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生産者と消費者の縁結び。「リボン図」を加速させるグロース戦略。

こんにちは。

私は「食べチョク」を運営するビビッドガーデン社で、マーケティング・グロース・プロダクトまわりを見ておりますまつうらと申します。「食べチョク」は農家さんや漁師さん(以降「生産者さん」)と直接つながり、おいしい食材や花をお取り寄せできるNo.1の産直ECです。

このnoteでは、1年間で流通額が42倍に急成長した「食べチョク」について、①供給側と需要側の双方をマッチングさせるモデル②そんなリボン図ゆえのポイント③コロナ禍における挑戦④両面のファネルで行っていることなどをまとめました。

スタートアップの方、新規事業の方、プラットフォームビジネスにかかわる方、マーケター・広報・サクセスの方にお届けしたいと思います。8月以来のnoteで緊張しているので、軽い気持ちで読んでください。長いけど。6000字あるけど。笑


2020年の食べチョクの成長

15業界へのインパクト (1)

2020年は激動の一年でした。その前もかなり急成長してきたつもりだったのですが、それが全く見えないくらいの飛躍の一年になりました。

上のグラフは「流通額」の推移をあらわしていて、特にこの夏飛躍的な成長を遂げた食べチョクの成長過程です。

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一方こちらは生産者側の増加のグラフです。12月現在、3300軒を突破し、出品者数もさらに加速しています。

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こうした急展開の中で、ありがたいことに冒頭ちらっと触れた「No.1」を6項目で確認できました。2021年はさらに爆発的な成長を目指せるように、また次の展開を準備しています。(乞うご期待!)


食べチョクのリボン図

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画像引用:https://dont-think-act.tokyo/entry/2017-12-30-134603 様

供給側と需要側の双方をファネルで考える、リクルート大先生の「リボン図」ですが、もちろん弊社のモデルでもそれは当てはまります。

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生産者さんと生活者の皆さん双方にメリットがある仕組み、かつプラットフォーム側が在庫を持たないので急拡大しやすいモデルになっています。

個人的に重要だと思っている点が、「利用者全員がWINであること」「これを大きくすると弊社のビジョンが満たされること」です。

前者は、逆に誰かがペインを抱えたまま大きくなるモデルだと破綻してしまうという意味で、それぞれにメリットがあるサービス提供をしなければならないと考えています。

一方後者は、当たり前のようで非常に重要と考えています。このサービスを大きくし、生産者さんをハッピーにすることが、そして生活者の皆さんに最高の体験を届けていくことが、弊社のビジョン「生産者のこだわりが正当に評価される世界へ」に真に紐づくことを意味します。この状態だと、全員が熱狂してKPIを追い求めることができます。自分のアクションが事業の成長、ビジョンの実現に結び付きやすいので、モチベーションにつながると考えています。


「需給のバランス」と「マッチングの深さ」

上記のような「リボン図」のサービスは、需要側と供給側の片方だけ伸びても破綻してしまいます。また、数だけいればいいわけではもちろんなく、双方の多彩なニーズにマッチする工夫が必要になります。ロングテールをどこまで取りに行くのかという議論は、マーケティングの意味(運用工数vsボリューム)でも、プロダクトの意味(ノイズを減らすvsニーズを拾う)でも非常に難しいと思います。

「食べチョク」では、[1]受け皿の話と[2]コミュニケーションの話に切り分けて考えています。


[1]受け皿の話

①圧倒的な速度で「企画」を立ち上げる

受け皿を最適化するうえで、DtoCと大きく異なるのが、「弊社が在庫を持っていないこと」です。つまり、弊社として商品をコントロールできないので、生産者さんが出品したものの中から、どのようにマッチさせるかを考えなければなりません。Merchandising(適正な商品・時期・場所・在庫・価格)の話をすると、自然相手の産業であることと中小規模の生産者さん中心なこともあり、「突然の売り切れ」もざらにあります。

そんな中で大事にしているのが、「企画・キャンペーン」です。毎月のように、生産者サクセスチーム・デザイナーチーム・エンジニアチーム・サポートチーム・広報チームと連動しながら、企画を打ち上げています。この秋・冬では以下の三つをリリース。たくさんのご注文をいただきました。

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プラットフォーマーとして多様なニーズにこたえていけるように、生産者さんたちとタッグを組み、チームとして乗り越えるような形をとっています。毎度予想の斜め上の素敵な商品を作ってくださる生産者さんには感謝しかありません。。。(ちなみに福袋」は現在も販売中です!)

