居合術における刃筋の変化について
Ⅰ刃筋は自然に変化する「自分の意思ではない」
Ⅱ鞘の角度は個人差による「身長や体格・刀の長さや反りによる」
Ⅲ鞘は引かない「自然落下の法則」
Ⅰ刃筋は自然に変化する
よくあるやり方は、鞘を返したりまたは抜きながら鞘に角度をつけて刃筋を調整するやり方である。
これらは「手を主体」にした「自分の意思」で刃筋を「無理矢理」変えているため「刃筋の変化」が「見て取れる動き」として現われる。
一番よくないのは抜いてから「腕などを使って」刃筋を変えるやり方。
鞘を返したり手や腕が主体のやり方では「離れ」が産まれる事が「物理的に存在できない」ので「居合術」とはなりえない。
「離れ」とは「離れの至極」と呼ばれる「居合術の本質」である。
鯉口から切っ先が離れた時は「すでに相手に刃が届いている」状態が「離れの至極」である。
抜いてから、あるいは抜きながら「刃筋を変えてから」斬りつけているようでは「居合術」とはなりえない。
①力を入れない
②抜いてから加速しない
③一定の速さを保つ
④刃筋の出発点と到達点を一つのラインで結ぶ
⑤上半身と下半身の「バランス」が大事
他にも多々あるが、まずはこの5つを自得する事がいいように思う。
Ⅱ鞘の角度は個人差による
これは当たり前といえば当たり前になるが、人によって体格や身長そして使用する刀の長さや反りも違うためである。
刀を差した状態で「左手が一番フィットする」位置がその人の一番「適した角度」である。
その「適した角度」を「変えず」にそのままの角度を保ったまま上記の①~⑤を守れば勝手に「刃筋が変化」する。
この場合の刃筋の変化は「自分の意思」によるものではないので「その変化は消える」
Ⅲ鞘は引かない
鞘を引く事を鞘引きあるいは引き鞘と言われているが、「鞘を引く」事は居合術では「絶対にやってはいけない事」である。
鞘は引くのではなく、「身体の変化」によって「勝手に落ちる」のであってそもそも「鞘は引いていない」のである。
①鞘と身体の動きを「一致させる」
②手と腕主体に鞘は引かない「手足・身体の動きを鞘の動きと一致させる」
③同調ではなく「一致」同調では「見える」が一致は「消える」
他にも多々あるが、まずはこの3つを自得する事がいいように思う。
おわりに
今回は居合術における刃筋の変化についてですが、これも「現段階」での考えなので、その内「全く違う考え」になっているかもしれませんが、それは「修練により進化」したものとしてご理解のほどお願い致します。