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藝大フィルによる待望のアルゼンチン公演!

現地12月6日に世界三大劇場の一つといわれるブエノスアイレスのコロン劇場(Teatro Colón)で、藝大フィルハーモニア管弦楽団がアルゼンチン公演を行なった。

当日はあいにくの雨模様となったものの、大勢の観客が詰めかけた会場は熱気に溢れた。やはり通常のショーに比べ日本人や日系人の方々が圧倒的に多く見受けられた印象だ。それだけ待ちに待った日と言えるだろう。

このプロジェクトはパンデミックの影響で二度の延期を余儀なくされていたそうで、今回は日亜修好125周年も記念し待望のアルゼンチン公演が実現。コロン劇場のSNSでは事前にライブ配信の告知もされており、日本からリアルタイムで視聴することもできた。

演奏曲目は第一部がスメタナの連作交響詩『わが祖国』から「モルダウ」松下功の和太鼓協奏曲「飛天遊」。そして第二部はブラームスの交響曲第4番だった。特に林英哲さんの独奏による和太鼓は聴衆も息を呑んで見守り、もはやスポーツ競技のようにダイナミックで、かつ繊細さもあわせ持つ演奏に観客は拍手を惜しまなかった。

また曲目にはないものの、指揮者の澤和樹さんのスペイン語での挨拶の後に「管弦楽のためのラプソディ」が最後に披露され、満員の劇場はこの日一番の盛り上がりをみせた。

アルゼンチンの聴衆は南米のおおらかな性格上、日本ほどマナーがしっかりしているわけではない。開始前に電話を切るようにいわれても、演奏中に動画を撮っていたり、残念ながら肝心なところで咳をする人がいたのも確か。

それでも演奏が終わるやいなや割れんばかりの拍手と歓声が飛び、そんな雑音を吹き飛ばした。感動した際のストレートなリアクションや、あのような会場の熱気は日本では体験できないものかもしれない。会場全体がひとつになって賛辞を送る姿を目の当たりにし、外国人に対して熱狂するアルゼンチン人たちを初めて見た気がする。

指揮者は何度もカーテンコールで呼び戻され、拍手はオーケストラが去った後も止むことはなく、観客のスタンディングオベーションに応えてオーケストラも戻って手を振るなど、最後まで温かい雰囲気に包まれた。

クラシカルな名曲からジャパニーズテイストまで、グローバルな音楽の魅力を堪能できた濃厚な2時間だった。この機会に素晴らしい演奏をしてくださった楽団の皆様に心から感謝を申し上げたい。

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