうやってデビューするのか、どういう戦略で話題を集めるのか、そういう意味で、すごい本のような気がするので、読んでみたかったのだ。擬古文、といいながら、まぁ、普通に難しい漢字が使われているだけの、普通の文章である。これはゆっくり読もう。

然し、前田速夫氏は、車谷長吉との名コンビでもある。彼の小説にたくさん登場する。車谷長吉は確かに鬼だ。彼は編集者も作家と共に戦うべきだと思っているから、嫌なことやダメージを与えること、諍いの種を作品に書く。それが私小説であると確信している。他方、西村賢太は意外とマイルドのような気がする。そして、車谷は、編集者は良い原稿をもらえればそれでいいと思っていて、その責め苦を負うのは作家のみ、というのに憤慨していた。まぁ、編集者はサラリーマンなので、そこまで担わせるのは酷な気もする、気もするが、一理あるような気がするし、最低でも、編集者は既に売れている人間の話をするのではなく、宝石商になるのではなく、石塊から宝石を探すように、常に地べたこそ這いずり回るべきだとは思う。

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