具体的にバイネームで「〇〇さんみたいな人」に届けるために、企画としてはこの切り口がよいのではないか、をまず考え、ではその商品を生産者さん一緒に考えたいです!という企画の流れをとっています。

②弊社で調整可能なサービスを用意する

食べチョクには、実は弊社が主導する定期便サービスが二つあります。「食べチョクコンシェルジュ」「フルーツセレクト」というサービス。

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アンケートに答えると、好みに合わせて、食べチョク側で生産者さんをチョイス、おすすめのお野菜セットを定期的にお届けする「食べチョクコンシェルジュ」。何を買うと自分に合うか悩んでしまう方向けに展開しています。

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毎月定額でフルーツのお取り寄せができる「フルーツセレクト」。品質の高い極上フルーツをお届けできるので、ちょっと日々に潤いが欲しい方や、ご実家などに贈る方に向けて展開しています。

このように、多様なニーズに対し柔軟に応えることで、初訪またははじめての購入後すぐの生活者の皆さんが離脱してしまわないように、用意しています。

 

[2]コミュニケーションを最適化する。

一方、それを「届ける方法」にもかなり留意しています。

サイトの中での「レコメンド」や、細かく組んでいるマーケティングオートメーション(MA)では、購入行動に紐づいた出し分け・ストーリー設計を日々チューニングしています。ほしいときにちょうどいいタイミングで連絡が来ると非常に喜んでいただけるので、ここはやりがいをもって注力しています。

「食べチョク」自体はtoCのサービスになるので、デザイン面でも細かいところまでこだわっています。便益そのものも重要ですが、こうしたUIの部分でのインパクトは非常に大きいと考えています。一生懸命生産者さんと作った企画を最大化するために、最後まで手は抜きません。

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例えば、iOS,androidアプリのアイコンも、季節で変わることがあります。アプリを利用している方、ストアに訪れた方に、少しでも季節を感じてもらいたいと思います。

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また、LINEのリッチメニューもキャンペーン時には都度改変しています。バナーの順番もそうですが、常に訴求の優先順位を意識し、友だちやフォロワーの方に、季節や移り変わりを楽しんでもらえるような仕掛けを作っています。


コロナ禍においてどのように激動の事業計画と戦術を合わせに行ったか

2020年のコロナ禍は、弊社としても激動でした。4月あたりから出品希望者が爆増しました。これは、飲食店やホテルの営業停止が相次ぐ中で、出荷が打ち止めになり、販路を突然失う生産者さんが続出したために起きた現象でした。

食べチョクとして、ビビッドガーデン社として、できることは何か、考えてひたすら手を打ち続けた数か月でした。

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そんな中、生産者さんサイド・生活者の皆さんサイドのニーズを慎重に考え、マーケティングを踏む判断になりました。(そのあたりは👇のnoteにて)

当時CS社員は1名、マーケも私1名だったこともあり、急ピッチで採用も進めながらの戦いになりました。

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かなり慎重に作りこんでいた事業計画ですが、激動のコロナ禍で都度修正も必要になりました。資金調達に向けて奔走つつ事業・組織も見てくれた、CEO秋元さんと事業戦略室室長の山下さんには感謝しかないのです。。。

夏にはテレビCMを放映し、秋冬は大量の企画とCRMへの注力、そしてインハウスでの運用型広告の本格立ち上げへ。マーケティングは夏に新たに加わった三嶋さん(広告代理店→スタートアップマーケター)とともに急速に作り上げていきました。一方生産者サクセスも、夏前に入社した伊藤さん(外資戦略ファーム→toB Saas)を中心に、一気に整えていきました。


[1]生産者サイドはPRとサクセスに注力

コロナ影響で生産者からのSOSが加速しました。一気に登録したばかりの生産者さんが増えていくことが想定できたので、とにかく生産者さんが迷わないよう、出品後に手厚くサポートできるように体制を整えることに注力してきました。

①広報:届けたいメディアさんにしっかり届ける

広報下村さんが鬼のように動き、メディアさんにありがたいことに取り上げていただけるようになりました。その際も生産者さんに届くような切り口で、生産者さんと相性の良いメディアさんにアプローチをさせていただいてきました。認知してもらえれば、ニーズが極めて高まっているいま、しっかり出品希望をいただけるようになります。

また、濃密な生産者さんの世界では、認知度が雪だるま式に急上昇していきます。多くの生産者さんがより売上アップできるように、成功事例を展開していきました。しっかり売れるプラットフォームであることも、食べチョクを生産者さん同士で紹介していただけるためには大切なことだと考えています。

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②サクセス:生産者さんが自力で改善していける場づくり

3000軒を超える生産者さんが出品する食べチョクでは、オンラインという武器を使って、生産者さんがモリモリ改善を進めていけるような仕組みを作ること、しっかりサポートをしていくことを心がけています。

