『スッキリ中国論 スジの日本、量の中国』(田中信彦)
こんにちは。島袋です。最近読んだ書籍の紹介です。
今回紹介する本は『スッキリ中国論 スジの日本、量の中国』です。
私は2018年4月に中国にやってきて、かれこれ2年経ちました。これまでに日本を始め、いくつかのヨーロッパの国に滞在してきましたが、中国はそれらの国とは異質な国です。
昨今は「爆買い」観光客やマナーの悪さで、中国と聞いただけで、ネガティブなイメージを持つ人も少なからずいるかと思います。
そういった中国の行動原理を「量」という観点で、「スジ」の日本と比較したのが本書です。「スジ」とはつまり規範、ルールのことで、「量」とは「現実的」と置き換えて考えることもできます。
本書の冒頭で、挙げられている例として、通路を塞いで雑談をする中国人の話があります。日本人の感覚では「通路は人が行き来するのだからそこで集まって雑談するなよ」という「スジ」的発想をしますが、中国人の「量」の感覚では「人が通れるくらいのスペースはあるので、雑談しても良いだろう」ということらしいです。
この様な「スジ」の日本と「量」の中国という観点で、いろいろな話題が本書では取り上げられています。例えば、中国では「面子」というものを大事にするという話も興味深かったです。日本の「メンツ」と中国の「面子」はニュアンスが異なり、中国の「面子」は経済的状態や社会的地位などによって測られるその人の一種の「強さ」とのことで、中国で「面子」を立てることの重要さが述べられています。(例えば、中国の企業ででは先払いで人材評価することによって、その人の面子を立てるなど)
中国の変化はめまぐるしく、この10年だけ見ても激しく変化しています。そのため、中国への認識がアップデートされていない人に是非、読んでもらいたい一冊です。
また、最近は研究の世界でも中国の存在感は高まってきており、中国への移籍を考えているけど、「中国ってどんな国か分からなくてちょっと・・・」という人もいるかもしれません。そんな人にもおすすめの一冊です。
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