どう訂正しようか、学習者のちょっと不自然な日本語。
授業は生き物なので成功する日もあれば、失敗する日もあります。
こちらのふとした一言が学生にズバッとはまって、今までよくわからなかった表現が上手に使えるようになることもあれば、
逆に「この説明はわかりやすいだろう!」とか「よっしゃ、こーい!」と思って授業に入った日に限って、あれ?となったり。
今回はちょっと失敗した話。
日本語を教えているとほぼ毎日ぶち当たるんですが、学生が習った文法を使って文作しようとすると「大きく外れていないが何かおかしい」文に遭遇します。
こういう時は本当に困る。
きちんと文法の意味を精査して準備したと思っても、うまく説明できない。できたと思っても学生がつかめない。
先日も「~と、・・・た(例:夜テレビを見ていると、突然友人が訪ねてきた)」という文型を練習していて、
学生が書いた文が
①「私は勉強していると、カバンを忘れた」
②「でかけると、鍵をかけなかった」
でした。
①を書いた学生に、他の学生は時間の前後関係が明らかにおかしいと指摘し、それはそうだねと納得。→「勉強しようとすると、カバンを忘れたことに気づいた」に訂正。(本当は『たら』のほうがこの場合自然です。)
②を書いた学生は、なんとほとんどの学生が「いいです!」。いやいやおかしいだろう。でもなぜおかしい?
ここで私は固まってしまいました。
こういう時、いつも思い出す言葉あります。研修の時に言われた校長の言葉。
「『言えそう』という選択肢はない。ネイティブとして違和感があるならそれは正しくない。せめてそこは学生にはっきり提示するべき」
これは至極ごもっともで、悩むということは不自然。じゃあどうしようか。
おそらく『鍵をかけなかった』は驚きの気持ちや発見が入っていない。そしてその状態が「出現した」意味も入っていない。だから変。
「Aと、Bた=AをするとBという予想しなかった出来事が起きた/あった(驚きの気持ち)」と板書したのがまずかったかな~。
ちょっとあやふやな説明で終わってしまったので、次回再度ここは復習です。どうしたらニュアンスがわかってもらえるかな~・・・
こういう時、自分の力量不足を痛感します。
学生とは時にお互い高くなりかけた鼻を折ったり折られたり、逆にいっしょに発見したりといい刺激になるんですが、今回は折られました。苦笑