プラットフォーマーゆえの逆の強みもあり、それは生産者さんが素敵な商品を出してくださると、私たちも素敵なサービスになっていくという点です。目指すところが同じなので、私たちもさらに前のめりでサクセスに注力できます。

食べチョク学校」というものを定期的に開催しており、ナレッジの共有や、以下の画像のように、「放課後編」と題して、お客様との関係性構築の方法などを業界のトップランナーから学ぶWebセミナーを開催しています。

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[2]マーケは徹底的にファネルにこだわる

時間がないスタートアップ。どうしても打ち手が大味になったり、代理店に丸投げする部分があったりするかと思います。私たちはまだフェーズ的に早いのもあり、徹底的にファネルの細かいところまで考えていなければ苦しい、と考えています。

例えばテレビCM。よく「認知施策」「計測がしづらい」と考えられていますが、「新規顧客獲得施策」としてとらえ、細かくファネルごとに数字を見ており、まさにweb広告と並行で考えていました。

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あらゆる施策を網羅的にかつ精緻に。一方で当然全部はできないので、どこを切るか、どこをこだわるかの優先度付けの重要性が極めて高いと思っています。

生活者の皆さんの多様なニーズを徹底的に拾うべく、アンテナに引っ掛かりそうなところには何かしら張っておけるように施策を組んでいます。SEO・ショッピング広告・動的検索広告・SNS・インフルエンサー施策・オウンドメディア運用....こうした全体設計は、またどこかの機会で。

また、サイトにお越しいただいてからのCRMにもまた注力しています。

上記のマーケティングオートメーションなどの設計に加え、メールマガジンはブロード配信でも開封率はほぼすべて20%を超え、LINEを1度配信すると、テレビ露出に匹敵する流入が見込めるようになりました。

LINEさんのSMB DAYというイベントでお話させていただいたのですが、クリエイティブのチューニングを妥協せずやり続けること、お客様の声を各媒体で積極的に聞くことで、日々改善しています。


縁結びのサービスとして大切にしていること

ここまで長々と話してきました。すみません。笑

弊社のリボン図と成長の軌跡、リボン図ゆえのポイントとコロナ禍、両面のファネルで行っていることと話を進めてきました。

ここで書いたことは全体の一部ですが、これでも結構大変なのが正直なところです。マーケチームは、他のところも見ている私も含め社員二名のみ。広報は一名。サクセスも一名。それぞれが圧倒的なパフォーマンスを発揮しなければ、到底何も回りません。最後にそんな中、大切にしていることをまとめました。

[1]どこよりも、誰よりも、現場志向であれ。

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お客様と商品の解像度を、できる限り高くしておくことを重視しています。

例えば私個人は毎週のように週末生産者さんのところにお邪魔し、見学や収穫ではなくゴリゴリに農作業の手伝いをさせてもらっています。現場を知らない者がモノを売ってはいけない

逆にお客様目線も重要。注文回数は全ユーザーの中でもTOP〇位に入るくらいヘビーです。笑 また、お届けしたいお客様に擬態すべく、日々雑誌を読み、スーパーの棚をうろうろし、色々なサービスに課金し、解像度を上げるようにしています。

社内的にも、「一次産業勉強会」を実施したり、定期的なユーザーヒアリングを実施したり、社内で職種を超えて企画を考えてみたり、と、様々な仕掛けを設け、全員が解像度高くいられるようにしています。

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[2]質の高いチームであれ。全員が最前線。

社員が少数で動いているチーム。インターン/アルバイト/副業のメンバーが大活躍しています。彼らなしではやっていけない......

効率的に業務を推進していくこと、そこにハックを生むこと、それを仕組化していくこと。それを息を吸うように皆成し遂げていきます。

職種・契約形態は関係なく、誰もが食べチョクの人間。全員が最適に働けるように、社内体制も整えています。「最後の砦」として全員が機能する組織を目指しています。


これからの食べチョク

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生産者さんと生活者の皆さんが「直接つながる文化」を日常にしていきたいと思っています。

縁があって注文してみたお野菜。初めて見るので食べ方を聞いてみると、意外にも簡単おいしい方法を教えてもらった。あんまりおいしいものだから、実家にも贈ってみようかしら。オンライン帰省した際に、感想で盛り上がる。初めて見たよね!おいしいよね!あ、農家さんがコミュニティに投稿してる。冬って畑はこんなになってしまうのね。春におすすめなのってどれですかね。コメントして聞いてみようかしら。そうしたらその時期は家族で...

こんな世界を当たり前にしたいと強く願います。

生産者と消費者。日本中で縁結びをしていこうと思います。新しい文化を生み出し、それを定着させるのがスタートアップ。爆発的な成長を2021年も頑張りますので、よろしくお願いいたします。


(よかったらTwitterで感想教えてください!エゴサしてるので!笑)

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