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社会人学生エンジニアが語る、今後のエンジニアの仕事のあり方

こんにちは!Buildチームの佐々木です。
この4月から、社会人を続けながら大学院に通い始めました。
授業でソフトウェアの品質保証や開発技術を体系的に学ぶとともに、AIをソフトウェア工学に応用する方法を論文にまとめたりしています。

さて、今回はAI時代における私たちエンジニア、ひいては人間の仕事のあり方・AIとの付き合い方について、私なりの考えを書いていこうと思います。

生成AIブームにどのような心構えで臨むべきか

AIは既に、私たちの仕事や生活に大きな影響を与えています。
昨年の Stable Diffusion や ChatGPT の公開から始まった生成AIブームは、今年の3月にGPT-4の登場によりますます注目を浴びて加速し、毎日のように驚くべき新しいアプリや新しいモデルが発表されています。

生成AIとは、プロンプトを入力することで、それに関連した絵や文章を生成してくれるAIです。
例えば、小説のあらすじを入力し本文を書いてほしいと依頼すれば、その小説の本文を生成してくれます。やり方を教えてほしいと書けば、詳細な手順を教えてくれます。描いてほしい絵の特徴を入力すれば、その絵を描いてくれます。

これまで専門知識や技術が必要だった分野に対して、生成AIを使うことで誰でも簡単に入門できるようになりました。
これにより、私たちの価値観や働き方に大きな変化がもたらされています。
この記事を通じて、エンジニアがこの変化に対応するためにはどうすればよいかを一緒に考えていくことができれば幸いです。

AI時代のエンジニアのあるべき姿

AI時代のエンジニアは、どうあるべきでしょうか?
私は、「AIという道具を誰よりもうまく使うことで、新しい価値を創造していける人になること」をAI時代のエンジニアは目指すべきだと考えています。

では、どうすれば我々はAIという道具を誰よりもうまく使うことができるのでしょうか?
私は以下の3点が重要であると考えています。

  1. AI(AIモデル)の使い方や特徴を知るスキル

  2. AIの作ったものを評価するスキル

  3. AIの入力・出力を加工するスキル

それぞれ順番に見ていきましょう。

AI(AIモデル)の使い方や特徴を知るスキル

これは、現在世に出回っているAIを使うことで、何ができるかを把握するためのスキルです。最先端のAIモデルにまず自分で触れてみることで、その長所と限界を把握することができます。現時点での最高のAIの現状を把握した上で、自分はどのように活用し、また付加価値を与えられるかを考えて行動すると良いでしょう。

最近では、毎日のように常識を覆すような革新が起こっています。
これを追いかけ、日々使ってみるだけでも相当知識や経験が身につくことでしょう。
個人的には、毎日できることが増えてとても楽しいので、仕事にあまり関係ない分野の生成AIも趣味としてウォッチしています。

AIの作ったものを評価するスキル

自分の得意分野を持ち、その分野に関しては、AIの成果物を適切に評価できるようにしましょう。そうすることで、仕事などでAIに大いに助けてもらうことができます。

実際のところ、2023年前半時点のAIは、 例えば、ChatGPTなどの自然言語AIであればHallucination(にせの情報)や中身のない文章、論理立っていない文章がかなりの頻度で生成します。また、絵の生成AIについても、人体の構造や見え方といった基本的な前提が守られていない絵が量産されています。

これを取捨選択できる程度まで知識や経験を身に着けておくことで、その分野に関してはAIと協力して仕事に用いることができるようになります。

AIの入力・出力を加工するスキル

AIにピンポイントで狙った内容を出力させるために入力を工夫したり、出力内容に修正を加えてベストな状態にしたりできる能力は、非常に有用なスキルです。

入力の工夫に関しては、プロンプトエンジニアリングのように体系化・一般化された知識を身に着けることも重要ですが、最終的には特定のAIモデルの癖を自分なりに把握することで、初めて自在にそのモデルの入出力を操れるようになるのではないかと現時点では私は感じています。

例えば、ChatGPT(GPT-3.5)に入力してもあまり有効な回答を得られないプロンプトでも、文脈の想像力に富んだGPT-4ではとても興味深い返事をしてくれたりします。

出力に修正を加える能力に関しては、絵や小説といった創作的な表現をする際に特に重要だと私は考えています。
身体のパーツであったり、言葉選びのセンスであったりといった部分は、AIが注意を向けるのが難しい細かい部分であると同時に、制作者本人が自身のこだわりポイントを埋め込める場所でもあるように思います。

こだわりたい部分にはとことんこだわれるよう、AIに負けない表現力を身につけたいですね。

おわりに

AIは、簡単な操作で私たちに代わって作業してくれたり、作品を作ってくれるようになりました。それは同時に、AIで簡単に生成できる内容は、誰にでもある簡単に生成できる内容でもあることを意味します。
どれだけAIの性能が上がっても、人間は慣れてしまう生き物なので、期待する成果物のクオリティも上がっていきます。
そのため、AIの出力内容をそのまま使っても、人間の満足できるクオリティを達成し、世に広めていくことは難しいでしょう。

AIが作ったものに対して +α として私たち人間が、どう改善するか、どう組み合わせるか、どう発信するかを考えた上で利用することで、初めて価値を与えることができるでしょう。

私たちエンジニア、ひいては人間も、AIの進化に合わせて自身の得意分野で経験を積み、進化を続けることで、AIと協力しながら仕事を続けられるのではないかと私は考えています。